劇薬キメて2020年最高の映画に出会った話

こんにちは、「」です。冒頭不穏なタイトルですが法には触れてないです。どっかで爆発させてぇな~と思っていた感情を様々な事情で内に留めていられなくなったので、自分の気持ちをアゲるべく、爆発させてやろうと思います。

この記事は私の独断と偏見で既に2020年最高、あるいは私史上最高の映画となったR18指定BL(ボーイズラブ)映画「性の劇薬」についてダラダラ語っていくものです。以下内容のネタバレへの配慮も何もなく語っていくので未視聴の方はお気を付けください。また、私はこう思った!最高!という妄言しかないので、この点でもお気を付けください。登場人物の心情等についての真実など、ここには一つもありません。

そもそもの始まりはTwitterで本作についてのとある記事を読んだこと。R18のBL映画(しかも監禁調教)…?実写…??性と生と死…???パワーのありすぎる言葉の羅列に見てもないくせに瀕死でした。BLや年齢指定のものには全然抵抗がない(むしろ好きワハハ)んですが、実写か~~~と一つの壁を感じました。元々俳優さんという職業に対して、個人的に複雑な思いを感じていまして、もちろん演技上手い!とかちょっとな~くらいは人並みに思うんですが、でも物語の登場人物が生きてそこにいるんじゃなくて、俳優さんたちが演技をしているとしか見られないことがほとんどなんです。特に恋愛ものなんかはどんな気持ちで見ればいいのか分からず、この気持ちは俳優さんへの最大限の侮辱なのでは?と思ってしまい、ドラマやアニメ以外の映画など、よほど内容に興味があるとかじゃないと見れないんです。そんな私なので、しばらく尻込みしていたのですが、幸いというかなんというか存じ上げない俳優さんばかりでしたし(最低)、また、見ないで後悔するのやだな~予告面白そうだしな~とも思い、ええい見たろうやないかいの気持ちで劇場に足を運ぶことを決意しました。まぁあわなくても経験くらいに思おうと軽い気持ちで上映のそのときを迎えました。


舐めてた。完全に。

上映終了後、自分の中に渦巻く感情を整理することができず、とりあえず呆然としたまま家に帰ってビール飲んで寝た。しかし寝て覚めても衝撃が抜けず、このままではいかんと3日とあけず2回目を見に行きました(何故?)。ようやく気持ちの整理もついてきたため、この映画を多くの人に見てほしいもとい沼に引きずり込んでやろうの気持ちで友人2名先輩1名と各1回ずつ見て結果合計5回劇薬をキメました。たかが5回、されど5回なんです。過去どんなに面白いと思った映画でも、1回見たら十分というか、好きなシーン以外への関心が低いというか、そんな人生でした。文字に起こすと私本当に最低ですね…クリエイターの皆様本当に申し訳ありません。けれど本作に関しては、5回見て5回とも初見くらいの新鮮な気持ちでスクリーンに釘付けでした。初見の友人と5回目の私が同じ熱量で語り合うくらいには(これは友人がすごいのかもしれませんが)。前置きが長くなりましたが、ここからは計5回見て感じたことをなるべく映画の流れに沿ってまとめていきたいと思います。自分の気持ちの整理という意味も込めて記事を書いていますので多少の読みづらさはご容赦ください。

(一応)物語のあらすじ→エリートサラリーマンとしての順風満帆な人生から転落した桂木。自殺しようとしたところを謎の男余田に救われるが、「自分から捨てようとするならその命、俺によこせ」という宣言のもと始まった監禁調教生活。桂木の運命やいかに。

冒頭からしばらく続く監禁調教シーン 

ここに関してはもうただただ感心というか俳優さんすげぇ~~~の気持ちで見てました。性をもって生を植え付けるって生半可な気持ちと行動ではなせないことなんだと痛感させられ、原作通りの過激さでなければやる意味がないと覚悟をもって撮影に臨んでくださった監督と主演お二人には敬意と感謝しかありません。真に迫るような演技でした、今まであまり感じたことのない「登場人物皆生きてる………実在してる………」という感覚を覚えるほどに。全体通してめちゃくちゃ真剣に見てたんですが、ごめんなさい、お風呂場?シャワー室?のシーンの中でいくつか何度見てもこらえきれなかったものがあるので書かせてください懺悔させてください。

・余田が桂木の陰毛を剃り終えたシーンにて→余田「(陰毛剃られたの)恥ずかしいか?」桂木「(必死に頷く)」私(桂木さんかわいそかわいい泣)余田「そうか。…じゃあ中もきれいにしないとな」私(じゃあ!!!!???!!じゃあ中もきれいにしないとなって何!!!???!!)

