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開発チームで360°フィードバックを試してみた狙い・実施方法・結果

こんにちは。HERP開発チームの元木です。
突然ですが、皆さんの会社の開発組織をより良くしていくために何か継続的に行っている施策はありますか?
今回HERPで360°フィードバックを実施してみて色々良かったのでまとめてみます。似たような制度や仕組みを導入しようと思っている方の参考になれば幸いです。
なお、参考までに現在のHERPの開発チームはエンジニア13名、デザイナー3名の合計16名です。全然人が足りてないので絶賛採用中です!!!!(カジュアル面談希望の方はこちら)

360°フィードバックとは?

HERPの運用では評価と紐づけていないのでフィードバックと呼称していますが、一般に360度評価や多面評価と呼称されていたりするものです。
従来、評価は会社(上司)から社員に対して行うものでしたが、社員同士、もしくは社員が上司に対して評価を行うものです。詳しく説明した記事は検索すればたくさんあるのでここでは解説せず、参考リンクを1つ貼っておきます。

360°フィードバックを実施した狙いや気持ち

私はHERPでは開発チームのマネージャーを務めていますが、職責上、開発チームのパフォーマンスの最大化に責任を持っています。今回の360°フィードバックもその責務を果たす一環として検討、実施をしたわけですが、以下のような狙いや気持ちがありました。

1. HERPではスクラム開発を導入していることもあり、個人のパフォーマンスよりもチームのパフォーマンスについて重視している。この場合においてチームメンバーからの改まったフィードバックはチームのパフォーマンスを良い方向に動かすのに有用だと考えていた。
2. 人は自分が思考したり意思決定をしたりするときにどうしてもバイアスをかけてしまう生き物なので、他人に意見を求めることはそのバイアスの除去に有用であると考えていた。また、そのためにはなるべく多面的な意見を求めた方が良いと考えていた。
3. 他者の働き(特に良い点)について考えるとき、そもそも組織にとってどのような行為が良いのか客観的に考える機会となると考えていた。また、意図せずとも他者を自分の鑑として捉えることになることが多いため、自省の良い機会にもなりフィードバックをする個々人の成長促進やパフォーマンス向上にも役立つと考えていた。

ちなみに2. については以下の書籍を読んだときに得心して自分の考えとして取り入れています。私個人の意思決定や、他者の意思決定をサポートする際に気をつけています。

3. については、私は評価をする側になることがあるのですが、評価の際、「評価される」側よりも「評価する」側の方が、その過程において組織や個人について深い思考を求められたり頭を使う機会が多いのではないかと思っています。経験上、私が「評価する」という行為によって有用なインサイトが得られたことがよくありました。

その他の話として、僕の個人のパフォーマンスの最大化の理想像は以下のような書籍から影響を受けています。それぞれの本でnote書けてしまうくらい語ることがあるので、気になる方は是非読んでいただくか検索して要約だけでも拾ってもらえると良いかなと思います。

実施方法

とりあえず前準備として社内に360°フィードバックのような制度を受けたことがある人がいないか探してヒアリングしました。ちょうど評価に紐づかない360°フィードバックを受けたことがある人がいたので、ある程度参考にしながら進めました。

実施フロー
1. フィードバックを受けたい人を指名してもらう(開発チームに限らず社内の人間全員を対象とした)
2. 指名された人に対してフィードバックフォームの記入を依頼する
3. 記入されたフィードバックを指名元に配布する

全般的に Google フォームや Google スプレッドシートを活用しながら進めています。
今回は「誰を指名したか」と「もらったフィードバックの内容」については全社に公開せずにフィードバックをもらった本人と社内の一部メンバーだけが閲覧できるようにしました。とりあえず分からない方が書きやすいかな、というだけの理由です。

フィードバックフォームの項目
シンプルに以下2つだけにしました。理由は後述。
1. フィードバック対象者について、回答者が良いと感じている点を書いてください
2. フィードバック対象者について、こうすればもっと良くなると回答者が感じている点を書いてください

実際のフォームの画像

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360°フィードバックのサンプルは検索すると色々出るのですが、細かい項目を用意して、それぞれ1~5などの数値をつけるタイプのものが多かった印象です。個人的には「異なる価値判断基準を持った人々」が数字で定量的に評価することに意味を感じないので1~5のような数値で評価する項目は不採用とし、定性的な自由記述のみとしました。
もっと人数が増えて、基準が明確化されていくとそういった評価方法にも意味が見出せるのかもしれません。

