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元銀行員が語る。とあるNFTプロジェクトが銀行借り入れを成功させた舞台裏

「フリーランスの学校」が提供する、【実例あり】元銀行員に聞くゼロからわかる「銀行融資でお金を借りる方法」があまりに有益だったのでご紹介させて頂きます。

「フリーランスの学校」とは、「株式会社むらかみかいぞく」の村上周平さんが代表を務めるフリーランス向けの教材提供及びコミュニティー運営を行っているサービス。

NFT界隈では、LLAC(Live like a cat)というコレクションを運営している「しゅうへい」さんとしても有名。

今回は、しゅうへいさんが聞き役となり、実際に資金調達を担当された「さかえる」さんから舞台裏を披露頂くという仕立て。 LLACハウスというコワーキングスペースを、しゅうへいさん在住の今治市しまなみ海道沿いの島に作るというのが資金調達の目的。

一般的に、出資と融資は以下が通説と思います。

  • スタートアップ:VCからの出資(投資)

  • スモールビジネス:金融機関からの融資(貸付)

スタートアップというのは、多産多死で、多くの会社は「死の谷」を超えられず消えていく。その際、出資額は紙くずとなる。一方、一握りの大成功した会社が莫大なリターンをもたらし、トータルで出資者に利益をもたらす。

従って、VCに求められるのは、いかに大化けする起業家にきちんと張れるか。個別の投資で損失を出すことは咎められないが、グロース&スケールした案件を逃すと厳しく咎められると聞いたことがあります。

対して、銀行(金融機関)が重視するのは「貸した金が、きちんと戻って来るか」。会社の信用こそが最重要。口座(アカウント)を作るということは、その会社に対して銀行としてお墨付きを与えたということ。従って、申し込めば誰でも口座が開けるという訳ではない。

銀行として、もっとも恐れるのが、反社やマネーロンダリングに関与する口座開設を認めてしまうこと。

そんな中、事業内容がNFTというのは、いかにも怪しいと思われるので、口座開設に際しては「フリーランスの学校」を前面に出すという作戦をとったという点が興味深い。

更に、いきなり融資担当者に突撃するのではなく、契約している税理士を介して紹介してもらうというテクニックも紹介されていました。信頼できる税理士さんの紹介であれば大丈夫であろうということ。

口座開設後の、もう1つの関門が融資の審査。ここでのポイントは、事業リスクの見極め。事業が計画通りにいかなくても資金の返済が可能なのか。

ここで、とても有益と思ったのが、さかえるさんが「融資担当者」の視点で語ってくれたこと。通常、資金調達者(事業者)は、融資担当者=銀行の総意と考えがち。実際は、担当者の上には決裁者が居ます。

融資担当者の立場で、上司(決裁者)から指摘されるであろう懸念点に対し、融資担当者が上司を論破できる材料を予め用意しておくという発想。これが、実に有益でした。

間違いなく、想定される指摘が

人口5千人の島にコワーキングスペース作って稼働するの?

ここに対する打ち手が、計画発表当初に実施した「LLACハウス建設クラウドファンディング」。建設資金調達を目的にNFTを300人に販売し、1千万円を調達。

この300人の大半が今治の非居住者。既に全国に300人を超える支援者が存在し、1千万円の支援金が集まったという事実が説得材料となる。必要に応じ、今後も追加募集が可能というのも強み。

また、稼働が低かった際は、最大の固定費である人件費がミニマムで運営できる設計になっていることも説明。

対談では語られていませんでしたが、今治市と提携して、様々な文化・教育事業に活用できるということもアピールポイントになると思います。

あるいは、「サイクリストの聖地しまなみ海道」を活用し、サイクリスト向けに会員権NFTを販売。実際にLLACハウスに立ち寄ったら、特別記念NFTがもらえるという仕掛けも可能と思います。

サイクリング中に急遽、仕事の対応が必要になった際にも使えますし、サイクルショップを併設しておけば、外で修理をお願いしている間に中でPCを使った情報収集をしたりもできます。

「密かにサイクリスト達が集い、情報交換をする場」というブランディングも面白そうです。

話を対談に戻します。

本体談での学び・気づきは以下の2点。

  • 資金調達する際、チームに金融関係者が居る必要性

  • 「フリーランス支援サービス」「NFTコレクション」という複合事業を展開しているからこそ、実現した資金調達

PFPを中心としたNFT市場は、長らく冬の時代で先行き不透明。今後は、単にバブルに乗ってコレクションを出しただけのところと、CNPやLLACの様にきちんと事業展開ができているところで明暗がわかれていくであろうと改めて思いました。

最後の、しゅうへいさんの著書「お金の不安ゼロ化メソッド」をご紹介します。東京でマルチビジネスに手を染め、借金5百万円を抱えて故郷の今治に戻り、再スタート。そこから一念発起して一大事業を作り上げたしゅうへい氏のパーソナルヒストリーが語られています。

さらっと読みやすく、かつ、仕事やお金に前向きな気持ちになれる爽やかな読後感の1冊です。




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