必死に頷く桂木さんかわゆ~と思ってみてたのにここで一気にはてなが浮かんで色々吹っ飛んでしまいました。接続詞の使い方おかしいよ余田さん。BL特有(特有か?)の理不尽な物言い、嫌いじゃない。

・後ろと胸で桂木がイきそうになってるシーンでの余田のセリフ→「ほらもう少しだ、頑張れよ、頑張れ」私(頑張れ頑張れ!!!???!!!!)(その後無事(無事とは?)達した桂木に対して)「やればできるじゃないか」私(コーチ…???)

頑張れ頑張れの威力がすごすぎて記憶が飛んでるんですけど余田さんやればできるじゃないかって言ってませんでした?こんなに甘くないよしよしセックス私初めて………。後日本作の円盤が発売された暁にはこのシーン見て絶対人目も憚らずゲラゲラ笑いたいしC&Rみたいな感じで私も頑張れ頑張れ♡って言いたいです発売待ってます。

はい…………………………………………………………続けます。

余田の過去から始まる私が思うこの映画が「最高」な理由

ここまでは多少の違いはあれど原作通りというか、激しい性(生)の植え付けを見せられ圧倒され続けはしたんですが、それだけといえばそれだけで。私がこの映画を見る目が変わったのは割とここから。何故余田がこんな犯罪まがいの(というよりも犯罪)行為に及んだのか、それが明らかになっていきます。物語中盤から終盤にかけて余田が見ていた幻(ひとかげ)。結論から言うとそれは余田の亡くなった恋人、春樹です。詳細は省きますが余田は春樹の苦しみに気付いてやることができず死なせてしまったと思い、死に場所を探していました。自殺しようとしていた桂木を救ったのも3度目の偶然の一方的な再会を経て、恋人と瓜ふたつである桂木が死を選ぼうとしているのが許せなかったから(物語終盤に判明)。この時点でもうなんか、なんか、は?という感じでした。ここでようやく余田の様々な行動に合点はいったが受け止めきれないという意味で、は?です。つまりこの男、恋人(と瓜ふたつの男)をもう一度失うこと以外何も怖くなかったということですよ。自分の未来とか命とかすら惜しくはなかったということですよ。え?感情デカ………………。そんな余田ですが、桂木を生かすために自分も生きなければならなかった、桂木が死に場所を探していた余田にとっての生きる理由になったんですね。余田が桂木を一方的に生かしているようでこの時点でこの男もまた生かされていたんです。胸が苦しくなってきました、続きを書きます。けれど死を選ばなかった桂木を確認して解放して、再び生きる理由を失いました。海辺にたたずむ余田の空虚な顔つきよ。そこで再び恋人の幻を見ます、今まではただそこに立っているだけだった春樹が今度は余田に何かを言っています。この何かについては特に色んな意見があるでしょうし、私個人はこう思うというだけの妄言ですが、私には

「余田、来いよ」

と言っているように見えました。生きる理由を見失っていた余田は海で待つ恋人に向かって走り出します。けれど当然どこにも恋人がいるわけもない。余田は震える手で恋人の形見である毒薬に口をつけようとして…

「俺の好きにしていいんだろ?なら、お前の命、俺によこせ!」

か、桂木さ~~~~~~~~ん!!!!!!!!余田を後ろから抱きしめてこのセリフ、さすがに惚れてしまう。私このシーンが一番好きなんですよ。だって桂木さんが余田さんを救うんですよ?殺す妄想までして、実際に殺そうとまでして、それほど憎んだ男を救うんです。死んでほしくないとまで思ったんです。え?感情デカ……………。ところでずっと思ってたんですけど、失礼は承知で申し上げると、桂木さん語気の強いセリフが絶妙に言いなれてない感があってとても好きですね。可愛くて可愛くて可愛くてどうにかなりそうです。話を戻します。

