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ハインリッヒ・イベント Heinrich event

 ドイツ人の海洋地質学者ヘルマット・ハインリッヒは、北大西洋外洋の海底ボーリングコアの中に遠く離れた陸地に由来する玄武岩が含まれていることに気づき、何らかの原因で陸域の巨大氷床が海洋に流れだし、その氷床の底に付着した岩石が氷床が溶けていくにしたがい湖底に落下したのではないか、と考えた。そして、こうした岩屑(がんせつ)の堆積は最終氷期(約70000〜10000年前)の間に何度も存在していたことが明らかとなった。
 ウォーレス・ブロッカーは、ハインリッヒによる着想をもとに、最終氷期に陸でいく度も起きた巨大氷床の崩壊によって、氷が堰き止められていた内陸の淡水が北大西洋に大量に放出されたことで、海洋大循環が弱まり、北半球に急激な寒冷化が起こったという説を提唱した。このメカニズムをハインリッヒ・イベントと呼ぶ。

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