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熊本県山鹿市/地域のポテンシャルを探しに(もやブロ#63)

こんばんは。新潟県湯沢町を起点に、移住促進を中心としたまちづくり会社を経営しております。きら星の伊藤です。

きっかけは1年前のひとつのツイート

私が熊本県山鹿市に関わるようになったのは、1年前にふとつぶやいたこの内容から始まった。

これに反応してくれたのが、熊本で竹組という会社を経営している園田さん(ソンさん)だった。
ソンさんの取組みは、ツイートから伺い知れるのだがめちゃくちゃ面白い。地域資源を有効活用して雇用を増やしていたら地域の方から空き家や土地の相談をもらって、また人を増やして・・・という、ローカルプレイヤーによくある、でも、なかなかここまでうまくは回らないだろう好事例。

で、このソンさんに、熊本来てみませんか?と誘われて「紹介したい人がいる」とオンラインでつないでもらったのが、ソウルメイトともなる田河さんだった。
田河さんは、熊本県内の出身で、山鹿市地域おこし協力隊として活動をした後に一般社団法人山鹿移住定住支援センターkutaminを立ち上げる。熊本県の地域おこし協力隊ネットワークの代表も務めている。
Zoomで一度、話をしたら、めちゃくちゃに意気投合して、田河さんに会いに行きたいという一心で初めて山鹿市へ訪れた。それが2022年、1年前の10月のことだ。(8月に初めてZoomで話して、10月に初訪問)

山鹿探訪期

今回は2泊3日の行程。写真と共に振り返りをしていこう。

交通について

越後湯沢から熊本(県北)?!どうやって行くの?
実は、山鹿への二拠点を躊躇する点がこの交通なのである。

【今回の経路】
越後湯沢→上野(上越新幹線)
上野→浜松町(JR)
浜松町→羽田空港(モノレール)
羽田空港→熊本空港(ANA)
熊本空港→肥後大津(熊本空港ライナー)
肥後大津→山鹿温泉(バス)

途中東京都内でゆっくり昼食を取り、概ね8時間(11時台に出発し、19時台に到着)。ノンストップで休憩なしで概ね6時間。この移動時間をどう取るかということが悩ましい。

航空機内

ANAは機内コンテンツが色々とあって、ガイアの夜明けや情熱大陸などのビジネス番組も見ることができる。また、機内Wi-Fiが利用できるので、インプット&アウトプットの時間として活用した。旅先でこれは!と思ったことのツイートをまとめたり。

▼1日目の様子(ツリーになっています)

▼2日目の様子(ツリーになっています)

上越新幹線では、TRAIN DESKを利用しました。ちょうど決算期末(弊社・きら星は8月末決算)だったので、伝票を集めたり、いろんな人に連絡をしたり・・・。越後湯沢〜上野は70分くらいなので、ちょっと事務処理をするのにちょうどいい。

熊本空港は、リニューアルされていて非常に快適。写真と共にお伝えします。

カードラウンジには、個室のワークスペースも。あえて時間をここで過ごしても良さそう
出発ロビーにはテナントが超充実!
往路は福岡空港から来て、復路に熊本空港で出発というのも手かも・・・。

半導体で開発が進む熊本

写真とともにお楽しみください。
熊本空港をたってまず寄ったのが、肥後大津の駅だ。
さて、ここの何が面白いかというと。半導体バブルで湧き立っている最中なのである。台湾の半導体企業、TSMCが進出するという発表をしてから、国内の生産工場なども相次いで建設ラッシュなのだ。

空港ライナー(熊本空港〜肥後大津駅)
30分に1本出ていて15分くらいで到着

熊本空港のある益城町から、菊陽町、大津町とバスで通る中で、昔ながらの牧歌的な農業地帯だけではなく、軽鉄骨のアパートがたくさん並んでいることに気が付く。

駅を出てから、山鹿行きのバスがめちゃくちゃわかりにくかった

肥後大津の駅を降りて、山鹿行きのバス停を探しにうろうろする中で、バス停の横にあった店舗に入った。そこは、元々住宅の車庫で、バス待ちのお客さんたちが雨宿りをしたりしていた場所だったそう。
オーナーであるお母さんが、雨宿りの人たちに善意でお茶を出してあげていたりする中で、声が上がって5年ほど前に車庫を改装し、軽食を出す喫茶スペースに変更した。
なんと、飲み物は120円!ホットドックは400円前後。
ドリンクがそんなに安くて儲かるんですか?と聞いたら「喜んでもらえるけん、よか。ホットドック出すようにしてから、ちゃーんと赤字にはなっとらんよ」と笑う。

