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素人が半年間マンガを習ったらどうなるの?(前編)

こんにちは。働く漫画描き、もずです。

先日、今年の5月から半年間通っていたコルクラボマンガ専科が修了しました。とても楽しく充実した半年間で、本当に通ってよかったなぁというのが素直な感想です。

さて、どういった講義内容だったかは同期の皆さんがnoteにまとめているのでそちらを読んでいただくとして(最後に紹介します)、このnoteでは

「で、半年間でどうなったの?」

というところを、前後編に分けてまとめていこうと思います。

コルクラボマンガ専科では最終回を除いて毎回マンガに関する課題が出ていました。その課題を振り返りながら、マンガ素人が半年間でどれだけ成長できたのか、はたまたできなかったのかをいっしょに見ていきましょう。

結構長いので、忙しい方はマンガの部分だけさっと読んでもらえればOKです。

ではでは、どうぞ〜。

このnoteをすすめる人

・コルクラボマンガ専科に通おうか迷っている
・素人だけどマンガを描いてみたい
・素人が半年でどう変わるのか気になる

はじめに

まず、コルクラボマンガ専科と私自身についてお話ししておきます。

・コルクラボマンガ専科(以下マンガ専科)とは、プロの「マンガ家」を育成する講座
・今回私が参加したのは第3期で、初の全講義オンラインだった
・私はマンガとは全く関係ない仕事をする会社員。マンガ専科に応募するまで、まともにマンガを描いたことはなかった

こんな感じです。

ちなみにマンガ専科参加時点での私のTwitterのフォロワー数は200人くらいでした。

選考課題:自作マンガ3本

マンガ専科は申し込み時に自作のマンガを3本提出する必要がありました。どうも選考があるらしく、全員が全員参加できるわけではないようです。

ある意味、ここで提出したマンガが、一番最初の課題だったと言えるかもしれません。

ちなみに私が出したマンガがこちら↓

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マンガ専科を知る前だったのですが、友人の話が興味深かったのでなんとなく描いてみたマンガです。

これとあと2本提出したのですが、まぁ同じようなクオリティのマンガでした。文字の大きさや色の塗り方から、まだまだマンガを描くのに不慣れな感じが伺えます。

事前課題:自己紹介

幸いにも選考を通過し、マンガ専科への参加を許されたのが、4月23日のこと(メールでお知らせがきました)。

その後、早速事前課題が出されました。

事前課題1:文章で自己紹介をしよう!
事前課題2:1Pマンガで自己紹介をしよう!

私の提出した事前課題1「文章での自己紹介」がこちら(マンガではないので読まなくてOK)↓

事前課題2「1Pマンガでの自己紹介」はこちら↓

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ちょっと変わったことをしたいという下心を感じますね。

選考用に提出したマンガを描いてから「文字は手書きではない方が読みやすいのでは?」と気づき、このときはきちんと写植を入れています。

この課題をTwitterにあげたところ、同じくマンガ専科の同期の方がたくさんフォローしてくださり、30人くらい一気にフォロワーが増えました。

1回目課題:「桃太郎」を描く

さて、記念すべき1回目の講義は「マンガ家になるとは?」でした。そして課題は「1~2Pで『桃太郎』を描く」

この課題を受けて描いた私のマンガがコレ↓

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この(よく言えば)シンプルなマンガですが、この程度でもめちゃくちゃ時間がかかりました

フルカラーで色を塗るのも一苦労、吹き出しひとつ描くにも何度も描き直したりして、

「マンガって本当めんどくせーな」

と心底思いました。

初回ということもあり、他のみなさんもかなり気合入れて描いてるなーという印象でした。てっきり褒められるかと思いきや、この課題に対する全体講評は

「みんながんばって描きすぎ!」

だったのです。「このクオリティで続けられる?」とも言われました。(む、無理だ……)

特にマンガを描き始めた頃は「量>質」の方が上達するから、きれいに1本仕上げるよりも、どんどん量産していこう、とのことでした。

「睡眠時間削って描いてない?」

と言われてドキッとしたのも覚えています。

このとき「せっかくキレイに仕上げたのに……」と思う一方で、

「まぁ別に吹き出しをキレイに描きたくてマンガ描いてるわけじゃないからな……」

と妙に納得したのでした。

ここからは「マンガをたくさん描くにはどうするか」に悩むことになります(今現在も悩み中)。

しかしこのマンガ、スマホで見るとめっちゃ文字が小さくなるんですよね(頑張って読もうとしてくれた方、スミマセン)。

最近はマンガもスマホで読む方がほとんどで、マンガ専科でも「スマホだとどう見えるか確認しよう」と度々言われていました。今これを描き直すなら、とりあえず文字を大きくすると思います。

2回目課題:「ペンタブとの想い出」を描く

2回目の講義は「デジタルツールの使い方」。課題は「10コマ程度(1〜2P)で『ペンタブとの想い出』を描く」でした。

この課題を受けて描いた私のマンガがコレ↓

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ペンタブを家電量販店以外で触ったことがなかったため、想い出を捏造するに至りました。ごめんなさい。

マンガ専科では、これからのマンガの形として縦スクロールのマンガを推奨しており、このとき私も初めてトライしてみたのでした。ページの区切りがないので、コマ割りをそれほど考えなくていいのは楽でしたね。

この2回目の講義でClipStudioが取り上げられたこともあり、この頃からClipStudioを使ってマンガを書くようになりました。(それまではibisPaint)

3回目課題:「桃太郎」を描く

3回目の講義は「SNS戦略」。そして課題は「10コマ程度で『桃太郎』を描く」でした。

また桃太郎かい!と思うかもしれませんが、今回は2つ条件があり、

条件1:プルチックの輪を使って、伝えたい感情とシーンを決める!
条件2:その感情が際立つように描く!

