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『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』阪元裕吾監督インタビュー🎤

こんにちは!映画チア部大阪支部の(なつめ)です。

気がついたら3月…🌸だいぶ暖かくなってきましたね〜
寒いとどうしても家の中に引きこもりがちな私なので、暖かくなって活動しやすいこの時期は最高です!!


寒くても暖かくても行きたいのは映画館ー!ということで、今回は、3月24日(金)から全国公開の『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』を観に行きませんか?と猛プッシュする回です!!

数館での上映から口コミなどで上映館数が増え、大盛り上がりを見せた『ベイビーわるきゅーれ』の第2作で、前作で大好きになったちさととまひろにまた会えます!!嬉しい👩🏻🧑🏼❣️🔫

今回、監督・脚本の阪元裕吾監督にインタビューさせていただきました🎤
今作のことはもちろん、ちさととまひろという2人のキャラクターや、「殺し屋」を描く思い、監督の学生時代のお話などをうかがいました。
ぜひ最後まで楽しんで読んでください!




(聞き手:なつめ)


チア部:前作『ベイビーわるきゅーれ』を経て、シリーズ2作目となる『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』の制作に至った経緯を教えてください。


阪元監督:前作の頃からやりたいと言ってはいました。

予算1,000万円とかで撮った前作に関しては、前評判とかでは特に期待されていなくて、初日もそんなに埋まってなかったんです。アクション映画は金かかってなんぼみたいなところもあるので、低予算のアクション映画っていう段階でまず誰も観ないっていうか。

でも口コミで徐々に広まっていって、最初数館での上映だったのが何十館に拡大したり半年以上公開したり、ほぼないことが起きました。それで、じわじわと「2やるか」みたいな感じになりました。


チア部:お客さんの盛り上がりを見て、っていう感じだったんですね。


阪元監督:そうですね。


チア部:前作も今作も、かっこいいところとゆるゆるなところの緩急の付け方、ギャップが最高でした!

ちさととまひろ、殺し屋の女の子2人とその他の人たちのバッチバチなアクションシーンの非日常感と、ゆるゆるな雰囲気でぼそぼそと2人が言葉を交わす日常感の絶妙なバランス感を生み出すために気をつけたことはありますか?


阪元監督:さっきも言ったとおり予算がなかったというのがまず1つです。予算があったら『ワイルド・スピード』シリーズみたいなアクションをできると思うんですけど、そうじゃなかったので。

それから、東京の生活史を描きたいという願望があって、生活かつ日常モノをやろうっていうのがスタートでした。『火花』(2017)とか『街の上で』(2019)とか。アクション映画版『この世界の片隅に』(2016)みたいなのも目指してて。日常を慈しむような作品にしようっていう思いがありましたね。

バランスで言うと、アクションシーンでの感情面、すなわち「殺したい」ってどのくらい思わせるかっていうところは気をつけました。例えば『鬼滅の刃』だったら「妹を助けるために」とかいう感情がわーっとあるじゃないですか。そこをなるべくなくすっていう。「ぶっ殺してやる!!」みたいな映画っていうよりは、「仕事やから殺す」っていうふうにすることによって、より日常感とコメディ感を感じてもらえる映画になったと思います。今作でも、ちさととまひろも敵の兄弟も、お互いに味方がやられたりする中でも、「ぶっ殺してやる!!」という感情を出さないということを大事にしました。前作のメイド喫茶での殺しシーンも、「運命で殺し合っている」、「仕事で戦っている」という感じを大事にしないと、殺し屋である意味がないというか。感情なしで殺せるのが殺し屋っていう装置だと思うので。例えば復讐が動機で殺すという設定にすると、「サラリーマンが頑張って殺す~」みたいな映画でもいいので。