辛口チーズドッグは小腹が空いた時にちょうど良い

最近は特に、賃貸アパートが増えていること。熊本市内から半導体企業への転職なども増えており、新規のお客さんも増えてきていること、など、お母さんから地域のことを教えていただいた。

ちなみに、肥後大津の駅を降り立つと、酪農のにおいがむっとする。住宅街に飼育場があるのか尋ねたところ、白川方面などにあるそうで距離はそれなにりあるものの風向きで駅周辺まで届くのだとか。
畜産業をやっている方が、精肉店や飲食店を営んでいるケースも多いそう。

アツすぎる山鹿の夜

写真は撮らなかったのだが、バスで1.5時間ほど揺られ・・・
物好きな人は見てほしいのだが、生活路線なのでかなり迂回する。車に弱い私にとっては地獄で、汚い話だが、先般のホットドッグを戻してしまった。

山鹿温泉に着いて、この旅程でお世話になったのは老舗のこちらのホテル。

ちょうど灯籠祭り明けのタイミングだからと、大学のゼミなのか合宿が4つほど団体で宿泊しており賑やか。山鹿温泉の周辺の大型ホテルも、団体旅行のご一行様で大学名がずらりと。主には九州内の学校のようだ。

九州に来たら、地鶏かな・・・と入ったお店で。
隣に座った50代のサラリーマンが2人、話しかけてくる。「会社の愚痴ばっかりでごめんなぁ〜」
どうやら、会社の同期で、片方は事業部長。もうひとかたが突然退職願を出して、とりあえず飲もっさ!ということになったようだ。
おじさんの言い分はこうだ。

今まで30年近く、モーレツ社員として会社のことを頑張ってきた。海外出張もたくさん行かせてもらったし、熊本から出たことがなかったけど、会社のおかげで広い視野も持てるようになった。
だけど、コロナ禍で就業時間外を中心に余暇の時間がたくさんでき、社内の人たちとも距離を感じる中で自分の人生を見つめ直す時間ができてしまった。定年がカウントダウンで見える中、体力の低下は顕著に感じる。残りの人生、どうやって使うかを真剣に考えた結果、会社員としての生活に区切りをつけて土に根ざした暮らしをして生きていきたいと決めた。農業大学校への入学ももう決めてしまった。

友人でもあり、同期のおじさんは、最近一番影響を受けた本は「パタゴニアの社員をサーフィンに行かせよう」だと言い、本当は一緒に定年退職を目指したかったと悔しがりつつも、辞めるおじさんの生き方に共感する。

「誰と、どこで、何をして生きる?」を追求するのが、移住の本質だと私は思っているので、このおじさんたちの生き方を選択するプロセスに感じ入るものが大きかった。
おじさん達と、連絡先を交換して再会を約束し、1軒目を去る。

18:30からしかやっていない、食事の店 もりしげ

2軒目は、このマニアックな風貌の店で、だご汁をいただく。
店のおばあちゃんから聞いた話では、山鹿の飲み屋街はコロナ禍で4割が閉店してしまったのだとか。

街歩きを面白くするのは、風俗街の歴史。
山鹿温泉も、赤線の跡が色濃く残るので、東京DEEP案内とかが好きな方はめちゃくちゃ楽しめると思います。

米米惣門ツアー

山鹿温泉と言ったら豊前街道の街並みが特徴。
来た方には絶対に体験してもらいたいのが、この米米惣門ツアー!

