J.K.ローリング氏の新作小説に対する各メディアの反応まとめ

 J.K.ローリングがロバート・ガルブレイス名義で執筆した新作小説『Troubled Blood』が、「女装した男性殺人犯」が登場するという理由で「トランスジェンダーに対する偏見を助長する」「トランスジェンダー差別的だ」と話題になっているようです。

 実際に新作を読んだトランス女性YouTuberは、「900ページを超える大作中、ただの1ヵ所、犯人がウィッグと女性用コートを身に着けて被害者に近づいたというフレーズしかない」とレポートしている、という噂も聞こえてきましたが…
※英語が堪能な方はこちらのYouTube動画でご確認ください

 各メディアやトランス活動家が、J.K.ローリングの新作小説をどのように報道・批判しているか、抜き書きでまとめておきます。

①2020.9.15 FRONTROW

 今回の犯人のキャラクターは“女性を殺害するために女装をして犯罪を繰り返すシスジェンダー(※生まれたときに割り当てられた性別と性自認が一致している人)の男性連続殺人犯”とされている。
 ローリング氏が、新作『Troubled Blood』でトランスジェンダーに対する偏見を助長したり、トランスジェンダー嫌悪を呼び起こしかねないキャラクターを“悪役”に設定したことに、ツイッターで多くの人が反発。

②2020.9.16 Forbes JAPAN

 最新作が「女性を殺害するために女装をして犯罪を繰り返す男性の連続殺人犯」であることが明らかになり、SNS上で強い反発を招いている。
 この作品で描かれる悪役は、サイコパスの連続殺人鬼で、女装した男であることが判明した。
 批評家や彼女の“元”ファンたちは、この作品が以前から反トランスジェンダー的な発言を繰り返すローリングの許しがたい思想を反映していると、怒りを噴出させている。

③2020.9.18 Business Insider Japan

 同氏の最新作に女性を殺害するために女装をする男性の連続殺人犯が登場することが分かり、ファンの怒りを買った。
 人々は最新作のストーリーと、トランスジェンダーの人々に関するローリング氏のこれまでの発言を結びつけている。
 『ハリー・ポッター』シリーズなどで知られる作家J・K・ローリング氏がツイッターで糾弾されている。最新作に女性を殺害するために女装をする男性の連続殺人犯が登場することが分かったからだ。
 テレグラフのジェイク・ケリッジ(Jake Kerridge)氏はローリング氏の最新作について、シスジェンダー(注:生まれたときに割り当てられた性別と性自認が一致していて、それに従って生きている人)の女性を殺害するために女装をする男性連続殺人犯が登場し、「(小説の)教訓は"女装した男性を絶対に信じてはいけない"ということのようだ」と書いている。

④2020.9.18 遠藤まめた氏(wezzy連載内)

 新作で女装した男性をシリアルキラー役に設定していることが背景にある。
 ローリングはこれまで、トランスジェンダーは女装した男性の犯罪者と見分けがつかないので、トランスの権利を認めることが女性に対する脅威になると主張してきた。今年6月には、生理のあるトランスジェンダー男性やノンバイナリーの人たちのアイデンティティを嘲笑うような発言をして批判も浴びた。
 しかし批判されてムキになっているのか、既存のジェンダー観を揺らがす人々に対する彼女のネガティブな言動は止まらない。このシリーズの第2弾でも、トランス女性が主人公を殺そうとするシーンがある。また、彼女のロバート・ガルブレイスというペンネームは奇しくも20世紀後半に同性愛者を電気ショックや薬物投与で異性愛者に矯正しようとした人物と同じ名前であることも波紋を呼びつつある。

 こうやって並べてみると、翻訳記事とはいえ③Business Insider Japanは内容の重複が多すぎるし、記事中で紹介されているテレグラフの記者(?)は「(小説の)教訓は"女装した男性を絶対に信じてはいけない"ということのようだ」とちょっと飛躍したことを言ってますね…

 なお、④遠藤まめた氏の記事中にある「ローリングはこれまで、トランスジェンダーは女装した男性の犯罪者と見分けがつかないので、トランスの権利を認めることが女性に対する脅威になると主張してきた。」の部分はあまり聞いた記憶がないので、もしソース(引用元)をご存知の方がいらっしゃいましたら、Twitterで教えていただけると嬉しいです。

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