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【レポート #3】長野県・高山村長選挙レポート(2020 11.1)

「11月1日 投票日」といえば「大阪市廃止・特別区設置住民投票」(「大阪維新の会」がいうところの「大阪都構想住民投票」)に日本中の注目が集まっているところですが私が取材に行ったのは長野県高山村。 本業が別に有る見習い選挙ウォッチャーとしては「クルマで下道を走って片道3時間以内」という範囲が精いっぱいなのです。 申し訳ない・・・
「二期目は当然」という雰囲気の中で立候補した現職に告示日直前に立候補を決めた新人。 現地で取材すると勝敗以上に高山村特有の「謎」が浮かび上がってきました。 きっとコレは都会に住んでる方は勿論、地方に住んでいる方でも聞いたコトが無い話なのかもしれません。

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◆概要

※まず最初に把握していただきたいのが、この選挙が岐阜県高山市でもなく、群馬県吾妻郡高山村でもなく、長野県上高井郡の高山村で行われた選挙であるというコトです。 お間違い無きようにw

・面積:98.56 km²(長野県 第43位) 北信地方の村で長野市より北、須坂市の東。 群馬県の 草津町、嬬恋村、中之条町と隣接

・人口:6,567人(長野県 第44位)※2020年9月1日現在

・村内各地34か所に及ぶ縄文遺跡の存在により縄文時代の初めから人間が住んでいたことが明らかになっている

・1956年9月30日 - 高井村・山田村が合併して高山村が発足

・村内に小学校と中学校が ひとつずつ有り高校は無い

・鉄道は通ってなく最寄り駅は長野電鉄長野線須坂駅で、そこまでの路線バスが運行している

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高山村役場前のバス停の時刻表。 クルマで20分ほどで行ける須坂駅ですが運行本数は こういう感じです(まるで飯田線の時刻表のようだ・・・)

信州高山温泉郷が有名な観光地。 その他、牧場やスキー場、そして俳人 小林一茶の出身地なので「一茶ゆかりの里 一茶館」が有る

・高山村と長野県山ノ内町と群馬県草津町 、中之条町、嬬恋村に跨るエリアが「志賀高原ユネスコエコパーク」(生物圏保存地域)に指定された

・NPO法人「日本で最も美しい村連合」に所属している(以前取材した長野県大鹿村も)

・衆議院は長野1区に属し、篠原孝議員(民進党→旧国民民主党→立憲民主党 当選6回)を選出

◆立候補者

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久保田 雄吉(70) 新 農業、元 紫区長
内山 信之    (76)   現 2期目を目指す


久保田 雄吉(くぼた ゆうきち)候補

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久保田候補は関西大学卒、農業(果樹園)を営み同村の紫区長を務めた経験は有りますが政治の世界に飛び込むのは初めて。 現職以外に立候補者が出てこない状況を見て「無投票当選にしてはいけない」と思い告示日直前に立候補を決意しました。 他県にも有る「高山」という自治体との差別化を図るために村名の改名を提案しています。

内山 信之(うちやま のぶゆき)候補

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内山候補は気象庁出身。 定年退職後、高山村議2期(そのうち2年間は村議会議長を)務め2016年、新人同士の一騎打ちに勝ち村長に当選。 今回2期目を狙います。 1期4年の実績と公約のさらなる推進を打ち出し、村内6か所に「賑わいの場」を設置し年間通して観光客に来てもらえる村づくりを掲げています。

◆前回(2016年)の選挙結果

[当]内山 信之 (72) 新 2,114票 村議
[落]山崎 秀治 (65) 新 1,967票 村議(日本共産党推薦)

                                                                                                ※投票率  67.43%

実に16年ぶりの村長選だったようですが、前回敗れた山崎氏は告示2週間前に立候補を表明するという短い準備期間にもかかわらず結果は147票差という健闘を見せたため、今回の久保田候補も選挙戦略が上手くいけば当選も決して夢ではないと推察できます。

◆ポイント① 内山候補の体調面

内山候補は2019年に「健康診断の結果が良くなかった」ため、約2週間入院し副村長が職務代理を務めたコトが有り76歳という高齢もあって内山候補が4年後の80歳まで無事に村長を務められるのかという疑問・・・ が出るものだと私は思っていたのですが村内を取材する限り そういった声は聞こえませんでした。 それは人口の少ない自治体特有の「年齢のコトなんか言ってる場合じゃない問題」が有りました(詳しくは明日)。

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