(視覚障害ユーザー大歓喜)ZOOMの新型レコーダーがすごいぞ!!!

はじめに

ビデオ会議アプリのZOOMではなく、音響機器メーカーのZOOMから発売された新型レコーダーの話です。まずは製品紹介をお読みください。

32bitフロート録音を、すべてのクリエイターに
(中略)
Essentialシリーズは、視覚障がい者のためのアクセシビリティを考慮して設計されました。内蔵スピーカーやヘッドフォンを通して、設定メニューを音声で読み上げます。英語、スペイン語、フランス語、日本語、ドイツ語、イタリア語、中国語での音声読み上げに対応します。

引用元 https://zoomcorp.com/ja/jp/handheld-recorders/handheld-recorders/h4essential/

あ、熱いっっっ、激アツです!!!!!

気づいたら予約注文は完了していました。そして待ちに待った発売日、ついに実機が届きました。

素晴らしい製品に違いないと想像していたのですが、実際に触って確信しました。これはハンディレコーダー博物館に国宝として展示するべき製品です。

ハンディレコーダー博物館は冗談なので存在しませんが、それくらい感動しています。国宝級は冗談ではなく本気です。

この記事ではEssentialシリーズのファーストインプレッションをお届けします。視覚に障害のあるユーザー向けの使い方は別記事として投稿する予定です。

Essential(エッセンシャル)シリーズについて

改めて紹介しましょう。ZOOM Essentialシリーズはハンディレコーダーです。H1・H4・H6の3種類あり、全機種にアクセシビリティ機能として音声ガイドが搭載されています。ちなみに、私が購入したのはH4です。

ハンディレコーダーをご存じない肩に説明しますと、これは録音に特化した機材です。大きさはiPhoneと同じ程度ですが、4 cmほど厚みがあります。機能はスマホの録音アプリと似たようなものです。

それでは何が良いのか、もちろん音質です。なんと、このレコーダーで録音すると絶対に音割れしません。

例えばスマホで通話中に突然大声を出すとバリバリというノイズが聞こえます。この現象が音割れです。

ただ録音するだけなら誰にでもできます。音質を追求しなければスマホに搭載されたマイクで十分かもしれません。しかし、全く音割れせず綺麗な音声を収録するには高度なテクニックが要求されます。

一方、Essentialシリーズのレコーダーで録音すれば、蚊の羽音のように小さな音からスポーツカーのエンジン音のような爆音まで絶対に音割れせず綺麗に録音できます。操作は録音ボタンを押すだけ、」高度なテクニックは不要です。

視覚障害ユーザーにとって何が嬉しい?

今まで自力で操作できなかった機材が操作できるようになりました。とても嬉しいことです。しかし、それ以上に嬉しいのは皆が使うものと同じ機材が使えるようになった点です。

福祉用具として、視覚障害ユーザー専用のレコーダーはあります。しかし、あくまで福祉用具ですからプロが使う機材と比べると性能が不十分です。

ZOOMは老舗の音響機器メーカーです。Essentialシリーズに搭載されている音割れしない技術、32 bit float録音は同社の業務用フィールドレコーダーF6と同じ技術が使われています。性能を妥協しない本物の機材が皆と同じように扱えるのは、少なくとも私にとって非常に嬉しいことです。

余談になりますが、Essentialシリーズのアクセシビリティ機能は極めて完成度が高い印象です。おそらく、設計の初期段階から音声ガイドを組み込む前提で開発されたものと思われます。

Essentialシリーズは開封直後に電源を入れた瞬間から音声ガイドの読み上げが開始されます。友人や家族など目の見える人の助けを借りて、メニューの奥深くまで進み初期設定しなければ有効にならない、なんてことはありません。この点も感動した点です。

Essentialシリーズを企画・設計された方々に感謝します。

注意点

Essentialシリーズがほしくなった皆様、いくつか注意点があります。

1点目は同じ名前の旧機種についてです。旧機種は視覚障害ユーザー向けの音声ガイドが搭載されていません。購入する場合は製品名に「Essential」が含まれているか注意してください。

2点目は付属品についてです。Essentialシリーズには電池とmicroSDカードが付属しません。購入後すぐに使いたい場合は事前に用意しておきましょう。

3点目は音声ガイドの言語についてです。開封後の状態では英語に設定されています。日本語は利用できません。

日本語の読み上げについてはZOOM公式サイトで無償配布されている拡張ファイルをSDカードにインストールする必要があります。まだ検証中ですが、おそらく設定にはPCが必須です。

最後は視覚障害と関係ない話ですが、入出力の設定についてです。Essentialシリーズは一般的なレコーダーと異なり音量調整の概念がありません。その代わりにプリ・ポストミキサーやノーマライズの設定があります。慣れるまでは操作が混乱するかもしれません。

言語設定の手順も含めて、別記事で視覚障害ユーザー向けにEssentialシリーズの使い方をまとめる予定です。

おわりに

この記事を書いている最中、大変なことに気がつきました。昨年11月に発売されたZOOMの新型ギターエフェクターMS-50G+の説明を引用します。

Handy Guitar Lab for MS-50G+は、ZOOM MS-50G+ MULTISTOMP専用のリモート・コントロール・アプリです。VoiceOverをサポートし、視覚障害者にアクセシビリティを提供します。

引用元 https://apps.apple.com/jp/app/handy-guitar-lab-for-ms-50g/id6468022042

VoiceOverはiPhoneに搭載されているスクリーンリーダー(画面読み上げアプリ)です。そして、MS-50G+はエフェクトの設定をBluetooth経由でおこなうアプリが提供されています。そのアプリが何とVoiceOverに対応していたのです。全く気がついていませんでした。

実は1年前からエレキギターの練習を再開しまして、レコーダーを購入したのはその流れだったりします。MS-50G+は気になっていたのですが、自力で操作できないだろうと諦めていたので嬉しい限りです。

しかし、機材マニアの皆様はご存じのとおり、MS-50G+は大人気で入荷待ちが続いています。いつ入手できるかわかりませんが、購入できたらレポート記事を投稿しようと思います。

さらに、今年のNAMMで発表された新型エフェクターMS-200D+もアプリがVoiceOverに対応しているそうです。ただし、こちらも残念ながら在庫が不足していて入手困難です。

今後もZOOM製品から目が話せません!

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