チア部:ちさととまひろの会話がリアルだなと思って観ていたんですが、そういう会話や雰囲気はどういうところから拾ってきて脚本に落とし込んでいるんだろうと思いました。


阪元監督:「会話にリアリティがない」っていうのは「こんなこと言わんやろ」みたいなセリフ、説明台詞とよく言われますけど、そういうのが描かれるときですよね。そういうのをなくすために、人としゃべっているときのメモを大事にしていたり、自分でもしゃべりながら脚本を書いたりしてます。自分もそうだし、役者も言い方が変だとできないので。役者がしゃべるときのニュアンスもすごく気を遣います。

あとは『嵐電』監督の鈴木卓爾さんが以前言ってたんですけど、「脚本が王様になる現場は良くない」と。脚本を頑張って再現していくんではなくて、脚本はあくまでも指南書、マニュアルであって、それをどう人間に落とし込むか。


チア部:2人のキャラクターがすごく魅力的で、個人的には「ふたりはプリキュア」感があるなぁと思って観ていたんですが、キャラクターづくりの過程でイメージしていたものや参考にしたものはありますか?


阪元監督:最初はアニメ『ガールズ&パンツァー』(2012)のキャラクターをイメージしていたんですが、それをそのままやっちゃうと萌えアニメ感がどうしても出ちゃうので…。

前田敦子さん主演の『もらとりあむタマ子』(2013)とか『この世界の片隅に』のすずさんとか、ドラえもんとのび太の関係とか、いっぱい入ってます。『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(2019)の2人もほんのちょっと。意識してっていうよりは、自分の中に入っているキャラクターで。劇場版のドラえもんとのび太の関係性が若干強いかもしれないですね。『映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)』(2013)でのび太のことをドラえもんが「君は良いやつだな」って言うんですよね。人のことを「良いやつだな」って言う関係って、弱いようで強いと思うんですよ。この映画ではそれがすごくドラマチックに描かれていて。そういうのを、特に前作では描こうとしてましたね。それで言うと、今作ではあまり考えてないです。前作で成長したまひろを、前作と同じように社会不適合者でコミュ障で…みたいなふうにはしないで、また別の側面を描くようにしました。


チア部:阪元監督は『ベイビーわるきゅーれ』シリーズ以外にも、殺し屋が出てくる映画をいくつか監督・脚本されていますが、殺し屋を描いた映画を作ることへの思いを教えてください。


阪元監督:最近とある日本映画を観たんですけど、それに出てくる警察が警察に見えなかったんですよね。真っ黒コートでいかつい男と細い若い女のコンビっていう、テンプレなんですけど。「ニヒルでクールでハードボイルドな刑事」が描かれた『あぶない刑事』シリーズとか西部劇の延長線上に今の刑事モノがあって、探偵モノとかもそうで。それがイメージとして残りすぎていて、結局フィクションの刑事や探偵にしか見えないという。

殺し屋に関しては、『ゴルゴ13』とかはありましたけど、実は実写では大きなシリーズってなくて。その路線さえやらなければ全然違う殺し屋が描けるという。「こんな刑事おるか!」はだめなんですけど、「こんな殺し屋おるか!」はギャグとして成立するしコメディになる。

それから、刑事もヤクザも組織という「社会」の中で動く存在で、映画でも組織、「社会」を描かないといけない。でも「社会」を描くと、暴力を振るったり人を殺したりする以前に1つ枷ができるじゃないですか。映画の中でその枷っていらんなって思ったりして、一番自由に嘘つけるのが殺し屋だという。


チア部:今作には定食屋が重要な場として登場して、「700~1,000円の壁」話も出てきますが、監督は定食屋で何を頼みがちですか?


阪元監督:え~~~……、揚げ物が多いかな。揚げ物です。


チア部:ありがとうございます!
監督はどんな学生時代を過ごされていましたか?


