これからの日本ではとにかく早く利確すべし

地主などのごく一部を除けばほとんどの人は下積み時代を経験することとなります。

資産運用だと腕も無関係ではありませんが、1億円と100億円では前者が勝つことはまずありません。

スキルが重要な領域では、下積み時代のフェーズとそれまで積み上げてきたもので利確するフェーズがあります。

実際にはスペクトラムのように徐々にシフトしていくケースも多いでしょうが、話を単純化するために二元論に落とし込みます。

で、どのタイミングで利確するフェーズに移行するかは、その業界全体の市場規模がどのように推移していくかに大きく影響されていきます。

結論から言いますと、既に市場が成熟してこれから全体のパイが縮小していく業界においては将来への投資を控えて早めに利確しに行くのが基本戦術です。

これは簡単な話で、もし過剰投資をしてしまった場合に市場規模がこれから大きくなっていく状況下だと耐え続ければ過剰投資に見合った売上が期待できますが、大きくなっていかない状況下だと過剰投資に対するリカバリーが効かないからです。

例えば、クリニックを開業するとしましょう。

どの程度の大きさの箱で、どの医療機器を入れるのか、従業員を何人雇うのか考えることとなります。

あらかじめ調査を行って、どの程度の売上が立つのかは予想しますが、それはあくまで予想に過ぎず不確実です。

既存の競合が撤退する可能性もありますし、新規参入で競争が激化する可能性もあります。

レトロスペクティブに色々語ることはできるでしょうがあくまで結果論です。

これはいくら優秀な人であっても変わりません。

ですので、ちょうど良い形でクリニックを開業できたというのは運が良かったと言うだけの話であり、実際には拡大移転したり赤字で撤退することとなります。

クリニックの場合は零細個人商店としての色が大きく患者がパンパンになってもそのままの設備や人員で拡大せずに回しているところが多いでしょうが、普通のビジネスだと成功すると基本的には拡大していきます。

投資と利確の話に戻すと、パイが縮小していく業界だと、お客さんを競合と奪い合うこととなります。

そうなった場合、見込みを外して過剰投資をしてしまうと固定費に苦しむことになり時には致命的なことになりかねません。

この話をさらに演繹していくと、勤め人の人的資本にも言えることです。

クリニックの家賃や人件費などと違い、ハッキリと目に見えないだけで人的資本の積み上げにはコストがかかっております。

人的資本への過剰投資をした場合でも業界全体のパイが拡大していけば後で大きく回収することができますが、先細りの業界だと既存プレイヤーに食い荒らされた後の残飯拾いをするはめになりかねません。

で、今の日本では高齢化がゴリゴリ進んで絶賛人口オーナス期なので、ほとんどの業界がこれから縮小していきます。

そういった環境下では下積み時代に力を蓄えてから後で大きく回収するより、早めに利確しに行ったほうが合理的です。

慌てる乞食はなんとやらと諺がありますが、それは先細りの業界では話が違ってきます。

今の若手医師や医学生だと即ドロッポして利確しに行ったほうが合理的という可能性もあります。

答え合わせは10年後とかにならないとわからないでしょうが。

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