イギーをポップにする週末 answer ver ※ご愛読感謝&6月回顧号 理由を見つける。

 本島です。初の試みですが、月末回顧を書いてみます。
 いつもこのコラムを読んでくれている読者の方へとのお礼の意味と、そして、最近いろいろなところで目にした「データには、そうなる理由が必要」という言葉への、僕からのアンサーエッセイを書いてみました。

 僕の6月の馬券の成績は、以下のようなものだった。
 サトノティターン(3着)、レッドジェニアル(2着)、安田記念(着外)、スマートダンディー(着外)、ソーグリッタリング(2着)、ダイアトニック(1着)、クリソベリル(1着)、リアンヴェリテ(2着)。宝塚記念(着外)
 2020年6月の成績。これが全馬券だ。9戦6勝。レース名は省略。安田記念と宝塚記念だけは、また詳しい回顧を書く予定もありそうなので、馬名は伏せておいた。共に馬券は完敗だった。
 毎週のコラム、”イギー”に明記したように、単複の比率は1:5で複勝重視。よって、6月はプラス。精度もよかった。マグレだ。

 さて、こうした成績の中で、ちょっと『やり方を変えたこと』がある。
 「リピーター」の扱いについてだ。
 ここ数年、個人的に「リピーターでの好走狙い」の精度が、ちょっと悪くなっていた。
 わかりやすい言い方をすると、複勝率5割を切ってしまっていたようで、自分でも気になっていた。
 そこで、リピーターの狙い方に細かく新しい基準を作って、ブラッシュアップをし、試してみた。
 僕の手書きノートの中から、参考にするために引っ張り出した過去の事例は100頭ほど。
 リピートで好走を狙って上手くいった例が50ほど、逆にダメだった例も50ほどを書き出し、そこにはどんな差があるのかを、メモしていく作業をした。
 そうすると、100ほどの「リピートできた理由」と「リピートできなかった理由」が集まった。
 そうやって、『これらの多くの事例に共通している理由』が、「リピートできる馬の原因」になっていった。そして「リピートできない馬の原因」も見つかっていった。
 この作業で、リピートできる馬の条件を、しっかり自分の中で見直した。
 結果、6月は、リピートでの好走を狙っている馬の中から僕の基準で買える馬は、2頭だけとなり、その2頭を購入。
 エプソムCの、ソーグリッタリング。昨年3着→今年2着。
 大沼Sの、リアンヴェリテ。昨年1着→今年2着。
 この2頭だった。
 特にエプソムCでは、「レイエンダ、サラキア、サトノアーサーはリピートできなさそう」ということを書き、ソーグリッタリングだけがリピートできそう、というコラムにすることができた。
 (サトノアーサーは、3着くらいあるかと思っていたが・・・。)
 どうやって、この「2頭”のみ”」に辿り着いたかというと、それは、書き出したメモが教えてくれたわけだ。
 そう、「過去の事例に秘められていた「理由」」が教えてくれた。

 もう少し、わかりやすく書こう。
 競馬において、いらないもの、あまり意味のないものは、「理由なき単純データ」だ。
 リピートでの好走を例に話をすると、『このレースはリピーターが多い、過去10年を見るとリピーターが5頭も』といったようなもの。
 こういったデータは、あまり意味がない。
 意味があるのは、「こうこう、こういう理由で、このレースはリピートしやすいはずで、実際にその傾向が数字にも出ている」というデータだ。
 そして、これはもう、データではない。
 ユニコーンSで、「このレースは堀厩舎の成績が悪い」というデータが話題になっていた。これがまさに、だからどうしたという話であって、カフェファラオには、あまり関係ない話なのだ。
 堀厩舎はもともと東京が得意。牡馬の大砲でも出る関東の最強厩舎。ユニコーンSで結果がでない「理由」がないのだから。
 しかし、なぜだかわからないが、競馬の世界は「データ」「データ」「データ」と言われ、この言葉が、すごく大事なことのように使われてきた。
 僕はこれを重要視しない。
 なるべくなら、データの数字より、そのデータになる「理由」を先に言いたいと思う。
 そして、その結果、「データ的にもこのように出ている」というものでなければ、あまり意味がない。
 そして、「その理由あるデータ」は、データではなく「必然の好走」だ。
 逆に「理由なく、たまたまそうなっているデータ」は「偶然の好走」だ。

 リピーターから話は変わるが、2020年の天皇賞・春では、フィエールマンの単複を買った。
 おそらく、単純データを見てしまう人は、この馬を買えない。
 ローテーションが、「有馬記念→5か月ほど休養→天皇賞春」というのは、データ上、好走例がほとんどないからだ。
 データを見るなら、20年前のサクラローレルが、天皇賞春で2着に好走した時まで遡らなければいけないことになる。
 しかし、重要なことは、「サクラローレルしかいない、好走例がほぼ1頭しかいない」ということではなく、「サクラローレルがやったことは、必然の好走なのか、偶然の好走だったのか」ということだ。
 有馬記念→天皇賞春、というローテは、中~長距離のG1を、中6か月以内で走る、まっとうなローテだ。成功例がないから不利ローテ、ではなく、成功例がないことの方がおかしい。そう思い、サクラロ-レルというエビデンスがひとつあれば十分だと書いた。

 「過去10年でたくさんの成功例があること」より、「過去30年でたった一つでもいいから、そうなる明確な理由がある、エビデンスがひとつあればいい」。
 僕はそう思っている。


 執筆者・本島