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素人が半年間マンガを習ったらどうなるの?(後編)

※このnoteは↓の記事の続きです。よければこちらの「前編」からお読みください。

こんにちは。働くマンガ描き、もずです。

このnoteは、「マンガの素人である私がコルクラボマンガ専科(以下マンガ専科)でマンガを習ったら、どのように変わったのか?」をレポートする記事、の後編です。

後編では前編に続いてマンガ専科の後半3ヶ月のレポートと、全体を通しての「で、どうなったの?」を書いていきます。

後編もまた結構長いので、忙しい方はマンガの部分だけさっと読んでもらえればOKです。

ではでは、どうぞ〜。

前編のふりかえり

マンガ素人だった私はコルクラボマンガ専科に通い、前半の3ヶ月(第1〜7回)で

・マンガを描くハードルが下がった!
・構成を考えて描くようになった!
・Twitterのおもしろさを知った!

さて、後半の3ヶ月(第8〜14回)ではいったいどうなったのでしょうか?

引き続き、提出した課題で振り返っていきましょう。

8回目課題:YAMAPの広告マンガを描く

8回目の講義は「『伝わる』とはなにか?〜出来事・情報〜」。課題は「YAMAPの広告マンガを描く」でした。

YAMAPとは登山のためのアプリ。そのアプリを紹介し、さらには山登りの楽しさを伝えるマンガを描くという課題でした。

この課題を受けて描いたマンガがコレ↓

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この課題はコンペ形式で、YAMAPのスタッフの方が決める「YAMAP大賞」と、YAMAPユーザーからの人気投票で決める「YAMAPユーザー賞」がありました。

せっかく描くなら賞がほしい。そう思って、素人ながら一応作戦めいたものも考えていました。それが以下の3つ。

1.山登りのシーンは描かない
山登りといえば道中や山頂での美しい景色が魅力ですが、それは画力の高い人が描いてナンボ。私の絵では勝負にならないので描かない(というか描けない)。

2.アプリの細かい機能は説明しない
露骨なPRは読む人も引いちゃうかなと思ったので、今回は避けました。

3.YAMAPユーザー賞を狙う
YAMAPスタッフによる「YAMAP大賞」は恐らくきちんとアプリの紹介をしているマンガが選ばれると思ったので、王道じゃないけど好きな人は刺さって表が集まるような路線を目指しました。

とまぁ、自分なりにそれらしいことを考えては見たのですが、結果は惨敗。。無念。

でも私の思う「山登りの好きなところ(帰宅後のまったりタイム)」が描けたので、内容としてはとても気に入っているマンガです。

ちなみに見事「YAMAP大賞」をかっさらったコンテくんが「YAMAP PRマンガコンテストで"どうすれば勝てるか"を考えたこと」というnoteを書いています。非常にためになる内容で膝をバシバシ打つこと間違いなし。おすすめです↓

ちなみにYAMAPコンペの結果はこちら↓


9回目課題:高須光聖さんの脚本をマンガ化する

9回目の講義は「『感情』の伝え方」 。課題は「高須光聖さんの脚本を12P程度でマンガ化する」でした。

この課題を受けて描いたマンガがコレ↓

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いやー、長いですね!全13ページ!こんなに長いページ数を描いたのはこれが初めてでした。

途中で「どう考えても間に合わない」と気づき、色塗りを諦めています。読者には巻頭カラーだと思ってもらうことにしました。

この課題で難しかったのは、指定のページ数(12P程度)でちゃんと脚本をマンガにすることでした。

同期の中では脚本を大胆に解釈していた方も多かったのですが、私は

「せっかく脚本家の方に書いてもらったんだから、なるべく脚本の内容に忠実にマンガにしたいなぁ」

と考えました。ボリュームはそのままでページ数を収めるのに苦労しましたね〜。

そして、このマンガを描き上げて気づいたのが、

「私のマンガは思い切りが足りない!メリハリがない!」

ということでした。

ページ数がそれなりにあったため、なるべく顔マンガ(顔のアップばっかり出てくるマンガ)にはならないように気をつけていたのですが、逆にどこが見せ場なのかわかりにくくなってしまったかもしれません。

