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ココ

実家にいる、三匹の猫さんのうち、長老的存在、姐御的存在な、現在12歳のおばあちゃんなココです。

それまで、家ではお犬さまを二匹飼っていたほど、犬好きな家族だったのです。

当時僕は夜間定時制高校に通いながら昼間は叔父が印刷所をしていたので、広告チラシを各新聞店に配達する仕事をしていました。ちなみに夜中はコンビニの夜勤にも入っていて、なかなか過酷な毎日でした。

伊勢志摩一帯の新聞店を巡るのですが、仕事ですが、海の見える道を音楽を聴きながらひとり運転するのは楽しかったです。
その道すがらにある、トイレとベンチ、海が見える展望台があるくらいの小さな小公園に寄るのが僕の日課でした。

その公園に、野良として大家族を形成していたうちの一匹が、ココでした。
公園に立ち寄ると、どこからともなく草陰から一匹、二匹と姿を現しはじめます。

最初に登場するのは母親で、いまのココとそっくり、野良ですから少し痩せていたかな?
なにかくれよーーと、それでも一定の距離を保ちながらこちらを伺っています。

この公園のトイレ脇には紙皿にキャットフードが置かれ、他の人からも施しを受けていたようですが、母親を中心として、6〜7匹はいたでしょうか、すぐにごはんはなくなってしまうんですね。
僕も何度か通ううちに、キャットフードを持参し、ここに来るたびごはんを与えるのが日課になってしました。

ココはまだ小さくて、およそ生後二ヶ月くらいかな?ココと同じく白猫の兄弟、茶トラやブチの兄妹?もいて、本当に家族という感じで、なんとも微笑ましい、この公園に寄るのが楽しみで、ほどよく仕事の息抜きになってくれてしました。

しかし、あるときから、その公園周辺で、猫さんが車に轢かれてしまう姿をなんども目にしてしまったのです。
母親は車の危険性に熟知していても、子猫にとっては、車は脅威でしかないですよね、次のには一匹、その次の日には一匹と、どんどんと連鎖するようにココの兄弟は轢かれて死んでいきました。もともと車通りの多い公園だったから、仕方ないといえば仕方ないのですが、、

そして、あるとき、たち寄った公園で、僕のもってきたごはんに寄ってきたのは、母親と、ココの二人だけでした。
ついに、ココを残して兄弟たちはみんな轢かれてしまったのです。
そのとき、僕は衝動的に、野良でも懐くようになっていたココを抱っこし、車に乗せてしまいました。
ココはなにがなんだかわからず、車のなかで暴れ倒しましたが、このまま公園にいては、確実に死んでしまうと思ったのです。母親猫さんには申し訳ない気持ちになりましたが、母なら車には強いでしょうし、ぜったい、ちゃんと育てるからと、家路を急ぎました。
親には事後報告になりましたが、猫を保護して家に連れて帰ってると伝え、反対することもなく、わかった、と言ってくれ、まだワンちゃんが二匹いる実家でしたが、そのときから家族の一員になることになりました。

いまでは、実家周辺の番長にまで出世して、ときたま遊び歩いて何日かふらっと遊びにいってしまうココですが、それでも僕に一番なついてくれて、もう、おばあちゃんですが、一番綺麗な毛並みをもつ、美しいお姉さん的存在のココ。
まだまだ長生きしてほしいと願いながら、気ままに毎日を過ごしているココです。

#猫

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