阪元監督:芸術大学に通っていて、先生とかには嫌われてましたね。持論ですけど、大学とかは戦ったほうが面白いと思います。良い成績を取るとか単位もらうとか、大学って誰かに評価してもらう最後の場所じゃないですか。社会に出てもそういうシステムはありますけど、仕事なので。一握りの人間しかそこから上がれない芸術大学だと、単位もらえたからといって売れるとか社会でも評価されるとかいうわけではない。だから単位とかより、自分のやりたいことをやってる人間でしたね。


チア部:芸大に入ったのは、ゆくゆくは映画関係のことをやっていきたいという思いがあったからですか?


阪元監督:そうですね。完全に映画ですね。


チア部:映画関係でやっていきたいと思うようになったのはいつからだったんですか?


阪元監督:高校のときに『パンズ・ラビリンス』(2006)を観て面白いって思ってからです。完全にこの映画がきっかけです。


チア部:学生時代に観て影響を受けた作品は何ですか?


阪元監督:『パンズ・ラビリンス』とか『ダイ・ハード』(1988)とかですね。


チア部:学生におすすめの映画を教えてください!


阪元監督:今やってる『BLUE GIANT』(2023)、面白くておすすめです。もちろん古い映画を観るのも良いですけど、今やっている映画を観るのが良いですよ。今しか映画館で観れないので。


チア部:それでは最後に、3月24日から、大阪ではなんばパークスシネマ、シネ・リーブル梅田、MOVIX八尾、MOVIX堺で公開の『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』をご覧になるお客さんにメッセージをお願いします!


阪元監督:大阪に行きたいので是非舞台挨拶に呼んでください!

それから、大阪の殺し屋の映画もいつか撮りたいと思ってます。東京で撮るのが難しかったのもあって、東京よりはロケーションとかが自由(?)な大阪で撮りたいです。

今作は笑える映画なので、劇場に笑いに行くっていうのを期待してほしいですし、いろんな感情になる映画だと思いますので、余韻の時間を作っておいてください!


チア部:ありがとうございました!




『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』

髙石あかり 伊澤彩織
水石亜飛夢 中井友望 飛永 翼(ラバーガール) 橋野純平 安倍 乙
新しい学校のリーダーズ
渡辺 哲 丞威 濱田龍臣

監督・脚本:阪元裕吾
アクション監督:園村健介
主題歌:新しい学校のリーダーズ「じゃないんだよ」
オープニングテーマ曲:KYONO「2bRaW feat. N∀OKI (ROTTENGRAFFTY)」
製作:奥村雄二 人見剛史 松原 憲 小林未生和
エグゼクティブプロデューサー:鈴木祐介/プロデューサー:角田 陸 後藤 剛
音楽プロデューサー:松原 憲/音楽:SUPA LOVE
撮影:伊集守忠/照明:日比野博記/録音:五十嵐猛吏/美術:岩崎未来/スタイリスト:入山浩章/ヘアメイク:赤井瑞希 仁部遥香
ガンエフェクト・編集・VFX:遊佐和寿/音響効果:吉田篤史/アクションコーディネーター:川本直弘/助監督:工藤 渉/制作:新関収一 小玉直人/スチール:富山龍太郎
「ベイビーわるきゅーれ 2 ベイビー」製作委員会(TOKYO CALLING/ライツキューブ/SUPA LOVE/渋谷プロダクション)
制作プロダクション:シャイカー
配給・宣伝:渋谷プロダクション
2023 年/日本/カラー/シネマスコープ/5.1ch/101 分
©2023「ベイビーわるきゅーれ 2 ベイビー」製作委員会

3月24日(金)より、関西では
大阪:なんばパークスシネマ、シネ・リーブル梅田、MOVIX堺、MOVIX八尾
京都:MOVIX京都
兵庫:kinocinema神戸国際、MOVIXあまがさき
にて公開!!!㊗️

また、4月7日(金)から、京都みなみ会館にて、前作『ベイビーわるきゅ一れ』と今作『ベイビーわるきゅ一れ2 ベイビー』の2作品が同時上映決定!!!㊗️


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