DAY2:複数投資を行う際のリスク管理

DAY1では、企業Aに投資した場合のリスクとリターンの求め方について述べました。ただ、投資はリスクを伴うため、可能な限りリスクを低減した方が良いです。そこで複数箇所に投資(分散投資)することでリスクを抑える方法を取ることがあります。このように複数の投資を組み合わせることをポートフォリオと言います。

ただ投資を分散することで本当にリスクは低くなるのでしょうか?
実際に以下の企業Aと企業Bを元に説明します。

企業A(60%)、企業B(40%)の割合で投資をした場合の期待収益率、偏差、分散、標準偏差を以下の表を用いて求めます。(下図上:企業A、下図下:企業B)
※ここで使う投資の割合のことを組入比率と呼びます。

画像1

画像2

求め方は2通りあります。

①企業A,Bの各景気毎(好景気、普通、不景気)の収益率に組入比率をかける方法
例)好景気の収益率計算方法
=企業A(22%×0.6)+企業B(5%×0.4)
=13.2%+2%
=15.2%

同様に普通・不景気も計算し、合計すると企業A、企業Bに分散投資した場合の期待収益率が求められる。
以下計算式
企業A(60%),B(40%)の時の期待収益率
=15.2%×0.2(好景気)+6.2%×0.4(普通)+3.6%×0.4(不景気)
=3.04%+2.48%+3.6%
=9.12(期待収益率)

偏差、分散、標準偏差についてはDAY1で示した公式を使い計算することで
求められる(計算の流れは全く同じなのでここでは省略します。)
②企業A、企業Bそれぞれで期待収益率を求め、それぞれに組入比率を掛ける方法
式に表すと以下のようになる。
企業A、企業Bに分散投資した場合の期待収益率
=(企業Aの期待収益率×企業Aの組入比率)+(企業Bの期待収益率×企業Bの組入比率)
=7.6%×0.6+11.4%×0.4
=4.56%+4.56%
=9.12%
偏差、分散、標準偏差についてはDAY1で示した公式を使い計算することで
求められる(計算の流れは全く同じなのでここでは省略します。)

画像3

計算の結果自体はどちらも同じなので各問いに合わせて上記公式を使用するのが一番良いでしょう。
※計算が早いので、可能であれば後者を使うと時間短縮になる

これらの計算結果を元にリスクのばらつきを示す、標準偏差を比較すると
以下の通り、分散投資した方が値が小さくなっていることがわかります。よって企業A、企業Bを組み合わせて投資した方がリスクが低減すると言えます。

画像4

今回の例では、好景気に収益率が高い企業Aと不景気の時に収益率が高い企業Bに分散して投資した場合を例に取り上げました。
こうすることで好景気、不景気の影響を最小限に抑えることができるからです。では、もし企業A、B共に好景気の時に収益率が高い場合、言い換えると景気の動向に対し同じ方向に作用する場合はどうなるでしょうか。
続きは次回!

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