比較動物学から考える胸郭の発達

爬虫類は両生類と異なり長く頑丈な肋骨を腰椎部まで持つ。これは、水中での生活を捨て、重力に適応するための変化である。腰椎に存在する肋骨のため、体幹の回旋可動域はほとんど存在していない。

爬虫類の特徴は頚椎を有する事であるが、頚椎の発生のおかげで獲物を探索する範囲が拡大しより多くの獲物を捕食でき、摂取栄養量が増加したため、骨格の発達が促進されたのだろう。頚椎の発生に伴い頚椎部の肋骨は非常に短く痕跡的なものとなっている。

爬虫類は、より乾燥した住環境に適応したため、両生類と比較して皮膚呼吸の利用が少ない。そのため両生類よりも大きな肺を有している。肺が巨大化すると酸素を全身に送るために心臓も巨大化する。巨大化した心肺を危険に晒さないためにも、発達した肋骨で保護する必要があった。

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「ヒトの本質」。比較動物学、進化生物学、人間発達学、運動学習、認知運動等の観点からエクササイズ、セラ…

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