豊洲ぐるり公園をグルリ、でグルグル巡る思い〜2021年11月30日のウォーキン

オリンピック/パラリンピックが終わるまでは近づくまい、と決めていた豊洲エリアにとうとう戻って来た…って、終わってから既に何ヶ月? 3ヶ月かな? いつの間にやら11月も最終日。晴れ続きの東京はこの日も快晴で、暖かくて空が霞んでいる。大崎駅から臨海線で15分とかからない国際展示場駅で下車。ここから山手線の浜松町駅まで北上ウォーキンしたのは今年の1月だった。五輪をやるのかやらないのか、宙ぶらりんの中で各所工事が進んでいるような止まっているような、そんな風景の中を歩いて行くと最後にドーンと電通ビルが立ちはだかる、選手たちには夢の前、デヴェロッパーには夢の後、みたいな後味だったことをnoteにも書いた。https://note.com/mouthedog/n/ne6cf26f02adf

あれから10ヶ月、か。その間にかの電通ビルも売却が決まったとか。選手村はどうなっているかな。周辺の会場跡地は? 平日昼間にしては人が多くて、何やら不思議なウキウキ感すら漂う有明ガーデンを横目に、道路の反対側を歩き出す。

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えぇと。。。造る、と壊す、の違いこそあれ、工事中であることは1月時点と同じで、ここで世界的なイベントが開かれたなんて、知らなきゃ/言われなきゃ誰も思わんだろう。これは自転車競技やスケートボードで盛り上がった所だと思う。これぞ強者どもが夢の跡。夢の舗装が引っぺがされていく。聞くところによると、ほとんどの五輪施設が来年〜23年の一般開放に向けて調整中らしい。五輪を楽しみに移り住んだ住人も多いであろう近隣タワマンでは、土地の再開発から施設の建設、延期に伴う工期延長、事後の取り壊し、そして再建、と、いったい何年に渡って工事風景を眺めて暮らしていらっしゃるのやら。絶え間ない工事音も、あの高さまでは届かないのかもしれないけど。

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併設の河岸公園も相変わらず立ち入り禁止。国際展示場駅からは徒歩5分ほど、ゆりかもめ有明テニスの森駅の目の前、だけどこの辺りにはもう、ほとんど人がいない。

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有明北橋を渡ると左側に伸びているのが豊洲ぐるり公園の南側ウォークウェイだ。ここに降りる。狭い…ったって広いけど…通路なので釣りが禁止されている。それもあってか本当に人がいない。時間帯にもよるんだろうが、ジョギングの人とたまにすれ違ったり追い抜かれたりする程度でほぼ独占状態の平日昼下がり。チャプチャプ波の音、ゆりかもめの走る音、近く遠く聞こえてくる車の音。

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ぐるり、という名前の通り、豊洲市場をぐるり取り囲むこの公園の、南側から回り込んで北に向かう南西のコーナーが私は大好きだ。初めて来た時は予備知識ゼロだったので、曲がった途端に開けた景色に大オッと声が出た。それを知ってからは、来るぞ来るぞ、と身構える。曲がるよ、いい?

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ドーン

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ドドーン。。。と、こっちは釣りOKなんだよね。

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ドドドーン

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ドドドドーン

これが北西のコーナー。ここからは公園の北側を東へ向かう。振り返ると、このワゴン車の裏手の高台にあったテント式BBQ会場のような建物が取り壊されて更地になっていた。

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こんな感じで通路沿いにもBBQ施設らしきものはある、けれど誰もいない。座るのはオッケーなんだろうけど、ずっと放置されて傷んでいたりしたら、私の重みに耐えないかもしれないのでやめておく。。。

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という感じで、あっという間っちゃーあっという間、だけど所々で立ち止まり、いい塩梅に配置された「座れる段差」に腰掛けて、空を仰いで雲を愛で、なんてことをやっていると、それこそあっという間に小1時間だ。

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地図(私の解説と南北/上下が逆になっていますが)の通り、このまま水辺を直進も可能。ですが今日はここで水辺から上がる。右は豊洲市場の駐車場入り口。ここの周辺も工事中フォーエヴァーだ。少し向こうの「千客万来」は来年の完成を延期すると言い出して何やらモメているよね。さて、左に折れて橋を渡りましょうかね。

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隅田川から竹芝桟橋へ戻って行く水上バス。最近はかなりの頻度で見かけます。天王洲あたりでも屋形船をよく目にするので、営業がだいぶ元気になってきているのかしら。

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そして橋の向こうが、これです。選手村に使われていたマンション群。今は絶賛、原状復帰作業中なんでしょうね。つい先日、「都心のマンション高騰、なのに売れている」という特集をテレビで観たら、ここを買おうという人が「サラリーマンでもギリギリ手が届く値段」とコメントしていたけど、そうなの?5,000万円台って言ってなかった? 他の物件が「世帯年収2,000万円ぐらいないと…」by デヴェロッパー、な価格だったから、それと比べれば、ということかしら。

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いずれにせよ私の短い手は届きません。見たところ、1月の頃と変わらないなあ、って感じで工事中。周辺緑地も含めて立ち入り禁止。建物さんは「ようやく落ち着けるわい。誰でもいいから長く住んでくれよ」って心境でしょうかね。