ページ数を抑えようとしたのもあり、同じくらいの小さなコマが続いてしまっています。集中線等の効果もほとんどなく、メリハリがありません。

こういうのって描いているうちは気付かないんですよね〜。

今回の課題は全員が同じ脚本をマンガ化していることもあって、他の同期の作品を見て「あー、この描き方いいなぁ」と学ぶところも多かったです。

10回目課題:表現実習3で考えたこと、発表したことを元にマンガを描く

10回目の講義は「表現実習3『社会に説得力を持って書く』」 。課題は「表現実習3で考えたこと、発表したことを元にマンガを描く」でした。

この回は、今までやってきた表現実習の最終段階。表現実習1では「自分」、2では「相手」、そして3では「社会」に対して自分の考えをどう伝えるかがテーマでした。

この課題を受けて描いたマンガがコレ↓

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前回の課題で思い切りが足りないということがわかったので、思い切って大きなコマ割り&巨大なフォントを使っています(4ページ目)。

さて、表現実習は基本的に「誰にどう思われようが、自分の考えをちゃんと出すことが大事」と言われていました。

じゃあもう自分のエゴの部分を全開で出しちゃお!と思って描いたのがこのマンガです。

自分のマンガながら、現代の創作者としてはちょっとグッとくる内容になったと思っています。女の子が床にへばりついているコマが好きです。

エッセイマンガではありますが、言いたいことは自分ではなく女の子のキャラに言わせていますね。

「こんなことを言ってくれる人がいたらいいな」が、私の創作の元になるみたいです。人から言われて気づきましたが、この傾向は後述の最終課題にも表れている気がします。

そして、このマンガが自分史上一番バズりました。2689いいね・304RT。2020年11月現在、いまだに更新されていません。

ちなみに、このマンガは講義中に講評をいただきました。

「4ページ目の女の子のセリフを受けて、【私】の感情の描写があるといいかも」

とのこと。そこで差し替えたのが↓です。

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どうでしょう?

こちらは「変更した後の方がいい」という意見と「変更前の方がリアルでよかった」という意見を両方いただきました。

どちらが正解というよりは、「伝えたいことが何か」によるんでしょうね。

変更前のまだ自分を取り繕っている表情か、変更後のハッとした気づきの表情か。

どっちがいいかなぁ。まだ決めかねています。このへんがマンガの難しくておもしろいところかもしれません。

11回目課題:「バディマンガの8枚紙芝居を作る」

11回目の講義は「『ストーリー』の伝え方」 。課題は「バディマンガの8枚紙芝居を作る」でした。

マンガ専科の最終課題がこの「バディマンガ」。要するに二人組の物語ですね。最終課題の16〜32ページを描き上げる前に、まずは8枚でまとめてみようという課題です。

この課題を受けて描いたマンガ(?)が「呪い屋さんへようこそ!」です↓

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……というお話でした。

この課題はとにかく「キャッチーなお話にしよう」と考えて作りました。

キャッチーといえば「意外な組み合わせ」ですね。幕末×宇宙とか、学校×暗殺とか、ホスト×部活とか、最終兵器×彼女とか、ヤンキー×住職とか。

この課題でいえば「呪い×役所」でしょうか。

呪いをかけるのに「3番の番号札でお待ちのお客様〜」とか、市役所や銀行っぽくシステマチックだったらおもしろいかなぁと思ったのがきっかけです。オチもちょっとホラーっぽい感じで気に入っていました。

しかし、こんなふうにキャッチーであることを意識したばかりに、最終課題はかなり序盤で行き詰まってしまうのでした……。

12回目課題:バディマンガのクライマックスを描く

12回目の講義は「『感動』の伝え方」 。課題は「バディマンガのクライマックスを4Pで描く」でした。

この課題を受けて描いたマンガがコレ↓

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とりあえず課題の締め切りが来てしまったのであげたマンガです。

ここにきて、

「クライマックスはこれだとして、それまでをどうする?」

という問題が浮き彫りになりました。前回の課題で話の要点は決まっていたのですが、それらを繋ぐ「線」を描ける気がしなかったのです。

似たようなことを漫画家の曽山さんもつぶやいていました↓

めっちゃわかる!!!!!

マンガを描く前は誰かの作品を読んで「このくらいの話なら自分でも思いつく」なんて生意気にも思ったことがありましたが、いやほんと、とんでもない話ですよ!

「いろいろあって」を、矛盾なく、かつおもしろく描くのが難しいのです。それをこのとき痛感しました。

結局この呪い屋さんマンガは最終課題にはならず、お蔵入りになることに……。

日の目を見なかった不憫なマンガ……だったのですが、このクライマックスマンガに同じマンガ専科の声優枠のかけさん(@kakelog)が声を当ててくださったのです!!!↓

ええ声〜!
演技うま〜!!
声の使い分けすご〜!!
ていうか二人ともかわいすぎる〜!!!!!

