春分点の光と線|指輪を買った話
3月頭。
私は、空っぽだった。
今年度のお仕事も、担当業務が期中に2回変わるという例年にない状況の中、どうにかこうにか走り抜け、
3月の頭で大口2件の実行に漕ぎ着け、一息ついた。
これで今年度の案件はもう残っていない。あとは来年度の仕込みだけ。
その間、後ろ回しにしてきたこと。
後回しにできる事務仕事をはじめ、家族写真を撮ることや、長女の発達相談、結婚十周年のお祝いとか。
自分のことすらちゃんと構ってあげられなくて、病院にも行かず、挙句体調を崩したり。
他方、結婚十周年だというのに(自分が企画しないのがいけないんだけど)夫は結婚記念日を忘れていたし、お祝いの言葉も何もないし。
年始にあったプライベートでの色々なこと(主に家問題)とか、
長女が生まれた日にとても悲しい思いをしたこととか、思い出してしまって。
結局全部自分が動かなきゃいけなくて、自分が我慢しなきゃいけなくて。
単純に、疲れていた。
だからお休みをとって、一人で過ごすことにした。
いつも行かないところへ、久しぶりの新幹線に乗って、けど日帰りで帰って来れるところで、と考えて、大阪。
目的は友人のところ(眼鏡屋さん)で眼鏡を作るのと、
長年仲良くしてもらっているフォロワーさんに会うこと。
友人の眼鏡屋さんは最高だった(これは別記事を書く)。
フォロワーさんは長く仲良くさせてもらっているので、正直初めて会った気がしなくて、
ああ!現実にいらっしゃった!やっとお会いできた!という喜び。
「せっかく大阪に来られて、観光とかいいんですか?」と聞かれたけど、
この時間が自分のために何より必要で大事。
梅田大丸のHARBSでケーキを食べたあと、
いつもどこで遊んでいるのか、どうやって過ごしているのかたくさん教えてもらって、
そのあとデパ地下をぐるっと周り、
グランフロント大阪のHirotakaを案内してもらった。
Hirotaka、実はこのフォロワーさんが教えてくれて、知ったブランド。
会社の近くに路面店があるので、たまーに覗いていたりして、
オンラインサイトを見すぎて、シリーズの名前とかコンセプトを諳んじられるくらいなのに、実はお迎えしたことがなかった、私の憧れ。
イヤーカフとか、ピアスとか、一通り店内を見させていただいたけれど、
気になったのは、オンラインで見たことのない、石がついた指輪。
何度か試着したこともある。
けれど白も黒も水色も緑も茶色も、自分には何かが合わなくて、
お迎えできなかったシリーズ。
の、グレー。
しかもメノウ(アゲート)だ、これ。
早速お願いして試着させてもらう。
指輪の大きさ(大体のHirotakaは繊細なので体の大きい私には存在が消える)も、
色(シルバーとマットな表面にニュアンスのある縞模様)も、
うん、似合う。申し分なし。
グレーだが、光の加減でブルーにも、藤色(薄紫)にも見える。
ベージュ、茶色にも思える線が入っている。
海の波打ち際か、木の年輪みたいだな。
聞くとこの色、
梅田店オープンの時に限定で入荷されたものと言うではないか。
確かにHirotakaって、お店にいくとオンラインにない商品(通常商品の石違いとか)がたまに置いてあって、
聞くと良いもの(石)がある場合少数作っている(ただ在庫がないからオンラインには出せない)という。
ずっと気になっていたEQUINOX。
春分点の光。
春分点と言うのは
冬から、春に変わる瞬間。
その時思い浮かんだのは、1年のうち限られた日だけ、光が差し込む遺跡たち。
世界中にはいくつか、春分の日、夏至、秋分の日、冬至の暦の変わり目の日だけ、見ることができる景色があって。
その光と共に、古代から何かを始めたり、切り替えたり、終えたりしてきた。
古くから続く、ひとびとの営み。
それでふと、ふと、思った。
今私が置かれているのは冬で、
きっともう少し経てば、春になるはずで、
そしたら種まきをして、何かがまたはじめられるかもしれない。
ああ、そうか。
これからまた、ひとつずつ積み重ねていけばいいんだ。
どう変わっていくかわからない未来だけど、
変わっているのか変わっていないのかわからないこともたくさんあるけど、
季節は巡る。光とともに。
だいたい、10年ずっと心の奥底で一人悩んで考えてきたんだから、
すぐに回復なんて、できるわけがない。
これから10年かけて、”いつも”の繰り返しの中で、徐々に癒していければそれでいい。
ものごとは、繰り返す。
けど繰り返す中でひとつずつひとつずつ、同じようで違う、違うようで同じ経験を積んで、
自分の年輪を、重ねていこう。
実は眼鏡2本買ったあとで(眼鏡は医療費!)、
えええええ!!ここで出会う?!と頭を抱えましたが、
一度退店して、頭を冷やした上で、新幹線の時間を気にしながら再度お店に行き、お迎えしました。
帰りの新幹線の中では、つけてニヤニヤしながら帰りました。
私の春分点の光。
面々と続く、一本の線。
ここからまた何か、はじめられたらいいな。
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