見出し画像

【レポート #61】長野県議会議員選挙・上伊那郡区補欠選挙レポート(2022 8.5)

 この日は長野知事選も同時に行われており、フツーであればそっちを先にお届けするのが筋なのは重々承知しています。 しかし、長野知事選があまりにもワンサイドすぎて面白みが無いのと、この選挙が実は結構面白かったというコトもあり、敢えてコチラを先にお届け致します。
 「保守系無所属」vs「共産党候補」という、どこでも見られる構図で、どこでも見られる結果でしたが、中身を取材すると見えてきた複雑な政局模様を、レポートします。


◆概要

Wikipedia より引用)
シューカツNAGANO より引用)
  • 長野県南部(南信)の北寄りに位置する地域で、上伊那選挙区は上の地図から伊那市と駒ケ根市を除いた、辰野町箕輪町南箕輪村宮田村飯島町中川村 が範囲になる

  • 人口:80,718人 ※2022年7月1日現在 内訳は下記の通り

・箕輪町:24,750人 ・辰野町:18,074人
・南箕輪村:16,049人 ・飯島町:8,801人
・宮田村:8,491人 ・中川村:4,553人


◆立候補者(定数1/2名)

瀬戸 純 (56) 共 産 新 元辰野町議
原 健児 (57) 無所属 新 住民団体代表

◆前回(2019年)の選挙結果(定数2/3名)

[当]清水 正康 (44) 無所属 新 15,063 票
[当]垣内 基良 (69) 自 民 現 12,064 票
 -------------------------------------
[落]山崎 健志 (58) 共 産 新  10,800 票

投票率:56.75%

 共産党所属の現職が引退し後継候補を立てたものの、無所属新人の清水候補がトップ当選。 垣内候補が2位に滑り込んだため、共産党は守り続けてきた上伊那の議席を失いました。 なので共産党にとって議席奪還は悲願であり、そのために今回、瀬戸候補が町議を辞してまで立候補しています。


◆POINT

① “名物議員” が突然の死去・・・

公式HP より引用)

 今回の補選は上伊那郡区選出の垣内基良議員が5月21日に亡くなったコトを受けてのものです。
 垣内さんは1993年に辰野町長に当選するも1997年の選挙で落選。 そこから1999年に県議選に初当選しますが、2000年に田中康夫氏が長野県知事に就任すると対立する自民党県議団の急先鋒としてニュース等で目立つようになります。 しかし当時支持率の高かった田中知事の反対派として目立ちすぎたのが災いし、2003年の県議選では僅か1票差で落選してしまいます。
 しかし2007年の県議選で定数が3→2に減ったにもかかわらず現職を蹴落としてトップ当選。 以降2019年の県議選まで通算5期県議を務め、県議会議長を務めるまでになりましたが、5月17日、ゴルフ中に倒れ、そのまま脳出血で亡くなりました。
 喜怒哀楽が激しく、慕う議員や市民も多いが一方で悪いウワサもイロイロ聞くという、良くも悪くも政治家らしい名物議員が亡くなり、それを受けての “弔い選挙” になると思われていました。

②上伊那郡区は “3エリア” に分かれる

(長野伊那谷観光局HP より引用)

 概要にも書いた通り、上伊那郡区は上記のエリアから伊那市と駒ケ根市を除いた町村が選挙区です。 二つの市が選挙区を分断する形となっており、

①辰野・箕輪・南箕輪 エリア
②宮田
エリア
③飯島・中川
エリア

 の3つのエリアに分かれます。 今回立候補した瀬戸候補は辰野町、原候補は箕輪町在住のため、いずれも①のエリアが地盤です。 そして自治体別人口の上位3つが①エリアの町村であり、②・③エリアの人口を足しても3位の南箕輪村とほぼ同数なので、①エリアでより多くの票を獲得できるかが焦点になりそうです。


冒頭に書いた「どこでも見られる構図」に加えて “弔い選挙” となれば何の面白みも無い選挙に見えるコトでしょうが、実はそんな単純な選挙ではありませんでした。 まず第一に、弔い選挙、では無かったのです。 それは一体どういうコトなのか? 是非御購読いただいてチェックしていただきたい!

ここから先は

4,662字 / 14画像
この記事のみ ¥ 300

もし宜しければサポートをいただけると大変嬉しいです! いただいたサポートは今後の取材費として使わせていただきます。