前日までの予約が必要だが、1時間程度で600円、お土産や体験付きで街の歴史や文化風土に触れることができる。
これは観光地、越後湯沢に持ち帰りたいコンテンツの一つ。通常ツアーって、数時間かけて、数千円を出して。というので参加のハードルが高い。スキマ時間でも体験できるような絶妙な時間設定と、プライシング。最高です。

ツアーの待ち合わせ場所は酒蔵さんの駐車場
右・木津本店の9代目井口(いのくち)さんと、真ん中・コーディネートをしてくれた田河さん

まずは麹を扱う木屋本店へ。
9代目の井口さんが迎えてくれ、なぜ米米なのか?の説明をしてくれる。

山鹿市を流れる菊池川は、肥後米の中でもブランドの菊池米を運ぶ要所。山鹿温泉は交通の要所になっていたため、米問屋が栄え、米に関わる産業が発達していったんだとか。
このツアーは、米を原料に商売をしている3店舗がツアーの案内人を務め、ガイドがべったり付くのではなく、それぞれの店舗で説明をするスタイルのツアー。

 麹の仕込みをいまも手仕事で行われており、そこからの商品開発も盛ん。

井口さんからは、8/16に行われる山鹿の灯籠祭りについての話をたくさん聞かせてもらった。
女性が紙で作られた灯籠をかぶって踊る「千人踊り」が有名なイメージではあるが、それは昭和に役場の方が観光活性のためにやり始めたことで、本来の男性的な神事(神輿を担ぎ、灯籠を奉納し、五穀豊穣や家内安全等を願う)のが源流なんだとか。
灯籠祭りは、市外の方でも踊り手での参加も可能とのことで、祭り好きの方は山鹿と関係を深められる良い機会だと感じた。

30人程度のメンバーで多品種の酒造りを行う

次に移動したのが、酒蔵・千代の園酒造だ。
ここでは昔の酒蔵の道具展示などを見ることができ、試飲販売もできる。

珍しい「赤酒」はとろりと甘く、熊本のお屠蘇なんだとか

驚いたのが、こちらの酒蔵では米の精米も自社で行っているということだ!新潟では、米関連の産業がそれなりにあるため、精米は磨き屋さんがあって、蔵元はそこから磨かれた米を購入することがスタンダードである。そういうもんだと思っていたので、自社精米をしているということに風土の違いを感じる。

蔵元にいる神様

風土、という意味では、酒蔵のように自然を相手にして製品作りをしているところには神様を祀っていることはよくある。こちらにもいるのだ。
注目してほしいのは、米の豊穣を願ってということで、しゃもじを持っているということと、右の神様が片足は草履、片足は下駄を履いているということだ。この理由としては、雨が降った時も、晴れている時も、豊かに暮らせますようにという祈りが込められているそう。
ああ、だから日本の地域は面白い。

文夫ちゃんが、寺の説明を(真剣に)してくれる

次に移動したのは、寺。光専寺という浄土真宗の寺社だ。
江戸時代に建立されたとのことだが、この寺を建立したのは、山鹿一の米問屋。当時、米相場が大阪・堂島に置かれており、肥後米もこの米相場に送られることになった。それを始めて、巨額の富を得たため、地域への還元として寺を作ったんだとか。
写真奥に見える建屋は、お経の格納蔵となっており、当時識字ができない人たちが読経をする代わりに、蔵でお経が格納された本棚をぐるぐると回って、読経をしたことになったそう。

自称・山鹿のパワースポットなんだとか(笑)

次に向かうは、この文夫さんのお店、せんべい工房。
250度に熱した鉄のせんべい型に、味付けした生米を入れ、2秒圧力をかけてできあがるせんべいは、自然・素朴な味わいそのもの。

https://www.instagram.com/senbeikoubou/

この機械でせんべいを焼く。とってもレトロ。

文夫さんは、何度でもこのツアーに来てもらえるように、100%の話はしないという。文夫さんの話が面白くて、福岡県から月に2回はツアーに参加するファンの方もいるんだとか(笑)
コーディネートをしてくれた田河さんも、移住希望者の方が来た時にはほぼ必ず、米米惣門ツアーを組み込むようにしているのだけど、毎回文夫さんの話は違っているんだとか。

どうだろう?
この「たった」1時間のツアーのくだりだけでも非常に面白く、山鹿に行ってみたいな〜という気にならないだろうか。
街に歴史あり。文化風土あり。それをつないでいくためには、そこに人が住み暮らしをつくっていくことが重要。だから私は、日本全国で「住みたい街ををつくる 仲間を増やす」ために地方移住促進をやっている

