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「女性が安心して利用できる温泉地」に

 先日の土湯温泉観光協会の報道をきっかけとして、「女性が安心して利用できる温泉地」について考えるため、過去の温泉での不都合・トラブルについて振り返ってみたいと思います。

1.はじめに

 私は温泉が大好きで、日本国内はもちろん、アジアやヨーロッパの温泉地も訪れてきました。今まで訪れた海外の温泉は水着着用だったり男女の区分が厳格だったりしたため特に問題なかったのですが、日本のいくつかの温泉地では「女性であるがゆえの不愉快な思い」をした経験が何回かあります。

 温泉好きとしては「特定の温泉地のネガティブな情報を発信して客足を遠のかせたくない」という気持ちと「女性が安心して利用できる温泉地にしてほしい」という気持ちの板挟みで悩ましいのですが、過去の不愉快な経験を振り返ってみたいと思います。

2.憧れの有名な温泉がたまたま混浴だった

 私の場合、「混浴に入りたい」のではなく、「憧れの有名な温泉がたまたま混浴だった」だけなんですよね…。「混浴=男女平等」と勘違いしている人がいるけど「混浴≒男湯」なのです。なぜなら、そこには女性が利用しづらい理由がたくさんあるから(詳しくは後述します)。

 「眺めのいい露天風呂」系の場合は混浴を諦めて立地の劣る女湯で我慢することもできるけど、伝統的な建築や足元湧出など「その温泉でしか味わえない」系の場合は他に代替がないので、まずは「女性専用時間」での利用を探ることになります。

3.「女性専用時間」の少なさ・短さ

 すべての混浴風呂に「女性専用時間」があるわけではないし、あっても「朝8〜9時、夜20時〜21時の計2時間のみ」だったりします。そうなると日帰り入浴では利用できず宿泊必須になるわけですが、朝食や夕食の後、休む間もなく慌てて入浴することになるんですよね…。

 「24時間のうち女性専用時間は食後の2時間だけ…もう数時間ほしいし、昼間にもあったらいいのになぁ…」とは思う。が、「そんなことしたら、きっと男性客からめっちゃ苦情来るんだろうな…」と容易に想像できてしまうため、「女性専用時間があるだけで感謝しなければいけないのかも…」と自分を無理やり納得させているのが現状。「入浴料や宿泊料は男女同額なのに温泉内で男女格差があるよね…」と思ってしまうのは、単なる我儘なのだろうか?

4.「女性専用時間」が設定されていない場合の対応

 そして、そもそも「女性専用時間」が設定されていない場合は、「①宿泊客全員が寝静まった深夜にこっそり入る」(←何かトラブルに遭った時に助けを求める相手がいなくて逆に怖い)、「②勇気を出してそのまま混浴に入る」、「③行くのを諦める」(←解決になってない)などの対応が考えられます。

 私も温泉好きゆえ、何度か「②勇気を出してそのまま混浴に入る」に挑戦してみたことがあります。その結果、「全く問題なく楽しめた混浴」と「不愉快な思いをした混浴」とに分かれたのですが、両者の違いは一体何だったのか…?

5.全く問題なく楽しめた混浴

 これは良い評価なので温泉のお名前を出してもいいと思うのですが、秋田県・乳頭温泉郷の「鶴の湯」さんは泉質(硫黄系にごり湯)と設備(脱衣所の工夫)によりお湯に浸って首から下が一切見えない状態で混浴エリアに出られるので、安心してお湯と風情を楽しめました。男性客の方々のマナーも問題なかったです。

6.不愉快な思いをした混浴①(スマホ撮影男)

 前述の鶴の湯さんで「女性が安心して入れる混浴もあるんだ!」と知り、とある東北エリアの混浴を見に行きましたが、そこは脱衣所からお湯まで歩いていかねばならず、タオル巻きもNGなので、速攻断念して帰ることにしました。

