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『Nobody Saves the World』レビュー「クセつよ変身しまくりゼルダライクアクションRPG!」

『Nobody Saves the World』の感想を以下に書きます。

結論

以下の要素が全部当てはまる人におすすめです。
(1)RPGにおいて、ビルドを組むのが好きな人
(2)クセがつよい世界観が好きな人
(3)変身願望がある人

長所

(1)多彩なフォームに変身して暴れまわるのが気持ちいい

 本作の主人公は18種類のフォームが用意されており、プレイ中、好きにそれらに変身することができます。例えば、水中を移動したい場合はマーメイド、狭い場所を通り抜けたい場合はネズミといったようにフォームチェンジを駆使してマップを踏破していくことになります。

 もちろん、フォームチェンジは移動手段だけではなく、戦闘方法もガラリと変わります。また、主人公が成長すれば、一部のスキルを除いて、パッシブスキルやアクティブスキルを自由に組み合わせることが可能です。こちらのスキルを組み合わせて自分なりにビルドを組み上げるのがかなり楽しいです。個人的にはボディビルダーに変身してベンチプレスで攻撃するのがツボでした(笑)。

(2)短期目標を積み上げる快感あり

 本作はクエストによって成り立っています。つまり、メインストーリーからキャラの強化まで全部クエストの消化によって行います。

 例えば、このフォームでこういう方法で敵を攻撃しろ、もしくは倒せみたいなクエストが常に提示され、プレイヤーはそのクエスト消化を常に頭に入れて行動しなければなりません。クエストの条件は多少難しいものや面倒なものはありますが、クエスト達成に必要なノルマはわりと低めに設定されてるので、短期目標をコツコツとクリアしていくのが好きな人にはとても向いているゲームと言えます。一応、ワンパターンな戦い方をプレイヤーにさせないようにする配慮と取ることができますし、戦法のバリエーションを幅広く求めている自分にとっては相性が良いものでした。

(3)きもグロかわいい独特な世界観

 一見、可愛い風に見えるキャラや世界観ですが、インディーズゲームらしく、毒とクセがこれでもかと練り込まれています。女の子キャラも全く可愛くないですし、イケメンらしいイケメンもいません。さらには主人公はパンツをはいておらず、プレイヤーが初めて聞く他のキャラのセリフはそちらのパンツをはいていないことについてのツッコミですし、独特のユーモアが光る作風になっています。あれほど不謹慎ではないですが、独特な毒のあるユーモアのセンスは『サウスパーク』などを彷彿させます。このような世界観は日本人には馴染みが少ないと思いますが、好きな人は好きなセンスなのは間違いないでしょう。ちなみにローカライズはほぼ完璧なので、翻訳された方には尊敬の念を禁じえません。

短所

(1)難易度の急上昇が激しい

 序盤に城のダンジョンをクリアすると王様に道を開けてもらえますが、その後のダンジョンで遭遇する敵が急に強くなるのは結構厳しかったです。このタイミングでかなりのクエスト消化(レベル上げ)が必要になるでしょう。もう少し難易度上昇は緩やかでも良かったのではないでしょうか。

(2)すべてがクエストという作りは好みが分かれそう

 本作はストーリー進行もキャラの強化もすべてクエストの消化によって行います。こちらは長所でも触れましたが、短期目標を設定してもらってコツコツやるモチベーションに繋がるのは間違いないですが、逆に言えばクエストを消化しないと本作は何も得ることはできません。つまり、ゲーム自体が成立しないものと思ってもらって間違いないです。こちらの常時クエストをやらされるという開発からの強制に作業感を感じてしまう人は少なからずいそうな気がします。

(3)変化に乏しいボス戦

 ボスは雑魚敵を大型化しただけというのは寂しく感じました。やりがいのあるような特殊ギミックもほとんどなく、雑魚敵が一緒に湧いてくるだけというのはあんまりな作りです。

(4)移動がわりと面倒

 わりとマップは広大なので、徒歩で移動するのは中々大変です。しかも、ファストトラベルが出来る転移装置は頻繁に設置されているわけではないので、ウマのギャロップで体力やマナを削りながら移動するのも何だか窮屈な作りだと感じました。

(5)ダンジョンの構造はバリエーション不足

 ダンジョンの構造はほとんど変わり映えせず、鍵を集めるか、敵を一定数倒して進むかの二種類しかギミックはありません。ダンジョン探索だけ切り取るとあまりにバリエーション不足なのは間違いないです。

(6)自由度はそれほど高くない

 特に二週目の攻略などの高難易度コンテンツになると、大体使うビルドは決まってくるので、実は自由度はあまり高くないゲームです。割とフォームごとに強い、弱いははっきりしているので、フォームをまんべんなく駆使し、自由自在にビルドを組み立てて攻略していきたいという人には好まれない作りだと思います。

 また、立ち回りなども重要ではありますが、ダンジョンごとにビルドを組んで対策する方がもっと重要なので、アクション部分ははっきり言って底が浅い。ゲーム部分の97%くらいはビルドを考えるゲームだと認識して頂けると幸いです。

(7)イベントシーンのスキップができない

 ゲーム進行中に各所でイベントシーンが発生しますが、二週目に入っても一切スキップはできません。テキスト自体は面白みはありますが、ストーリーはめちゃくちゃ面白いというほどではないので、二週目に再度イベントシーンを見るのはだるいです。

(8)フォームチェンジが即座にできるような作りになっていない

 フォームチェンジはRBボタンを押してからサークル状に展開されたアイコンから選んで行うこともできますが、こちらがめちゃくちゃ誤爆するため、戦闘中に利用するのは現実的ではありません。4個のプリセットを自分で設定して十字キーで即時フォームチェンジできるという操作体系の方がベストだったと思います。

★まとめ

 あの傑作メトロヴァニア「Guacameleee!」を制作したDrinkbox Studiosの新作!ということで好事家の間では期待されていた作品らしいのですが、残念ながらここ日本ではほとんど話題になっていないのが寂しいです。ただ、面白さと中毒性の高さは確かなものがあり、間違いなく良作。

 残念ながら今月でゲームパスの対象から外れてしまいますが、セールの時は是非確保すべきタイトルの一つとして頭に置いておいてください。普通におすすめです。


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