券売機つまらせおじさん


午前中に裁判は1件。罪名は「詐欺」。詐欺にもいろいろあるのですが、傍聴していて悲しくなってくるような詐欺でした。

 

身柄拘束された被告は50歳くらいの男性でした。傍聴人が結構いて10人くらい。白衣のようなものを着ている女性が数名いました。

 

被告がやらかした詐欺は

「券売機に1万円入れたんだけど詰まっちゃったんだよ」といって店員から1万円を騙し取るものでした。

 

はあ・・・・しょうもな

 

駅前イオンのスーパーのセルフレジで1回

松やで数回

札幌でも1回

 

いまどきの券売機で紙幣が詰まることなんてめったにないでしょう。もしあってもリース会社か店長が対応する案件のはず。でも被告の被害にあったのは現場の店員です。お客さんが困っていると勘違いして、とりあえずお金を渡してしまうような良い人だったのでしょう。

さらに牛丼なんて数百円の客単価、1万円を稼ぐのは大変です。そこで働く19歳の女性アルバイトが被告の言うことを信じて1万円だしてしまったとのこと。私は「だますなよ~、がんばって働いてる19歳の女性をよ~」と思いました。

 

ただ、被告には心身そう弱があったということでした。障害者向けのサービスを利用しており、出所後の再入所はばっちりということです。

 

前にも発達障害の被告の裁判を傍聴しましたが、彼も「やってはいけない」と頭では理解できても止まることができない人でした。この券売機詰まらせおじさんもそうなのかもしれません。

 

善悪の基準がどこかゆらいでいて、目の前しか見えなくなってしまうことがある。そうなると「やってはいけない」なんて理性はどっかにいってしまい、体が覚えている現金ゲットのやり方を繰り返してしまう。被告には4犯の前科がありました。

 

裁判官が論告します。被害額は小額ですが、さすがに実刑でした。1年6月。

 

「それだけ刑務所に入ればマトモになるのかなあ?」

と思いました。きっと難しいと思います。でも希望を捨てないで被告のケアをする人がいます。傍聴している白衣の女性達はきっと被告のような人をケアする仕事の人たちでしょう。

 

法に抵触する行為を繰り返す障害者は結構いて、そのような人たちをサポートする仕事があります。それはとても大変な仕事です。私にはとてもじゃないけど勤まらないでしょう。こんな仕事をする人たちを裏切ってはいけません。そのことを被告は理解できているのでしょうか。理解してほしいなあと思います。

 

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