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東京フィルメックス-京都出張篇-レビュー

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2020年に京都の出町座と京都シネマで行われた「東京フィルメックス-京都出張篇-」のレビューをまとめています。
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記事一覧

『フラワーズ・オブ・シャンハイ』 はしゃぐおっさん。映画の美。

ホウ・シャオシェン監督『フラワーズ・オブ・シャンハイ』(1998) 『冬冬の夏休み』などで有名…

『ファンさん』

ワン・ビン監督『ファンさん』(2017) アルツハイマー病で寝たきりとなり意思疎通もできないフ…

『堀川中立売』ヒモとホームレスは式神の夢を見るか

東京フィルメックス-京都出張篇-『堀川中立売』(柴田剛、2010) 京都の堀川今出川、晴明神社…

『タルロ』 無垢なおじさんが放り込まれてしまったただならぬ世界は私が生きるここ

ペマツェテン監督『タルロ』(2015) 小学校の時覚えた毛沢東の語録を丸暗記している程に記憶力…

『オールド・ドッグ』 時代の過渡期に消えていくことしかできなかったモノ

ペマツェテン監督『オールド・ドッグ』(2011) 第12回東京フィルメックスで最優秀作品賞を受…

『草の葉』 ハイセンス群像劇

ホン・サンス監督『草の葉』(2018) 韓国の映画監督の中でも世界的に評価を受ける一人であるホ…

『アイカ』 移民、貧困、女性、現実

東京フィルメックス-京都出張編- セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ監督『アイカ』(2018) ロシア、ポーランド、ドイツ、カザフスタン、中国の合作です。これはまた、非常にキツイ映画でした… 階級的弱者の個人を撮り、ハンディの揺れ揺れのカメラでその個人を追い続け、また音楽は全くなく、そしてあのスタッフロールの入り方。映画としてはジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ兄弟のものを彷彿とさせます。自分は彼らの『息子のまなざし』がとても好きです。 その一方内容的にはダルデン

『昨夜、あなたが微笑んでいた』 カンボジアの若き監督が淡々と収めた生家の収奪

『昨夜、あなたが微笑んでいた』は、ニアン・カヴィッチ監督が、カンボジアはホワイト・ビルデ…

突然の退去勧告、当事者の監督が記録したドキュメンタリー

東京フィルメックス-京都出張篇-『昨夜、あなたが微笑んでいた』(ニアン・カヴィッチ、2019)…