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水曜生まれの悲哀。ウェンズデーの楽しみ方。感想

公  開:2022年
監  督: ティム・バートン(1~4話)、ガンディア・モンテーロ(
5~6話)、ジェームズ・マーシャル(7~8話)
話  数:全8話
ジャンル:サスペンス/ホラー
見どころ:ハンドの活躍っぷり

イーニッド(人狼)との友情も見どころですメ~

映画「アダムスファミリー」といえば、生きることに価値を見出したりすることと正反対である、死に対して惹かれる一家を描いた作品です。

そんな一家の中において、長女であるウェンズデーは、映画版においても聡明であり、他人の同調圧力に対して一切ゆらぐことのない精神をもっているキャラクターとなっています。

そんなウェンズデーが高校生となり、のけ者と呼ばれるモンスターのような生徒たちが通うネヴァーモア学園で生活することとなり、両親のなれそめを知ることになるのが本ドラマの大きな流れから派生する物語となっています。

4話まではティム・バートンが監督をしているのですが、その面白さは圧倒的です。

父親であるゴメスが学園生活中に行ったという殺人事件。

町の人たちが襲われる事件。

事件の真相にウェンズデーが迫っていくにつれて、両親のこともわかっていくというストーリーであり、話だけ聞くとミステリー風に、頭脳と度胸でバリバリ解決していく推理を楽しむ作品と思うかもしれません。

本作品にミステリー要素はありますが、それすらも添え物だ、という風に書いておきます。

映画「アダムスファミリー」において面白いのはその価値観の違いや、家族愛の描かれ方なわけですが、俳優たちが繰り広げる数々の芸も魅力でした。

「ウェンズデー」では、ジェナ・オルテガ演じるウェンズデーが、芸達者っぷりを遺憾なく発揮します。

1話において、殴る蹴るのアクションシーンがあり、フェンシングによる格闘戦もあります。

情熱的な踊りを見せて、周りを圧倒させることもあれば、チェロを弾きこなす姿をみることもできます。

オーバースペックな能力を無駄遣いしつつ、謎の手の怪物ハンドを助手にし、力業で物語を進めていくあたりに魅せられます。

特に後半に顕著ですが、推理とか平気で間違ってます。

でも、かまわないのです。

本作品はミステリーではなく、ウェンズデーという主人公の圧倒的な活躍をみる作品だからです。

乙女ゲームか、というほどに、あらゆる方面からウェンズデーはモテまくります。

次々と男性陣に好意をもたれては、ダンスに誘われたりデートに誘われたりと、忙しいのですが、ウェンズデーは人付き合いが苦手です。

大枠の流れでいえば、様々な学校を転々としてきて、圧倒的な個人の能力で戦ってきた彼女が、友人たちを信じたり、結果として利用することで、巨大な敵に立ち向かうようになる、というジャンプ漫画的な面白さもあります。

目的の為なら手段を選ばないウェンズデーですが、完全なサイコパスというわけでもないため、時々、言いくるめられるところも面白いです。

学園は、かなりミニチュア化したハリーポッターのような世界にもなっており、ファンタジーな世界が好きな人も楽しめる作品となっています。

8話の中に様々な面白さがあったりしますが、普通の人たちとの価値観の違いというのが楽しむポイントだと思います。

映画「キャリー」の中で、冴えない主人公であるキャリーが、騙されながらもプロムナードで最高の瞬間に起きる悲劇があるのですが、そのオマージュのような演出が「ウェンズデー」で行われます。

周りの参加者が叫んだり転んだりする中、ウェンズデーは嬉しそうに一人微笑みますが、その赤い液体を舐めると、

「豚の血ですらない」

と、ウェンズデーは残念がります。

普通の人の悲劇が、ウェンズデーにとってのご褒美になったりする点がわかると、より主人公への感情移入は大きいものとなるでしょう。

監督の関係もあるでしょうが、4話までの面白さに比べて、5話以降は若干見せ場が少なくなりますが、いきおいで最後まで見れてしまう面白さのある作品ですし、これでシーズン2が作られないはずはないだろうな、と思われる含みのあるラストにもなっているので、色々と楽しみなところです。

また、映画版におけるウェンズデーと、いい意味で精神性が変わっていない、と思うエピソードも満載ですので、ドラマ版で気に入った方は映画版も併せてみると、よりウェンズデーに魅力を感じることができるようになるでしょう。


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