中心街(豊前街道)エリア以外の魅力

かなりポテンシャルがあるスポットはこちら。
地元の不動産会社、三和不動産の若き経営者が手がける温泉施設・山鹿どんぐり村。大人500円で入れるアルカリ泉の温泉は、あつ湯・普通・ぬる湯と3種類楽しめるだけではなく、なんとペット専用温泉もある。

ペット専用温泉はコイン式。これを目的に県外からの来訪者も多数

そこをフックに、経営者の同学年だという、若手の精肉屋さんが新規事業として馬肉の販売+馬肉で作ったペットフード&ペット用アパレルやグッズの展開を行う。
お店を営むご夫婦にお話を伺うと、ドッグランもでき、この場所には可能性がたくさんあるけど、今いる人たちだけだとアイデアがあっても実行まではなかなか至ることができないのが悔しいんだとか。

プレシアさんの馬肉ドックフード (ECサイトに飛びます)
いまは使われていない休憩どころ

このご夫婦の店舗の裏には、2階建ての遊休資産が。食事どころもあれば、休憩スペース、カラオケルームなんかもある。使われていないのがもったいないのだけど、これを動かすには人手もお金も必要だから止まっている。

もはやおなじみになりつつある卑弥呼醤油

田河さんが現在事務所にしている、ゆ〜くんちもある来民(くたみ)地区へ。
前回訪問時に、味噌と醤油を買って行ったら、うちの小学生の娘がその美味しさに土産のリクエストをした卑弥呼醤油がある。ここでは、昔ながらの蔵に、販売所があり、その2階で味噌汁とおにぎりのセットや甘味などの飲食もできる。
無添加で作られた調味料は、食べた瞬間「気持ちがいい」を感じられる。是非機会があればご賞味あれ。

BOOKS ANTOKU

山鹿の魅力は、歴史文化が深く、古墳から近代史跡まで広くあることでもあるが、生活の利便性が高いというところもポイントである。
24時間営業のスーパーがいくつかあり(もちろん、九州といえば、のトライアルなど)、マックもあり、ニトリとかの大型ロードサイド店もあり。

そんな中でも一際面白さを放っているのがこちらの本屋。
BOOKS ANTOKUだ。

2階のレンタルコーナーの一角に、無料の自習室がある

本・雑貨・レンタルコーナーなどまでは一見どこにでもある地方の本屋なのだが、無料で使える自習室があるのだ!この日は雨で足元が悪いにもかかわらず、高校生たちが10人ほど自習室内で勉強をしていた。利用条件は、レンタルの会員カードをつくること。それが「定期券」として、たまに店員さんが定期券の確認に来られるんだとか。

山鹿市には、高校が4つ。普通高校、農業、商工と、私立が1校。
どこの地域でもそうだが、もれなく高校卒業すると人口が流出する。

廃校になった中学校の用務員住宅。お試し移住用の住居になっている

山鹿地域の中心街から10分程度にある廃校になってしまった中学校。
そこに3DKの旧用務員住宅があり、そこをお試し移住として利用ができる。
サイズ感としてはちょうどいい。こちらは最長1ヶ月利用が可能で、1日500円/人で利用が可能だ。

やまがBASEの中庭

田河さんに案内をしてもらうと、あこも廃校、ここも廃校・・・と廃校ばかり紹介される(笑)でも、その中でも利活用の方法が見つかり、売買で使い道が見つかったところがここやまがBASEだ。

やまがBASEでは、特定地域づくり事業協同組合という仕組みに認定されている。
簡単にいうと地域内での安定的な雇用を確保した上での人材の流動的なシェアリング(組合に加盟している企業等への人材派遣)ができるというもので、全国的に人材不足が叫ばれており、かつ季節性の労働が強い地域などで先進的に始まっている。

このやまがBASEの代表をしている中原さんは、Uターンで山鹿市に戻ってきた優秀なビジネスマンの一人。
こうした人が、地域でのモデルケースとして成功し、その姿を市民や高校生らに見せることが、地域に若者を入れていく1つの必要なピースだろうと考えている。
次回に熊本に行った時には是非お会いしたいな!