突然場面は海辺のコテージ(誰が何と言おうとこれは海のコテージだそうです)へ。ここで初めて二人は合意のもとでのセックスをします。冷静に考えるとやばいですね。体を繋げること自体は2回目。1回目はほとんど無理やりで、バック→部屋の隅でたたずむ恋人の幻を見る→正常位の流れだったんですが、何故…?と最初は思ったものの、バックで繋がったとき余田さん、「あつい、あんた生きてる、生きてるよ」って言うんですよね。その後恋人の幻を見て込み上げるものをかみ殺すようにして笑う。笑っているのは自分に対してだろうな~と思いつつ何故笑ったんだ?って考えたとき、自分なりに納得がいくのは、まぁ自嘲だろうなと。繋がったときに感じた確かな温もり、さっきまで「食いちぎれ」「お前の代わりに死んでやるから」というセリフの通り死の匂いが強烈だった余田が感じた生の温もり、その熱に浮かされそうになった時に見た恋人の幻、ここで一気に現実に引き戻される。恋人の死に対して強い自責の念を抱いている余田は熱(生)に浮かされそうになった自分を嘲笑ったのかもしれません。バックから体位を変えたのも自分が抱いているのはあくまで桂木だと認識するためかなと。でも顔を長く見てしまうと恋人と重ねてしまうからでしょうか、余田は桂木の頭を抱え込むようにしているし、目も固くつむって桂木の顔を見てはいません。そして2回目、再び正常位で繋がったとき、今度はしっかり桂木の顔を見ている余田。しかし案の定というかなんなのか、桂木を通して恋人の影を見てしまう。一心不乱に腰を振りながらも桂木さんを見ていない余田さんに(こちらが)切なくなっていると、

「あいつじゃない、俺は、桂木誠だ。」

か、桂木さ~~~~~~~~ん!!!!!!!!余田の顔を両手で挟んで余田をしっかりと見つめてこの言葉、惚れてしまう。これは友人に言われてせやな…と思ったんですが、桂木さん、あんなに余裕なさそうだったのに、余田さんが気もそぞろだったことにちゃんと気付いたのすごいなというか、あなたはもうとっくに余田さんと向き合っていたのね…泣あとは余田さんが一歩踏み出すだけだったのね…泣この言葉の後の余田さんの切ない表情に涙が止まらないんだよ。ここでようやくお互いに向き合い、共にフィニッシュを迎え二人して寝転がります。そして桂木さんが余田さんの手を取って、こう言うんです。

「生きてるか?」

余田さんは静かにその手を握り返して、桂木さんの顔をしっかり見ながら微笑んで、それに対してこう返すんです。

「生きてる。」

こんな、こんなことある?このシーンを初めて見たとき、どのシーンを見たよりも心臓が鳴ってうるさかったです。監督がどのような意図を持っているのか、そもそも意図があるのかすらわからないのですが、この2人、あれだけ甘いセックスをしておきながら(だいしゅきホールド最高でしたね)好きも愛してるも言わないし、お互いの名前すら呼ばないんですよ。私は原作も読ませていただいたんですが、ここが特に対照的だなぁと感じていて。特に原作の桂木さんは余田さんに対してはっきり「好きになってしまった」と告白してるし、お互いの名前をいっぱい呼び合って、好きも言い合って、何というか恋人的な触れ合いが多くてラブラブだなぁと感じました(これはこれで最高)。対して映画はお互いにお互いに対する感情が何なのかよくわかってないんじゃないかと感じました。相手に対するこの感情は一体何なのか、よくわからないけど、生きていてほしいと思った、生きていてよかったと、きっと思った。桂木さんに関しては殺そうとするまで憎んだ相手なのに。そんな桂木さんが余田さんの手を取って「生きてるか?」って言ったんです。恋人を死なせてしまったことで自分を憎み続けて恋人の影に囚われ続けた余田さんが、桂木さんの目をしっかり見て、「生きてる」って言ったんです。あんなに死の匂いが濃かった余田さんが、自分の生をようやく肯定することができたんです。それだけでよかったんです。自分を憎んだ男同士が出会って、生かしているはずが生かされて、自分の生と相手の生を肯定することができるようになるまでの物語なんだと私の中で結論づいたとき、あまりの感情のデカさに息ができなくなりました助けてくれ。BIGLOVE。人はこれをクソデカ感情と呼ぶ。