 ちなみにその混浴では、男性客がスマホを取り出して自撮りをしていて我が目を疑いました…。離れの露天風呂だから注意する従業員さんもいないし…。「何でこんなにモラルがなく、マナーを守れないんだろう…。こんな男性が自由に温泉を楽しめるのに、女性は性犯罪やセクハラを恐れて我慢しなきゃいけないなんて理不尽だな…」と強く感じた出来事でした。

7.不愉快な思いをした混浴②(ワニ男)

 西日本エリアのとある泥湯では、入口が男女別になっている混浴露天風呂がありました。露天風呂は柵で男性ゾーンと女性ゾーンに区切られており、泥湯の性質上、一旦お湯に入ってしまえば首から下は見えません。

 ただ、入口から温泉に入るまでの間に胴体に巻いているバスタオルを取り去る必要があり、その瞬間を見るために、ずっと男女を区切る柵のギリギリ際のところにスタンバイして女性用入口の方に首を伸ばしている男性(通称「ワニ」)が何人かいて…気持ち悪すぎ。

●ワニの生態

 その場にいた初対面の女性たちが一致団結し、バスタオルを広げてワニ男性から見えない状態を作って順番にお湯に入りました…。なぜ何の罪もない女性たちがワニ男のせいでこんな苦労しなきゃならんのか? ここでも従業員さんに苦情を言うことはできませんでした。もし実際に苦情言ったらどういう対応をされるんだろうか…。泥湯自体は唯一無二で素晴らしかったけど、ワニ男のせいで嫌な思い出ができてしまった温泉。

8.不愉快な思いをした混浴③(つきまとい男)

 最近はタオル巻きや湯浴み着必須の混浴もありますね。それなら安心かと思いきや、北関東エリアのとある露天風呂では、移動する度にビミョ〜に後ろをついてくる男性がいて閉口しました。その人から離れたくて相当移動したのに…。

 でも、「『やめてください…!』とか言ったら、『はぁ!? お前みたいなBBA(またはブス)、誰が相手にするかよ! 自意識過剰!!』とか言われるんだろうな…」と自問自答し、お湯を楽しむ間もなく早々に退散したのでした…。

 ちなみに、個人的には、温泉そのものを楽しむことが目的なら、タオル巻き・湯浴み着・水着の着用義務化はあまり好ましいことではないと思います。そのために塩素入れるとかなったら本末転倒だし…。スパリゾート系のカップルや家族で楽しむことが目的の温泉地ならいいかもしれないけれど。

9.おわりに

 上記の通り、全国各地の混浴で「女性であるがゆえの不愉快な思い」を複数回経験し、「女性が安心して楽しめる混浴」は非常に限られていると痛感した私は、「混浴≠男女平等、混浴≒男湯」だと思っているのです。

 もはや、安心して温泉を楽しめるのは女湯のみ…!

 …と思いたいところですが、残念ながら、「女装して女湯に侵入する男性」という存在が女性の安全と権利を脅かしています(彼らについては後日まとめます)。

 それに加えて、女湯などの女性専用スペースを「生物学的性差を問わず、自らを女性と認識する人または女性として生きたいと願う人のためのスペース」に書き換えようとする人々も、女性femaleにとって大きな脅威です。

 繰り返しになりますが、私は温泉が大好きです。これからも日本の各温泉地をいつまでも楽しめるよう、末永く存続していただきたい。そのためには、人口の半数以上を占める顧客層(女性female)が安心して温泉を楽しめるよう、上記のようなトラブルを未然に防ぐための対策をしてほしいし、女性専用時間も可能な範囲で拡充してほしいと思います。

 男性には「男湯」と「混浴」という2つの選択肢がありますが、多くの女性は 「女湯」しか選べません。それなのに、その女湯すら男性に奪われるなんてことがあってはなならないと思います。なぜなら、「人口の半数以上を占める女性が温泉に行けなくなる=日本の各温泉地が衰退する」という、女性と温泉地の双方にとってマイナスの結果しか生まないからです。

 土湯温泉観光協会をはじめ、全国の温泉地の皆様には、「女性が安心して利用できる温泉地に」という視点を少しでも持ってほしいと思います。

 

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