あつまるシルクの工場

鹿北地域に移動して、やまがBASEの組合員にもなっているあつまる山鹿シルクの工場まで。
事業協同組合の職員になると、こうしたところで働くことができる。
こちらも今回は時間がなくて外観だけだったが、また来ることになれば企業内で働いている人たちとも話がしたい。

山鹿には産直市場がたくさんある

回っていて面白かったのは、山鹿には道の駅をはじめ、産直市場がたくさんあるということだ。
この写真はJAかもとが運営するファーマーズマーケット夢大地館なのだが、市内の産直系の中で一番の売上なんだとか。確かに観光客らしき人たちも多かったが、周りにスーパーもないため、地元の方が日常使いで利用をされていた。精肉や魚、お惣菜コーナーやパンなどもあったので、売上No.1なのも頷ける。

山鹿市は栗の生産地で、和栗を使ったスイーツなどが人気だ。果樹や野菜の生産も盛ん。筍の出荷量は全国屈指。農業大国なのだ。

鹿央地区では加工場を借りることができる

農村振興の支援策なども多様にある。
そんな中でも農産物加工施設が2ヶ所(鹿央地区・鹿北地区)あって、農産物の加工のために市民がレンタルをすることができる。

まだまだ、行っていないエリアがありすぎるのだが、今回はこのくらいで。

中心市街地の魅力

温泉プラザ(右が商業施設、奥には市営住宅)

山鹿市山鹿1−1−1。そこにあるのが温泉プラザだ。
商業施設と市営住宅との複合施設になる。30店舗ほどの区画が並ぶ、昔ながらのショッピングセンター。

開業時の写真をもとに、盛衰を教えてくれる原田副理事長

突然の訪問にもかかわらず、快くいろんな話を教えてくれたのは、プラザ内でブティックを家族経営されていて、開業当時からのことを知っている、組合の副理事長の原田さん。原田さんは2代目で、開業時の出店に伴い、父親から声をかけられてUターンして家業に就くことになったそう。
当時は、隣にあったさくら湯も一体の施設になっており、人で賑わい芋洗状態だったんだとか。
当時のことを思い出して懐かしい気持ちになることもあるが、現在の状況に寂しさが募る。どうにかしたいという気持ちはあれど、自分たちも年だし、40代の出店者もいるが自分達の商売のことで手一杯でなかなか打ち手を打つことができないのが悩み、と貴重な話を聞かせてくれた。

原田さんの店舗の前も空き店舗に

きれいな内装で、造作も残る店舗もあるが、リーシングは苦戦している。
一つは賃料が旧時代のままということも原因であるとは思うが・・・。

温泉プラザ内の児童クラブ

温泉プラザの中には、放課後児童クラブや、小規模保育園などの子どもが日常的に通う環境もある。
また、商工会議所の事務所や、福祉事業所など、人が相談に来たりするようなテナントや機能なんかもある。

一方で、感じることとしては、それらが有機的につながっておらず、各々の政策や施策で完結してしまっているために面的に広がっている感じがしてこないのだ。非常にもったいない。

温泉プラザの上の市営住宅

上に市営住宅が備わっていることなんかも、活用するポイントにならないか。市営住宅は通常、申し込むためには所得が基準内であることなどが条件になっているが、転入してきた方にも利用できるようにすると、車がなくてもある程度は生活ができるだろう。

カフェ建築などが特徴的な飲食店街が至近

そんな温泉プラザの周りには、飲食店街が立ち並ぶ。
また、マック・ケンタッキーなどのチェーン店まで歩いて5分くらいだし、バスセンターや停留所も近くにある。

豊前街道沿いは、観光街と商店街とで分かれている

プラザ側の豊前街道には、生活の匂いがする商店街。クリニックや理容室、惣菜屋など日常生活で欠かせない機能が立ち並ぶ。
八千代座方面に歩いていくと、観光街になっていく。

歌舞伎の公演などが行われる八千代座

山鹿の近代の文化財がたくさん残る豊前街道のシンボル的なものはこの八千代座だろう。おおよそ800名は入ることのできる劇場内は、コンベンションホールとしても十分に活用ができる。
そのうち、弊社の出資元であるボーダレス・ジャパンが開催している、ソーシャルビジネスフェスをここでできないかと私は目論んでいる。