まとめに入りたいんですが見出しに本作が最高だと思う理由とつけたがゆえに、まとめにくいですね。自分の首を絞めてしまいました。最高だと思う箇所はあちらこちらに転がってるんですが、確実に言えることは本作は先述の通り「肯定」の物語であり、「R18BL実写映画」というフィルターで見て先入観をもってしまうととても勿体ないのではないかということです。もちろん人によって苦手、どうしても見れない、などはあるでしょうから、そうしたフィルターはある種の自衛のためには意味があるものだと思いますし、無理してでも見ろなんて言いません。ただ、男性同士の恋愛ものを描いているかというと本作は微妙で、むしろかなり人間ドラマだなぁと感じています。そういう意味でそうしたフィルターは勿体ないなと思ってしまいます。描写はめちゃくちゃ過激なのに、見終わった後は不思議と優しさで包まれてる…そんな映画です。もちろん映像作品としての完成度もとても高く、その点からもオススメです。やっぱりまとまりが悪いですね、申し訳ないです。こんなご時世ですので、劇場に走って見てくれとは言えないんですが、機会がありましたら是非とも見てください健康第一で。私この作品を見て後悔していることは、桂木と余田を愛しすぎたがゆえに、おふたりの他出演作品を今後見れなさそうというところくらいです。本当に私が偉い人ならアカデミー賞を差し上げたいくらい最高の作品です。2020年、これ以上は出会えないぞ、と割と本気で思っています。よろしくお願いします(?)

最後に、この作品に出会わせてくださった原作者様、監督、出演者の皆様、関係する全ての皆様にお礼申し上げます。各地で続々と上映が決まったり、ロングランが決まったり、(状況が状況で悔しさもありますがとにかく)喜ばしいニュースばかりで本当に嬉しいです。おめでとうございます。円盤マジで待ってます、大人しくしているのでどうぞよろしくお願いいたします。

出会えて、本当によかったです。






個人的にめちゃくちゃ好きなシーンまとめ

終わっとけよって話なんですが、終わりません。2つだけ書かせてください。吐き出さないとどうにかなりそうなんです。愛しさで。

・いきなりシーン関係ない話をします。桂木さんのお顔の話なんですけど、本当に誰か私を殴ってほしいんですけど、通常時(特にエリートサラリーマン時代)と抱かれてるときとで顔違いませんか…?あの、めちゃくちゃ可愛くなってるんですよ、本当に。前髪の有無の違いとかじゃないんです。私最初、「あれ?俳優さん変わった?違う人?」と思いましたそれくらい違う。春樹も眼鏡と髪型だけのはずなのに大分雰囲気違うし、すげぇ~と感心しっぱなしでした。本当にかわいいです。LOVE。

・ラーメン屋さんのシーン。私人がものを食べてるところ見るのめちゃくちゃ好きなんですよ…生きてるって感じがして。桂木さんの食べっぷり、あまりにもLOVEでした。喉詰まらせたとき、水じゃなくてラーメンのスープで流し込もうとしてるところがお気に入りですね。余田さんにラーメン差し出されたとき、ちょっと下から伺う感じで、でもしっかり受け取る様子があまりにもネコちゃんで愛しさが爆発しました。そりゃ余田さんだってあんな優しい声で「次、どこ行きたい?」ってきくよ……………。これ聞かれたときも、ちょっと警戒するような感じで下から伺ってるのLOVEです100点。ところで私余田さんの顔(特に横顔)が好きすぎて逆に見れないという事態が発生していたんですけど(桂木さんの挙動に夢中だったのもある)、5回目にしてしっかり見たんですよ。桂木さんがご飯勢いよく食べてるとき、むせてスープで流し込んでるとき、ちょっと微笑んでるの無理、好きすぎる。やめろ、そんな優しい顔をしないでくれ……………。全体を通して、余田さんが優しい声で何かを言うたび、優しい顔をするたび、絶叫してましたね。心の中で。ツボ過ぎる。人目を気にせず早く叫びたいです、円盤待ってます。


好き放題言ったところで、これで本当におしまいです。読んでくださった方ありがとうございました。


またいつか、どこかで。



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