動物の物語~太郎編⑫~


牧場内には以前と変わらない日々が過ぎていく

 太郎以外は… 


プライドというモノが犬にもあるんだと思う。

プライドがズタズタになってからの太郎が…

とても小さく見える。


数日、、、数週間がたち、やっと徐々に回復してきた。

よかった… 


以前の様に朝の見回りにも付いてくるようになった。


12月、もうすっかり冬になっていた。

冷たい雪が太郎の顔に当たる。

幾つかつもり、ブルブルっと振るい落とす。


特に、私に懐いていたのが太郎と

真黒い犬の次郎(…適当に名前付けられてる‪w) 


毎日、仕事中は、ほとんど近くにいた。


その日は雪が振り、既に10センチ程積もり

帰る途中、牧場の入口あたりで運悪くタイヤがパンクした。とりあえず、、車置いて帰る事にした。


次の日、バスで行き、歩いて牧場に向かった。

タイヤのパンク直さなきゃな…と車を見ると !! 


頭や身体に雪を載せた太郎と次郎が!! 


え??


一瞬、何故、2匹が居るのか分からなかった。


あ、、私が車に戻って来ると思ったのかな? 


この寒い中、一晩中ずっと待っていたの?! 


2匹が私に気づき、走って駆け寄ってきた

「え、どこいってたの?まってたの!!」と

甘えた声でワンワン喜んだ。しっぽがちぎれそうなくらい振り、身体全体で表現する。


人間に比べたら犬の忍耐力ってすごいと思う。

この雪の中、ひたすら待つ… ただ帰ってくると信じて… 


もう、可愛すぎる…


2匹一緒にぎゅぅぅぅぅと抱きしめた。

次郎は苦しいって顔してた。基本クールだからね‪w


 太郎は、もっと、もっとって感じ‪w 


「行こっ」ていうと2匹もわかったという感じで


牧場の事務所までみんな一緒に歩いて行った。


 信じるってこういう事なんだな…… とふと思った。


楽しそうに雪の中を走り回る太郎と次郎


時々、振り返って

私が追いつくのを待っていた。


そしていつもの太郎が そこにいた。


私は

待つ意味と信じるという感覚を

太郎と次郎から教えてもらった。


この体験が無かったら子供を信じて見守る子育てなんてできなかったかもしれないと今思う。あの日、信じて待っていてくれて、ありがとうという言葉しかない。


でも…

そんな太郎だからこそ… 

未来が少しこわかったんだ。


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続く。

ありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