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財テクから新NISAの時代へ

兎に角、踊らされてはいけない。やはり自分で考えて、自分の余裕資金で計画的に進めないと、結局、普通の庶民は馬鹿を見るだけだと感じる。だから、バブル期の平成元年暮れに日経平均株価が3万8,915円87銭(終値)を記録し、その記録が破られるのは時間の問題と言われている現在にこそ、冷静さと客観性が大事だと思う。それで、自分自身の今までの経験と世の中のこととを簡単にnoteに書いておきたい。

昭和58年4月に私は就職した。ホントに田舎(福島県東白川郡)に住む極々普通の教員であった。世は高度経済成長を遂げ、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を経て、円熟期に差し掛かった頃。週刊誌や朝日新聞のような一般紙にも「財テク」ページが載り始めた頃である。「財テク」とは、財務テクノロジーの略。要は、年利8%超の世の中だから、どんどん自分の資産を増やしましょうということだ。


バブルに向かうイケイケの時代で、銀行や保険などの金融関連の業界に就職した知人らはボーナスが100万円越えとなっていた。ただ、ボーナスが20万円程度で、地方に住む自分にとってイケイケの世の中は全くの別世界であった。これは、地道に貯めるしかない…。これが結論だ。

そこで、当時の「財テク」定番である中期国債ファンド(代表的な公社債投信。国債を中心に電力会社等の社債で構成。以下、「中国【ちゅうこく】ファンド」)に手を出すことになる。国債なら、絶対に安全。実家のある福島市に帰省した時に証券会社に顔を出せばいいだろうと、始めることになる。決めた証券会社は、大和証券。理由は福島駅に一番近かったから。それだけだ。野村證券や山一證券の福島支店もあるが、それらは福島駅からずっと離れていたからだ。


遂に株式に。

1年に計10〜20万円程度を夏・冬のボーナスから拠出し、中国ファンドに積んでいったが、証券会社のお姉さんから「株式投資投信なら、もっともっと増えますよ!」という悪魔のささやきがあって、中国ファンドをジャンプやステップに乗り換えることになる。その後、結婚して自由に金を動かせなくなって、出し入れもせずにそれを放っておいた。

その後、バブル崩壊を迎え、証券各社の大企業などの大口顧客に対する損失補填(金融商品で損失の穴埋めを約束することは犯罪行為。当然、それは大口顧客に向けてのものなので、個人の資産が減ったとしても我関せずであった…)が発覚し、今まで積み上げたものがずるずるっと8割程度に減ってしまった。



昔の売買手数料は、兎に角、高くて…。

公社債投信をまた始めるのも馬鹿らしいので、社会勉強の意味でステップなどを解約して、株式を買ってみることにする。平成6年夏のことだ。銘柄については何も知識がなかったので、菓子業界で2番手の明治製菓(森永製菓は高くて買えなかった)と、そして、大好きなラジオドラマ「日本沈没」を提供していた日本鋼管にした。この時代は、売買単位は基本1,000株であった。

社会勉強のつもりと軽い気持ちで始めたものの、注文は基本、窓口か電話なので携帯電話が普及していない時代に簡単に売買指示を出すこともできず、それに株券を証券保管振替機構に預けるのに年間3,000円プラス税が必要なことも知ることとなる。簡単に動かせないから、預けっぱなしである。

その10年後くらいにはネットによる株式投資が一般的になってくる。小学生がお年玉を株に投資することがニュースになった頃だ。ネット取り引きがメインの証券会社もあったが、既に特定口座のある大和証券でネットを通じて、数銘柄を少し買い足すことになる。

平成20年頃にはネット証券が更に一般的となり、イー・トレード証券(現SBI証券)にNISA口座(年間総額120万円までのNISA枠があり、本来、利益に対して2割強の税金が掛かるのだが、NISA枠なら非課税となる。これは一つの証券会社のみに開設可)を開設することになる。勿論、投資したとしても小遣い程度で、自転車や原付バイクを買えばなくなってしまうくらいの少額である。

そんなこんなで、株に深く関わることもなく暮らしてきた。早い話が、現役の頃は学校の仕事が忙しく、証券会社のウェブページを覗く余裕が全然なかったのである。13年前、株主優待のサプリメント狙いの理由だけで、1万円強で購入した札幌証券取引所の「健康コーポレーション」100株が知らず知らずのうちにRIZAPグループに衣替えし、全国的に展開を始め、46万円に大化けしたのには腰を抜かさんばかりに驚いた。こんなことがあるんだぁ!と。

令和3年4月に定年退職を迎えた。でも、日々いろいろとやることがあり、それからも株は預けっぱなし状態であった。令和6年から無税範囲の広がる新NISA制度(税金ゼロで投資できる限度額と期間が旧NISAよりも更に拡充)が始まることを知り、令和5年からは放ったらかしだった証券会社のウェブページを時々、覗くようになり(←久々に覗くと、「未読の『重要なお知らせ』」を読まないと先に進めません」とか、「パスワードには英数字だけでなく、『記号【@#&%】等』も必ず入れてください」とかで、もう大変…)、銀行の普通預金に寝かせておいた数十万円程度をNISAへと突っ込んでいくことになる。

令和6年となった。間違いなく1月前半はぐんぐん株価が上がった。原因は一つではないだろう。昨年2・3月のアメリカやスイスの銀行破綻によって、世界的に株価が下がったが、その後は緩やかな右上がりであった。年が明け、新NISA制度開始を契機に参入した人がいたり、海外の機関投資家が中国経済を見限って日本の株式市場に乗り込んできたりなのであろう。私も、先程のRIZAP株と塩漬け株(株価が下がったままで、長期に動かしていない株)を売却して、新NISAに移行しようとしたのだが…。


ずっとマイナス続きだった三菱商事が、KDDIとローソンを共同経営することを発表したために、プラスに転じて、ほっ!

日経平均株価は続伸しているのは確かだ。だが、上がっているのは東京エレクトロンのような一部の半導体関係と、トヨタなどの円安に乗じた輸出メインの企業と、海外の投資家が大量に買って株価を釣り上げているクセの強い銘柄だけである。30年間給料が上がらず、GDPが世界4位に転落した日本経済。これは、全く実態がない株価ではないか? そして、株を始めてから約30年、最初から口座を持っている大和証券での損益を冷静に計算してみると、元本が現在では1.7倍にはなっている。全体が上がっている訳ではなく、3倍以上なった銘柄もあれば、半分以下になった銘柄もある。そして、他の証券会社の口座を見れば整理銘柄(経営が破綻状態であると証券取引所に判断されること)となって上場廃止で実質無価値の銘柄もある。また、10年に一度はリーマン・ショックやコロナ禍のような株価が6〜7割になってしまう事態もやって来る。放ったらかしでなく、タイミングを見て下がった時に買って、上がった時に売っていれば2倍以上にはなっていたと思うが、それは叶わぬことである。

踊らされることなく(いや、前述の通り、昭和の頃から自分自身が世の中に流されてきたのだが…)、いつも心に客観性を。「危ない、危ない!」は自戒の言葉。

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