また、基本的にネガティブフィードバックは盛り込まないことにしました(2. の質問はネガティブフィードバックを誘発しかねない質問ではありますが)。ある研究結果によるとネガティブなフィードバックはパフォーマンス向上には役に立たず、むしろ逆効果という話があります。
先程、他人から意見を求めることが有用である旨を言及しましたが、一方で人が人を評価するというのは非常に難しいことです。自分が他人を客観的に正しく評価できる、というのは非常に驕った考えだと思います。したがって、「客観的な評価」ではなく「主観的な感想」を記入するようにしています。
この辺りは以下のような本を読んで参考にしています。


実施して良かった点

割と狙い通りで良かったです。実施後アンケートを取ったのですが、メンバーも良かったと思ってくれている人が多かったです。若干本題や当初の狙いから外れた感想ですが、メンバーがお互いの良いところを指摘しあってるのはちょっとエモかったです。
やっぱり意外と普段お互いの良い点を指摘することって少ないんだなぁと思い、促すことは意味があるなと思いました。
以下、実施後アンケートのポジティブな感想を記載します。

- 個々人の成長のヒントとなるような情報が共有されたと思うため
- 普段こういうフィードバックもらう場なかったのでよかった
- 褒められて単純に嬉しい
- 自分では気付かないところが他人からは見えていることがわかったので。
- みんながこういうことを考える機会を作るのがいいことなので
- 自らの働き方を振り返るいい機会になったと思います
- 自分では気づいてないもっとこうした方がいいところに気づかせてもらえたから。また他の人へのFBを記入することで内省にもつながったから。
- (他人からの)意見読めてよかった
- 一緒に働いている人に承認されてうれしかった。

実施して悪かった点

あまりない?強いていうならば人によっては記入に時間がかかったりしたようでした。実施後アンケートによると記入にかかった時間は短い人で1人あたり10分未満、長い人だと30〜45分程度だったらしいです。ただ、慣れると時間は短くなるかなと思っているのと、必要なコストだと思ってるので、四半期に一回程度なら十分にペイすると感じました。
ちなみに実施後アンケートのネガティブなコメントは以下の通りでした。

- 記入は少し大変だった
- 否定的なことを書かれることが怖かった(が、結果として書かれていない)
- 回答する必要がある数が多くて大変だった.特にチーム外の人から依頼さ- れても,普段一緒に働く機会が無いので,何を書けばいいかわからなかった.
- 個人の働きに関心を示してなかったので実のあるフィードバックが書けなかった。

本筋と関係ないですが、「360°フィードバック」という名称が記述、口述ともに非常に扱いづらいという問題はなんとなくあります。ピアフィードバックとか呼んだ方がいいがニュアンスが違う気もする。みんな名称が難しいと感じているようで、ドフィーと呼ぶメンバーも現れていたのでなんとかしたい(ワンピースの話をしているのかと思った)。

次回に向けて

良かったので今後は内容を見直しつつ、取り組み自体は四半期に1回実施をしていきたいです。

見直しポイントその1: プロセスと結果を全社に公開してみる
Twitterで広告が流れてきたのを見かけたのですが、ユーザーベース社では評価に影響する360°フィードバックの内容を開発組織内に全て公開しているらしい。すごい。風通しの良い組織を目指していきたいので、公開するという点を真似してみたいです。

見直しポイントその2: フィードバックの基準となるような個人の目標や意思などをどこかに明示するようにする
フィードバックの対象者について、フィードバックをする前提での情報収集を普段から十分にできていることはそんなにないと思います。その人について何かしらの情報が手に入るとより良いフィードバックができそうというのは感じましたし、そういった意見が実施したメンバーからも出ました(ただ、これはテキストで一方通行のフィードバックをしているから起きているな気もします。聞けばいいだけの話なので。)。
しかし、HERPではMBOやOKRのような目標管理手法を取り入れたりしておらず、またリクルート社のようなWill・Can・Mustを各自定めるといったことをしていないので、そもそもそういった情報は存在しないのが現状、、。(エンジニアの意味ある個人目標を設定するのって難しいよね〜となって終わりがち、、、)
最近社内で自律的に目標を設定する会を発足させているので(「わ〜い、君は目標を立てるの得意なフレンズなんだね会」、略して「目標フレンズ会」)、そこからの延長でうまいこといかないかと画策中。

今後、社内外への発信の目的と思考の整理のためにちょこちょこアウトプットを書いていこうと思います。リクエストや感想をお待ちしております。

おわり

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