TRPG ダブルクロス The 3rd Edition「陰日向」その9

この小説は、掲載不許可が発行した「初海乃書」に掲載されている「TRPG ダブルクロス The 3rd Edeition 陰日向」を、以前プレイさせていただいた経験を元に製作されています。

「陰日向」というシナリオ作者のきなり様には許可をいただいきました。

また、掲載不許可所属、サリ様にも協力していただきました。

とても感謝しております。

つたない文章力ではありますが、お楽しみいただきましたら、とても嬉しいです。

尚、ダブルクロスというTRPGを知っているという上で書かせていただきますので、わからない用語などあるかもしれません。少しは説明を入れる予定ですが、進行上省かせていただくこともございますので、ご了承くださいませ。

それでは、前回の続きから。




集合場所に急いで向かう途中、檜山さんに会った。


「あれ?佐野君、ナナちゃん。ご飯かい?」檜山さんから話しかけてくれた。

いつの間にか、ちゃん付けになって、少し親近感を覚えた。

「あれ?支部長も?」「あ、檜山さんも?」

あとから出たはずの佐野さんがもう、私の横に来ていて、ちょっとだけビックリした。それにしても、ハモッたように2人一緒に話しかけちゃうなんて、ちょっぴり恥ずかしかったな。

「たまには外で食べようかと思って。集合時刻にはまだ時間あるし、ね。」

まだ時間ある?時計を見た。佐野さんが訓練所のとき、急に止めたせいで、どうやら時間を見間違ってたみたい。急ぐとだめだなぁ。と心の中で想っていると。

「あ、いいですねー。」と佐野さんが檜山さんの言葉に頷いていた。

一緒に行きたくなって「みんなで食べたほうがおいしいもんね。」

「みんなか・・・。そうだ、せっかくだから朝比奈君も呼ぼう。」檜山さんの提案に大賛成な私。思わず「うん!」って叫んじゃった。

「今回の事件についても、整理したいし、ね。」とおもむろに携帯を取り出し、朝比奈さんに呼びかけてる。電話の向こうから、朝比奈さんの嬉しそうな声が聞こえて、私も嬉しくなった。

食べたいものは?と檜山さんに尋ねられて、佐野さんと2人でカレーって、またハモッたようになっちゃって、檜山さんのにやけた顔が忘れられない。

そんなこんなで、のんびり朝比奈さんを待っている。


しばらくして、朝比奈さんがてくてく歩いてきた。


改めて檜山さんが「朝比奈君、何食べたい?」と聞くと「カレー」って。

みんな食べたいものが一緒なんて!笑顔になっちゃった。

でもね、檜山さんだけは「そうか、カレーか、カレーか。ほら、今日も寒いし、お鍋なんていいんじゃないかな?」なんて言う。

私のお口とお腹は、カレーになってるから「カレー♪カレー♪」なんて、口ずさんでいた。

朝比奈さんが「じゃあ、間を取ってカレー鍋とか。」提案すると檜山さんは

「間取ってないよね?それほぼカレーだよね?」と突っ込みをいれる。


「でもまあ、みんなが言うなら、まあ。」しぶしぶ納得したみたい。

あとで聞いたんだけど、強い香りが苦手なんだって。能力に影響しちゃうみたい。

「じゃあ、行きましょ行きましょ。」佐野さんが最初に動き出す。

「佐野君待って。」檜山さんが止める。

佐野さんは止まらない。「佐野君待って。」再度止める。止まらない佐野さん。

「待って佐野君、待って。」檜山さんの呼びかけにようやく止まる佐野さん。

きっと佐野さんの頭の中もカレー一色だったんだろうなぁ。

ささっと檜山さんは洋服屋さんに入り、ポンチョみたいな服を持って出てきた。

「はい。」檜山さんが、佐野さんに差し出す。

「これは?」不思議がる佐野さん。

「目立つからね。」子供を制するかのような一言。

「あーこれですか?」佐野さんは、仮面を指さしながら言う。

「違う違う。昔も警察はいたでしょう?」察してほしいらしく、言葉少なに檜山さんは佐野さんに向かう。

「こんな感じの?」と言い、佐野さんは、よくテレビドラマに出てくる、むかーしの警官に変身した。(能力の一つみたい。)

「止めなさい。」咎める檜山さん。

強い言葉で「戻りなさい。」と一言。佐野さんはすぐに元に戻った。


「今はちょっと変わった服装をしているだけで、目立つことをするだけで、警察に目を付けられてしまう時代なんだ。僕のサングラスもギリギリだよ。」少しわかるように、檜山さんは佐野さんに言葉を投げる。

「ふーん、そうなんだ。」あっけらかんとしている佐野さん。

ポンチョをかぶせ「これならすぐに戦えるし、なにより暖かいだろう。」

檜山さんは佐野さんに優しく接する。きっと2人にしかわからないことがあるんだろうなぁ。なんて感じてた。

「そうですねー。ありがとうございます!感謝してます!」佐野さんは子供っぽくお礼を言った。


なんだろなぁ?と首をかしげていると、隣の朝比奈さんが必死にメモを取っている。

覗き込んで「朝比奈さん、なにやってるのー?」

私は尋ねた。





次回へ続く。