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この先の信号を渡って折り返し、橋の反対側を歩く。西側とはまた違う眺め。向こうに聳え立つ先輩タワマン群。あぁ、この窓ひとつひとつの中にそれぞれの事情が詰まっているのね、なんて思っちゃって苦しくてたまらなくなる。

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有明ガーデンが近づいてくる。進行方向左手のこれは、確か体操会場。前に来た時に一生懸命に貼っていた駐車場の舗装を、一生懸命に剥がしている様子。

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さぁ、戻ってきました。3時過ぎ。空いているだろう、と有明ガーデンのレストラン街に上がってみると、なんだろう、異様な混雑ぶりだ。豊洲市場直送の鮮魚が自慢の「築地食堂」というパラドックスな店に、かろうじてソロ席を確保。一息つきながら観察していると見えてきた。みんな、同じ袋から同じようなものを取り出して嬉しそうにしている。Eの文字が派手に踊っている袋。わかった、ここでライヴがあるんだ。大井町から引っ越して来たライオンキングも頭をよぎったが、明らかに様子が違う。目を凝らすと、EのつぎはX。ときたらもう決まりでしょう。そういうことか。少し離れたテーブルで食事を終えたシニア気味マダム2人(私より年上に見えたがもしかしたら若いのかも)が、EでXな袋から何やらプラスチックケースにパッキングされた丸いものを取り出した。なんと、この人たちも行くのかい! ガサゴソやってパッケージから出てきたのは、スティックの先の透明の球体が明らかに点灯しそうなブツ。マダム達は揃っておもむろに老眼鏡を装着。使用法を確認しているんだろう。その隣のテーブルのヤンキーな感じの母娘も、その向こうのシャレのめした青年も、気がつけば私以外はみんなEでXな袋を抱えて刺身定食と対峙している。なんということだ。

食後、別の階の洋服屋さんを覗いた。私もヒトのことは言えないが、この店の常客じゃあ絶対にない系のマダム連がワイワイ品定めをしていた。品定めというか、買う気も無いのにいちいち商品に触ってはコメントし、笑いながらラックに戻す、という行為。ライヴ割りといって棟内会場の催しに参加する人には1割引きのサービスをしている…と店員の兄さんが声がけに精を出している。その横でソロ活動をしていた私には、兄さん、なかなか声をかけてこない。かけるな光線を感じ取ったか。マダム連にひと通り声をかけるも不発に終わったんだろう、ついに兄さんがこっちに来た。「お姉さん、今日はライヴですか?」「なんの?」「アツシの」…アツシぃ? は呑み込んで「違います」と即答。取り付くシマ無し。「ですよねえ」と兄さん。それはそれでどういう意味を含むのか。「いや、ライヴのお客さんには割引してるんで。そうじゃなくてもLINEで友達になってもらえると1割…」おっと、「LINEで友達」も地雷なんだよ、このお姉さんには。お友達になんかなってあげない。実は私、1月に来た時もこの店に寄って、その時は黒いオーバーブラウスを1枚購入しているのだ。それだけで大威張り。「けっこう良かったわぁ」とか言っちゃう。本当にけっこう良かったんだけど、今回はコレっていうのが無くて「またね」とか言っちゃう。

その隣の雑貨屋も覗く。若いが落ち着いた感じの女性店員2名。「今日は混んでるねえ」と話しかけてアレコレ聞き出す。そのアツシって人(店員姉さんは、きちんとサン付けにしていた)のライヴがガーデンシアターで3日間行われているんだそうで、この日は4時開場、だからちょうどその前の腹ごしらえタイムに紛れ込んでしまったわけだ、私という外来種が。「いつもは平日なんて閑散としてるんですけどね」と店員姉さん。知ってる。この雑貨屋さん、チェーン店で他店舗は所狭しと商品が詰め込まれている印象なんだけど、ここはスッキリ爽やかで高級感すら漂っている。そうコメントしたら、去年の6月にオープンして間もなくコロナになって、五輪もあんな感じで、五輪中は外国人客がけっこう来ていたけれど日本人客はサッパリで、なんやかんやオープン当時のフレッシュさを保ってしまっているらしい。「ほんと毎日ガラガラで、どうなるんだろうって思いました」と。五輪景気を当て込んでいた所は打撃ハンパなかったんだろうね。大きな新店舗を任されて張り切っていたであろう若者の心境を思うと、小物の1つも買わずには店を出られない。EでXのアツシって人、あんたはエライよ。日本の経済を回してくれてるんだね。

有明ガーデンのポイントカード、のクレカ機能付きを作ると、6時間まで駐車場も無料、それで支払えば関連施設のポイントや割引も自動で処理されるんだとか。「近所のマンションの人たちはAEONで毎日の買い物をされるから、けっこうお得みたいですよ」とのことだが私には無縁なお得、故に丁重にお断りする。

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そういえば、最上階には住友不動産が構えていて、こんなジオラマも用意されていた。数多いデヴェロッパーの中でも住友不動産は特にメガロマニアな気がする。湾岸制覇を目論むがごとく、見るからに住友な巨大建造物が立ち並ぶ風景。そのお情けに預かって、提供公園を喜んで散歩する私。

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ちっぽけ。

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