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恐怖の多い料理店

映画「The Menu」

「バベットの晩餐会」をはじめ、グルメ映画は大好物なのですが、これはちょっと違いました。

舞台となる「ホーソン」は、大洋上のどこか、遠い孤島にぽつんとあるレストラン。予約がとれないことで有名で、距離的にもお値段的にも一生に一度行けるかどうかの非日常空間です。ある夜、ディナーに集まったゲストは、実は所以があって集められた人々で、まるでアガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」の如く、ゲストは一人ずつ、シェフの手にかけられていきます。アミューズが出されるときはまだ、お皿の上のきらきらとした料理にときめくのですが、ストーリーが進むにつれ、料理が運ばれてくるたびに次は何がおきるのか、ハラハラしてきます。

シェフ役は英国俳優レイフ・ファインズ

メインのあと、メニューにないチーズバーガーがイレギュラーにオーダーされ、シェフ渾身の力作で、それはそれは美味しそうなチーズバーガーが出来上がるのですが、決して食べたいとは思えませんでした。
「殺される~!」という恐怖がなければ、料理もロケーションもとっても素敵なレストランなんですが。

いつか訪ねてみたいホテルリストにメモしてある、「ソネバブシ」という大洋上のホテルを思い出しました。港で靴とスマホをあずけて、船に乗っていき、ホテルに滞在するあいだは「ノーシューズ、ノーデジタル」で過ごすので、Wi-Fiどころか、テレビも、照明器具もないはずです。(もちろん、「ソネバブシ」では禁止されている行為をしたからといって、殺されたりはしません)
「ホーソン」のように、「料理は瞬間のもの、写真は撮らないでほしい」「食べるのではなく味わってほしい」といった、シェフの思いに共感する人だけに来てほしいという主張も分からなくはありません。
しかしながら、レストランのメニューは恐怖を感じるものではなく、ときめきを感じるものであってほしいです。見出し画像の「パーラーフクナガ」のいちごメニューのように。メニューはここいうのがいいです。きっと1月から始まる、いちごのシーズンが今から楽しみです。

これは数年前のいちごの思い出