不倫夫はもう別人だった。

不倫されて1年弱再構築を試みた私だけど、再構築中(水面下で不倫継続中)の夫の言動は、今まで私が知っていた夫とはまるで別人のようだった。
当初は不倫されたショックや再構築で必死になって、夫の表情の変化に気づかず、夫の地雷がどこにあるのかわからず、それに怯えながらも、なんとか再構築をと夫の言動に振り回され続けていた。
不倫発覚直後でこそ私の信頼を取り戻すために何だってすると言っていた夫だが、いつのまにか立場は逆転し、何故か不倫をしたのは私のせいになっていた。
そして何かあるとその度にキレて、毎回私が悪くて私が謝り、夫が許してくれるという関係性になっていた。
最初はおかしいと思っていた私も、キレられると自分が本当に悪いと思うようになって、自分を責めて夫の機嫌を悪くしないようにとそんな事ばかり考えている日々。

ある日玄関先で、帰ってきた直後の夫が目を合わせずうつむき加減で会話を続けてる事に違和感を感じた。
その時に夫の顔をまじまじと見たら、私が見たことがない夫がそこにいたのだった。
冷たい視線、私にこれ以上何も言わせまいと、やけに攻撃的で固い表情や言動、私を寄せ付けない雰囲気。
交際当初、結婚当初は勿論そんな人では無かった。じゃないと交際しないし、ましてや結婚なんてしない。
自分が知っている夫と話しているつもりでも、相手の言動や視線、そして顔つきまで別人のように変わっていたのだ。

そこには私が知っている夫の姿はなかった。
この人は、一体誰?私の知っている夫じゃない。と戸惑った。
その刺さるような冷たい視線が怖くて足がすくんだのを覚えている。

その時に気づいたのが、私が対面しているのは自分の記憶の中の夫で、
今目の前にいる夫は、もう過去の夫とイコールでは無いという事。
過去の記憶している優しく照れ屋ではにかむ笑顔の夫はもうそこにはいなかった。
再構築をはかって約半年経ったある日、それに気づいた。
思い返せば不倫が発覚する前もそんな夫だったし、再構築中はそれが更に強固な物になっていたのだ。
離婚した今振り返ると、再構築中も不倫継続中で、不倫が発覚する前よりもより私にバレないように予防線を張っていたという事がわかる。
夫が以前の夫では無いという事に気づいて、それまで訳もわからず夫の言動に振り回されていた私は、本当の意味で目の前の夫と向き合う事ができたのだった。

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