うつけ坂49から見るアイドルの変遷

私は戦国鍋TV発のアイドルグループAKR四十七「討ちたいんだ♡」が大好きだ。

どこかで聞いたことがあるような、明るくキラキラしたメロディ。それに似つかわしくない殺伐とした歌詞。それを笑顔で歌い、絶妙にダサいダンスと共に披露するアイドルたち。

私はこういうパロディに弱い。やってることは可愛いのに、歌詞だけ可愛くない。それがおもしろい。

パロディは、模倣した元の素材がわかっている方が楽しめるから、広く知られている方がいい。だから、当時社会現象と言えるほど大ブームだったAKB48を元にパロディをしたんだと思う。

戦国炒飯TV放送前、うつけ坂49というグループ名を聞いた時、「理想は日向坂46(明るい曲が多い)のパロディだけれど、まだデビューしてから日が浅いし知名度的に乃木坂46のパロディかな」と予想していた。

まさかの欅坂46だった。

アイドルをよく知らない人からしたら、「どっちも秋元康じゃん」と思うかもしれないけれど、曲のテイストはだいぶ違う。

欅坂46の曲は恋愛のときめきではなく、自分のアイデンティティを探ることに重きが置かれた、どこかダークでオシャレな曲が多い。

「明るくてキラキラ」ではなく、「笑わないアイドル」の方が素材になった事実に、「アイドルの在り方も変わったなあ」と思った。

平成初期のモーニング娘。ブームや、2010年前後のAKB48ブームみたいな、社会現象レベルのアイドルブームはもう無いのかもしれない。

今の日本で一番CDが売れているアイドルは、実は未だにAKB48である。これは握手券システムがなせる技で、握手目当てにオタクが何枚もCDを買いまくるから。メンバーの多いAKB48は、それだけ握手目当てのオタクも集まる。YouTubeやサブスクでも曲を聴ける今、CDの売上は人気の指標にならない。

社会が変われば、アイドルの在り方も変わる。

娯楽が増えすぎて、昔ほどアイドルは流行らないのかもしれない。だから、乃木坂46や日向坂46の曲は爆発的ブームにならず、欅坂46の「サイレントマジョリティー」や「不協和音」のように強烈な歌詞と激しいパフォーマンスの曲の方がインパクトがあって、結果的に知名度を上げるのかもしれない。

うつけ坂49には「おいでシャンプー」のパロディを勝手に期待していた(おいでシャンプーは乃木坂46の代表曲でもないのに……)ので、令和らしくスタイリッシュなアイドルパロに少しだけ寂しくなったけれど、「黒い小姓」も大好きです。歴史の逸話が詰まった歌詞の面白さは健在だし。僕は気が利く〜♪

そういえば欅坂46、改名するらしいですね。次はどこの坂になるんだろう。次に「サイレントマジョリティー」を披露するときは、もう欅坂46ではないのかな。

あ、「サイレントマジョリティー」もかっこよくて大好きだけど、るひまの年末シリーズでのパロディ「天下人マジナリテー」も大好きです。


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