チラ詩の裏48

自転車転がすいつもの道
いつもと違うお祭りの音
知らない土地のお祭りなんてと
横目で見ながら通り過ぎる
いつから無くした冒険心
いつから無くした好奇心
普段通りのことしかできず
いつもと違うことはできない
やりたいやりたいと口ではいえども
実際体は動くことなく
こんな大人になるはずじゃ
なかったはずだと僕は嗤った

子供の頃にこのお金で
好きなお菓子を買いなさいと
手渡された50円玉の重さと
何を買おうと悩みに悩んだ思い出は
今も大事な宝物
今は駄菓子に目もくれず
お金の無駄だと手に取る焼酎
そしてつまみのピーナッツ
無駄と断じた思い出が
宝物に傷をつけた
これが大人になるってことなら
大人になんてなりたくなかった

大人になったら結婚して
家庭を持って生きるのだと
教えられて育っても
晴れて独り身恋人もおらず
彼女が欲しいと嘆けども
努力はせずに願うだけ
気づけば勝手な妄想ばかり
音程外れた恋歌を歌う
興味を持たれずその歌は
虚空へ消えゆくだけというのに
こんな大人を夢見ていたかと
小首傾げてスカして嗤う

大人になるとはどういうことか
答えを返さぬ手首の傷跡
ため息ひとつで切り替えて
料理をしながら親を待つ
携帯から聞こえる自分の声に
喋りが下手だ壊滅的だ
わかっていても練習もせず
仕方も調べずただ生きる
こんな大人に誰がしたのか
社会が悪い世間が悪い
周りにばかり責を押し付け
自分の醜さからは目を逸らす

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