以上を守って描かなければいけませんでした。(プルチックを知らない人はググってください)

この課題を受けて描いた私のマンガがコレ↓

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桃太郎が生まれるシーンで、おじいさんおばあさんの「驚き」「驚愕」の感情を描きました。

1回目の課題講評で「がんばって描きすぎ」と言われていたので、この頃からできるだけ省力化を図っています

単色で写植なし。色がブルーグレイなのは「なんだかオシャレな気がする」という下心です。

iPadでClipStudioを使うと文字を入れるのが本当に時間がかかるので、手書きにすることでだいぶ時間短縮&ストレス減となりました。

4回目課題:台本をもとに桃太郎を描く

4回目の講義は「演技指導から学ぶキャラと演出のワークショップ」。そして課題は「台本をもとに10コマ程度で『桃太郎』を描く」でした。

まだ桃太郎描くんかい!と思うかもしれませんが、描くのです。

与えられた台本がこちら↓

A 「ねぇ、ちょっと見て、こんなの川で拾った」
B 「わっ、デカ!」
A 「すごくない」
B 「すごくないって・・・・どうすんの」
A 「(受けて一言)」
B 「(それを受けて)」

そして、この課題を受けて描いた私のマンガがコレ↓

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フルカラーではあるものの、だいぶラフな線と塗りになっていますね。

このあたりから、マンガを描くハードルがかなり下がりました

マンガ専科始まった当初、私にとってマンガを描くというのは「よし、描くぞ!!!」と一大決心が必要なものでした。絵が下手という自覚もあり、「せめて丁寧に」と考えて余計に時間がかかっていました(今思うとなんてけなげ)。

しかしマンガ専科で何度も「質より量!」と言われる内に、内容が固まったらすぐ描き出せるようになりました。気持ち的には大きな変化で、上達への第一歩なのではないかと思います。

5回目課題:表現実習で考えたこと、発表したことをマンガにする

5回目の講義は「表現実習1:想いを言葉にする」。課題は「表現実習で考えたこと、発表したことをマンガにする」でした。

そして、この課題を受けて描いたマンガがコレ↓

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表現実習では二人一組になって質問をし合うことで、お互いの内面を掘り下げていきました。

最終的に取り上げるテーマがたしか「自分が気にしていること」だったので、いくつかの候補の中から「自分の容姿」を選んだ気がします。

このときはちゃんと写植を入れていますが、ペンの色は黒にしていますね。ブルーグレイのブームは終わったのでしょうか。方針が定まっていません。

個人的には手書き文字のマンガはすごく好きなのですが、モノローグや吹き出しのセリフが写植だと手書き文字が映えますね。甲乙付け難し。

6回目課題:自分のキャラクターでLINEスタンプ40種類の顔を描く

6回目の講義は「イラスト力アップ」。課題は「自分のキャラクターでLINEスタンプ40種類の顔を描く」でした。

そして、この課題を受けて描いたイラストがコレ↓

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こちらはたしか「いろんな表情の引き出しを作ろう」という意図の課題だったかと思います。

LINE公式スタンプを自分のキャラ(?)のネコで模写してみました。見覚えのある顔も多いのではないでしょうか?

この回の課題は例外的にマンガではなかったのですが、模写してイラストを描くというのは単純に楽しかったです。

さりげなく小道具(2枚目真ん中下のティーカップとか)があるのに気づいて、スタンプってなんとなく雰囲気だけ見てるんだなぁという発見もありました。

番外:ちょっとバズる

ちなみにこの6回目の講義の日に、初めてちょびっとバズります

課題とは関係なく描いたマンガで、「47RT・234いいね」までいきました。それまでせいぜい30いいねくらいだったのを考えると相対的にバズっています。自分的には快挙です。

そのマンガがこちら↓

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このマンガに対しては「私も!」と言ってくれている方が多く、嬉しかったと同時に、「やっぱりSNSは【共感】が強いんだなぁ」とあらためて実感しました。

7回目課題:表現実習2で考えたことを元に、伝えたい相手と自分が出てくるマンガを描く

7回目の講義は「表現実習2:相手に響くように伝える」」。課題は「表現実習2で考えたことを元に、伝えたい相手と自分が出てくるマンガを描く」でした。

そして、この課題を受けて描いたマンガがコレ↓

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こちらも自分比でちょこっとバズり、「95RT・696いいね」までいきました。マンガ専科の講義内でも「いい夫婦だなと思った」と言っていただいた思い出のマンガです。

「相手に伝わるように描く」というのが課題の目的だったので、「講義の成果が出てるのかなぁ、伝わったんだなぁ」と嬉しかった覚えがあります。

前半3ヶ月でどうなった?