落語カフェ

八千代座の周りには、風情のある店舗が並ぶが、目を引くのはこちら。落語カフェ。出しているカフェメニューも、地元の茶葉を使ったティーメニューなど気が利いている。
山鹿市は、八女茶で有名な福岡県八女市の南に位置し、鹿北地域で特に茶葉の栽培が盛んだ。

今回行けなかったが次回は是非に・・・

この豊前街道沿いには、グルメのお店も数多く立ち並ぶ。
今回も行けなかったけど、1年前から田河さんにおすすめされていたのがこのスペイン料理店サグラダ。

このほか、石窯ピザの店もあれば、うなぎ料理、馬肉料理、ラーメンなど、選びきれないほどの飲食店があり、しかもリーズナブルに食べられるというのがこの観光地・山鹿温泉の魅力だ。

サグラダ近くの交差点にあった井戸

山鹿市の魅力としては、水だろう。熊本は水の国と言われ、だから半導体の工場ができるくらいなんだが、山鹿は井戸水の美味しさ、伏流水の美味しさが県内でも段違い。
田河さんの奥さんは、水のおいしさに惹かれて山鹿に移住をしてきたし、熊本県内から山鹿市の湧水を汲みにくる人で週末は溢れかえっているくらい。

山鹿市役所の庁舎は非常にきれい

今回の仕事は、山鹿市役所でのアドバイザリーを行うことが一つメインだった。2014年に竣工した市役所の庁舎は非常にきれいで近代的なつくり。

福岡で創業し、熊本市内にも拠点を構え、主に地方での起業支援などで活躍をするローカルベンチャールームの代表・富田さん(トミーさん)を市役所の方にご紹介することが一つの目的でもあった。

実はトミーさんは、小学校まで山鹿にいたという出身者。ご自身は、中学校進学を機に実家を出られたとのことですが、山鹿の中心街で祖父母が商売を行っていたそう。先に出した、温泉プラザの非常に賑わっていた頃なんかもよく知っており、毎日のように温泉プラザで買い物をして、風呂に入って帰るという生活をしていたため、現在の活気がなくなっている市街地の状況に寂しさを抱いている一人。

魔改造!魔改造建築ファンに見せたい物件
市役所横の「小路(しゅうじ)」

市役所付近にも商店街が立ち並ぶ。
路地のことを小路というのだが、弊社の事業エリアである新潟県三条市では「こうじ」と呼んでいるものが、山鹿では「しゅうじ」というのだそう。

こうした小路に存在する、小さな商店たちは後継者がいないところが多いようだ。これは全国的な問題でもあるが、事業承継ができないにはいくつかの理由がある。そのビジネス単体だとメシが食っていけないということだ。

山鹿青年会議所の事務所。レトロモダン

小さな商店主たちが、苦心しながらも切磋琢磨して踏ん張っている。
そんな様子や息遣いがこの山鹿にくるとより手触り感をもって見てとれる。

そこに対して、どんなことができるのだろうか。
私たちは、この山鹿の資産に外からの目線で光を当て、中の人と共同していきながら、資産を、人をつなぎ、事業をつなぎ、次世代により良い形でつないでいく。
そんな形を模索していきたい。

山鹿では、イノベーション拠点の実証実験という事業の中で、アドバイザリーボードとしてお招きいただいています。
どんな課題があり、どんなことをやっていこうとしているのか、もう少しまとまってきたらレポートできるといいなと思っています!

おまけ

おまけの写真集

豊前街道沿いの寺院の門。文化財
銀行の横のポストに、灯籠
山鹿灯籠民芸館は、旧安田銀行
大正レトロが香る、豊前街道(観光街側)
温泉プラザ、さくら湯の前の公園には足湯が
マンホールもツボです
こういうのが好きな人は山鹿に一度来てみて

本当に良いところで、交通の利便性がもう少しよければ、二拠点したいなあと本気で考えています。
古い街並みや歴史、花街などが好きな方は一度旅行に訪れてみてほしいです!

「魅力的なまちで溢れかえっている世界を」作り「地方で暮らす人を増やし消滅可能性都市をなくす」ことをミッションに動くまちづくり会社社長。湯沢町で暮らす2児の母でもある。