……まぁ一言で言うと最高ですね。

なんだろうこのアニメ化気分。いい声が当てられると、とても名作だった気すらする。

こうしてあらためてセリフを耳で聞くことで、コマ割りのテンポの悪さにも気づいたり……声の効果、本当に素晴らしいです。

これでこの作品も成仏できたかなーと勝手に思っています。ほたさん、本当にありがとうございました!

13回目課題:テーマ「バディ」のマンガを描く

13回目の講義は「『感動』の伝え方」 。課題は「テーマ「バディ」のマンガを16〜32Pで描く(ネーム可)」でした。これが最終課題ですね。

「呪い屋さん」はお蔵入りになったので、急遽二番手に考えていた「キャッチーとは程遠い地味マンガ」を描くことになりました。

そのマンガがコレ……と載せたいのですが、36ページとやや大作である上に、ネーム状態であまりに汚いので、ここでは初めの3ページだけ掲載します。

初のオリジナルストーリーマンガ「三山くんはしゃべらない」です↓

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なんていうか、ほんとに謙遜じゃなく汚くてすみません。今回提出された課題の中で群を抜いて汚い自信があります。

これくらいの汚さでも「全部読んでもいいよ」という方はこちらへどうぞ↓

いや、当初はきちんと清書する予定だったんですよ!

ただ、時間がなかったのと、「どうせ講評を受けて描き直すだろうからな……」という怠け心により、紙に描いたネームのスキャンデータで提出しまいました……。

ただ有り難かったのが、この状態でも読んでくれた上に、素敵な感想をくれた方(特に同期)が多かったこと!

私は……甘やかされている……(感涙)

恐らくマンガ専科に入っていなければ、ネーム状態のマンガを読もうと思ってくれるフォロワーさんもいなかったでしょう。

最後の最後で、マンガを描くコミュニティに入った有り難さをしみじみと実感したのでした。

素人が半年間マンガを習ったらこうなった

さて、前編・後編と続いてきましたが、以上がマンガ専科に通った6ヶ月間のレポートでした。

この間で私がどう変わったか、最後にマンガ専科受講前と6ヶ月目に最後に描いたマンガを比べてみましょう。

▼受講前(事前提出マンガ)

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▼6ヶ月後(最終課題)

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……なんか劣化してる?

いやいや違うんです!!

確かにフルカラーだったのがモノクロになってるし、デジタルで描いていたのがアナログ(しかもそのへんにあった裏紙に鉛筆書き)になってるし、雑さに至っては200倍くらいになっていますが、この6ヶ月で一番変わった点はそこではないんです。

一番大きな変化は、このレベルのマンガを世に出せるようになったこと

前編のまとめでも「マンガを描くハードルが下がった」と書きましたが、この半年間でハードルもとうとう地に埋もれた感じです。

マンガでもなんでも、他人に見せるとなるとどうしても「ある程度のレベルになってから……」と思ってしまいがち。

ただ、私はそんなふうに「もっと上手になってから……」とずっと考えていて、気がつけばマンガをひとつも描かないまま10年経っていました

でも、泳げない人が「もっと練習してから……」といつまでもプールサイドで水面を見つめていたとして、泳げるようになると思いますか?

それよりは、プールにザブンと飛び込んで、犬かきでもなんでもジャブジャブしてみた方が確実に早く泳げるようになるはずです。それに、そっちの方が絶対楽しい。

マンガ専科ではもちろん物語の書き方や感情の伝え方、SNSの活用法といったたくさんのことを教えてくれました。すごく勉強になりました。描くマンガもいくらかよくなったと思います。

しかし、なによりも「フォームなんてなんでもいいから泳ごうよ!」と言ってもらえたことが、自分の中でものすごく励みになりました。「えっ!私も泳いでもいいの!?」って驚きすらしましたよ。

しかも犬かきで3メートル泳ぐだけで「すごい!いいね!最高!」と褒めてくれるもんだから、どんどん調子に乗る。周りを見たら、同期のみんなも思い思いの泳ぎ方でザブザブ泳いでいる。

泳いでいるうちに、自分なりのフォームも見つかりました。まだまだ長くは泳げないけど、とにかく水に浸かっているのが楽しいなぁと思っています。

だいぶ例え話が長くなりましたが、結論。

素人が半年間マンガを習ったら、マンガを描けるようになりました。

文章で書くとまんまだ。でも、描こうと思って描けなかった時間があまりにも長くて、このことが自分の中では一番大きな変化でした。

* * *

最後までお読みいただきありがとうございました。

これから最終課題を仕上げようと思います。目標、今年中。

完成したらぜひ読んでくださいね〜。Twitterで進捗報告するので、よかったらフォローおねがいします。

以上、もずでしたー。

いただいたサポートは積み立てて大きいiPadを買います。