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キム、カムバック

ドラマ「ベターコールソウル」

サスペンス度が増し、どうしてこうなるの~とジェットコースター展開だった最終シーズン。ジミー(ソウル)は嫌な男の典型に成り下がっていました。もともとそのけはあった金満弁護士となり果て、「いつかこんな家に住もうね」といってキムと見学したみたいな豪邸に住んで、趣味の悪い高級カラフルスーツを着て、これまた趣味の悪い安普請の弁護士事務所でふんぞり返ってテキトーに仕事。この時代にウォルターやジェシーの資金洗浄業務を請け負います。わたしが全話の中で一番好きなエピソード「運び屋」で、尿を飲んでまでも生きてキムのもとへ戻ろうとしたジミーはどこへ行ってしまったの?と悲しくなる堕落ぶり。いっぽうのキムは、「それキムのする仕事じゃないよ」と、見ているこちらが泣きたくなるくらいキムらしさを失います。けれど最後の最後に、ジミーは本来のジミー、キムは本来のキムに戻ってくれそうな期待を残して、ドラマは完結しました。

最終シーズンのジミーとキム

発見して、ひとりで喜んでいることがあります。
1)ジミーのアシスタントは最初から最後までフランチェスカ
ジミーとキムが開いた個人事務所に最初に面接にきたのがフランチェスカ。
ジミーが逃走する間際までシュレッダーしていたのもフランチェスカです。
フランチェスカは役所の自動車局で働いていたのに、刺激のある仕事がしたいとジミーのアシスタントになり、願望のとおり刺激のある毎日を送ることになりました。
2)ジミーの撮影隊はずっとニューメキシコ大学映像学部の映像作家志望
ジミーが自分の看板広告の前で偽装ムービーを撮るクルー、サンドパイパーのCMを撮るクルー、ジミー・マッギル法律事務所のCMを撮るクルー、ハワードを陥れるために判事の偽装写真を撮るクルーなど、ジミーが撮影を仕切るシーンで出てくるクリエーターが同一人物と思います(第1シーズンは学生だったが、最終シーズンは講義する側に成長)。ヘアメイク担当の女の子もずっと同じ人のような。
3)モノクロとカラーの意味合い
ジミーがシナボン店長のシーン、キムがフロリダで暮らしているシーンはモノクロ。弁護士として働く期間はカラーで描き分けていました。
ラストエピソードはジムもキムも弁護士ではなくなっているのでモノクロですが、二人がつける煙草の火は薄っすらカラーで灯るのです。ということは法律の火が付いたということ。キムは法曹界に戻るかもしれない可能性を秘めていると信じたいです。
これで一連の「ブレイキングバッド」スピンオフが完結しましたが、もしまた次回作があるとしたら、キム・ウェグスラー物語ではないかと思います。キムについての背景は少なく、これから創作できるからです。
キムのパーソナルヒストリーは、わたしの分かる範囲で以下の感じです。
・カンザスシティとネブラスカの間にある小さな町の出身
・家族はお母さんがいた
・チェロを習っていた
・アルバカーキのハムリン・ハムリン・マッギルで6年間、郵便係として働き、司法試験に合格。その後4年間、弁護士として勤務
・独立して個人法律事務所を設立
・シュバイカート&コークリー法律事務所に就職
・再び独立して、プロボノ弁護士となる
・ジミーと結婚
・ジャクソンマーサー基金の委員候補となる
・フロリダへ転居

自宅でよく着ているのはカンザスシティロイヤルズのTシャツ

キムは「ブレイキングバッド」には登場せず、「ベターコールソウル」ではハムリン・ハムリン・マッギルに勤めてからが主で、それ以前のキムは謎に満ちています。キムを演じたレア自身、キムには明確なキャラクター設定がされておらず、演じるうちに完成していったとインタビューで語っています。現に第1シーズンにおいて、キムの出番は少ないです。これには、主役であるジミーのキャラクター設定に重きが置かれたことがあると思います。これを考えた人は天才と思うくらい面白いキャラクター設定です。
・サモア大学の通信教育で法律の学位を取得
・愛車は黄色いスズキ
・オフィスはネイルサロン奥のボイラー室
・お兄さんは電磁波アレルギー       などなど

「ベターコールソウル」については、ニューズウィークのカルチャーコラムにいくつかトピックが掲載されています。リアは現在、映像プロデューサーと婚約中とか。いまのところ新作は確定してなさそうですが、ヴィンス・ギリガンさんとピーター・グールドさんはいつかきっと作ってくれるはず。キムが戻ってくる日を楽しみに待っていようと思います。

結構なボリュームのクラシック。小さめミニボンもあり

おまけは、シナボンのシナボンクラシック。最終シーズンにジミー(ジーン)がモールの警備室へ差し入れに持っていくシーンがありますが、こんなのしょっちゅう差し入れしてもらったら、うれしいけど太りますね。警備員の後ろのモニター映像で、ジミー(ジーン)の手下が転んでしまうのには大爆笑しました。