見出し画像

『フラワーズ・オブ・シャンハイ』 はしゃぐおっさん。映画の美。

ホウ・シャオシェン監督『フラワーズ・オブ・シャンハイ』(1998)

『冬冬の夏休み』などで有名な中国の巨匠ホウ・シャオシェン監督による19世紀末の上海の遊郭で色々する人たちの映画で、原作は古典文学だそうです。上海花じゃなくて海上花なのが素敵です。『冬冬の夏休み』ではガキがはしゃいで楽しいという映画を撮られていたホウ・シャオシェン監督。今回も彼の映画はやっぱり無二だなあと感じました。

この映画では、なんと、全然大したことが起こりません!!いい身分のおっさん達が遊郭に集まって指が何本上がるか当てっこするロクでもないしょうもない飲み会して楽しそう。ちょいちょい数人の女の話をして、また飲み会して、色々やってまた飲み会して、ちょっとした山が一つぐらい。おっさん達の飲み会は本当にろくでもなくておもしろいです。飽きもせず指が何本上がるかずっと当てっこしていて微笑ましい。

しかし、計算されたワンシーンワンカットの長回し、驚異的な美術、音楽、画面の色、そして何より羽田美智子さん、カリーナ・ラウさん、ミシェル・リーさんら、バカ美しい遊女方が圧倒的雰囲気を作り出しており、非凡な才能を感じさせます。特に自分は音楽がとっても気に入りました!!音楽自体はもちろんその使われ方も最高で。入り方とか消え方とか…

全然大したことが起こらない長回しなので本当に体感時間は凄まじく長いのですが、体験として苦ではありません。ただ、こういう映画の宿命ではあるのですが、この空気が合わないと厳しいかもしれないですね。客を選ぶ映画ではあるものの、好きな人はとことん好きな映画だと思います。

東京フィルメックス-京都出張編-、今日でプログラムは終了ですね。色々と観させていただきましたが自分が観たのはほとんど起伏のない長回しで撮られる映画でした。映画祭などは行ったことがなく配給がついていない映画をこんだけ観たのは初めてでいい体験になりました!ありがとうございました。

(文:松澤)

参考:

第20回東京フィルメックス https://filmex.jp/2019/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?