さて、ここまでがマンガ専科受講前〜前半の3ヶ月ちょっとでした。

この間でどう変わったか、受講前と3ヶ月目のマンガを比べてみましょう。

▼受講前

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▼3ヶ月目

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正直、画力という点ではまるで変わってないですね。

マンガ専科は絵を教える講座ではないので当然です。私自身、絵がうまくなるための努力を何もしていません(しろよって話ですが……)。

しかし3ヶ月で確実に変わったところがあります。それは、

・マンガを描くハードルが下がった
・構成を考えて描くようになった
・Twitterのおもしろさを知った

の3つ。順番に解説していきます。

1.マンガを描くハードルが下がった

本文中にも書きましたが、これは大きな収穫でした。

「質より量」と何度も言われたこと、また、どんなに拙い出来だったとしても「いいね」を押してくれる方々がいたことが、ハードルを下げられた要因だと思います。(いつもありがとうございます……!)

そもそも、マンガにおいて、かけた時間と評価って比例するわけじゃないんですよね。むしろさらっと描いたものがバズったりする。

それに気づいてからは、丁寧さに重きを置くのはやめました。絵は描いていくうちに上達していくとも言われていますし、今は描きながら経験値を積むしかないのかなと思っています。

2.考えて描くようになった

やっぱりせっかくマンガを習っているわけですから、それを取り入れたマンガを描こうと考えるわけですよ。

伝えたいことは同じでも、どうしたら伝わるか、わかりやすいか、おもしろいか……等々。マンガ専科で直接的・婉曲的にたくさん教えてもらったことです。

上であげた「妻から夫へのご提案事項」の場合だと、「提案って形から始まったらちょっと目をひくかな〜?」とかですね。

まぁそれほど大したことは考えちゃいませんが、ノープランで描き始めることはなくなりました。

3.Twitterのおもしろさを知った

Twitterは2016年から使っていますが、そのおもしろさに気づいたのはマンガ専科に入ってからでした。

それまではどちらかというと情報収集ツールとして活用していて、他のユーザーとの交流もほぼ皆無。孤独なものでした。

それがマンガ専科に入ってからは一転!

マンガ専科の「Twitterをどんどん活用していこう」という方針の元、特に同期の方々との交流が生まれました。お互いのマンガに感想を言い合ったり、近況にコメントつけたりして……それがとっても楽しい!

むしろ「あ〜みんなこうやって楽しんでいたのね!」という感じ。なんで誰も教えてくれなかったの〜もう〜。

自分のマンガへのいいね・RTはもちろん、リプライや引用RTで感想を言われるとものすごく嬉しい。

自分もいいなと思った作品には積極的にいいねを押したりコメントをつけたりするようになりました。Twitterは制作のモチベーションを確実に上げています。

一方で、Twitterの難しさも感じるようになりました。

フォロワー数やいいね、RTは数字が出ますから、どうしても他人と比べてしまいます。自分の実力は理解しているつもりですが、渾身のマンガへの反応がイマイチだったりすると、多少なりともガッカリします。

「バズは運だから」

というのもマンガ専科ではよく言われました。それも確かに事実なのでしょうか、そう言う人に限ってバズっているもんなんですよ!

美人が言う「人は顔じゃないよ!」とか、お金持ちが言う「人生お金じゃないよ!」とかに通じるなにかを感じてしまい、素直に受け入れられません。

正直「うるせー!お前が言うなー!!」って思っちゃいますよね。ええ、私は小さい人間です。

とはいえTwitterのおもしろさに気づき、以前より活用するようになったこと。これもマンガ専科3ヶ月での変化でした。

Twitterはこれからもほどよい距離感で運用していきたいものです。

後半に続く

長くなりましたが、以上がマンガ専科3ヶ月経過時点の「で、どうなったの?」でした。

後半戦と全体の総括も近々載せるので、よかったら読んでくださいね!スキも押してね!ついでにフォローもね!スキはログインしなくてもできるからね!(図々しい)

最後まで読んでいただきありがとうございました。

11/10追記:後編の記事はこちら↓

おまけ:おすすめマンガ専科レポ

マンガ専科のレポnoteはこのあたりがおすすめです。

▼かきもちさん

毎回講義後数秒でUPしていたかきもちさんのマンガ専科受講録(受講中にメモを取っているそうです)。「マンガ専科って具体的に何を教えてくれるの?」と気になる方は必読です。

▼コンテくん

1記事なのにマンガ専科の半年間がギュッとまとまっていて、とても読みやすいです。マンガを描くことによる本業への影響というのも、兼業マンガ描きとしては興味深いところ。

マンガ専科の方々は他にもたくさんnoteに参入しているので、ぜひ「#コルクラボマンガ専科」のハッシュタグを辿ってみてください!

以上、もずでした〜。

いただいたサポートは積み立てて大きいiPadを買います。