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Interview vol.5 川村りらさん(脚本家・俳優)死が身近に感じられた今、人情喜劇を作りたい

 vol.5は脚本家・俳優の川村りらさんにお話を伺います。元町映画館で年末恒例上映となった『ハッピーアワー』出演時の思い出や濱口竜介監督とのエピソード、同じく年末上映する『きょう、映画館に行かない?』より、脚本家デビューとなった短編『すずめの涙』のエピソード、そしてこれから描いていきたいことを語っていただきました。
※『ハッピーアワー』は、12月26日より30日まで連日3部作を一挙上映
『きょう、映画館に行かない?』は、12月24日に1日限定上映



(C)2015 神戸ワークショップシネマプロジェクト

■『ハッピーアワー』のワークショップ


―――以前、川村さんが共同脚本と主演を務めた『三度目の、正直』の取材で、「東日本大震災以降に自分がこのままでいいのかと思い悩んだ時期があり、悩んだ末に応募したのが『ハッピーアワー』のワークショップだった」とおっしゃっていましたね。
川村:今思えば、どこか駆け込み寺に飛び込むような気持ちがありましたし、周りを見渡しても、みんなそうだった気がします。だから、同じ危機感を持っているもの同士という部分で、息が合ったのではないかと思います。

―――演じることは、ハードルが高いと感じさせてしまうものですが、ワークショップ応募時の声掛けの仕方が良かったのでしょうか?
川村:ワークショップに申し込む時点で、演じるということは一切イメージになかったです。濱口さんはいまだに否定されますが(笑)、チラシには、「ワークショップ後、有志のみで短編映画を撮ります」と書かれていたので、有志だけで撮るなら問題ないし、ワークショップの間に演じると思っていなかったので申し込んだのですが、結局終わっても誰も離脱することがなく、結果的には5時間越えの長編になりました。

―――濱口監督が神戸でするワークショップに対する興味があったと?
川村:わたしは『親密さ』を観て、「どうやったら、こんな映画を作れるのだろう!」とえらく感動したので、濱口さんの映画の作り方の秘密を知りたいと思ったんです。
 
―――確か以前のインタビュー(「自分で答えを見つけてほしい」『三度目の、正直』野原位監督、川村りらさんインタビュー前編で、濱口さんとは映画研究会で先輩後輩だったとお聞きしました。
川村:サークルが2年制なので濱口さんとは当時面識はないのですが、映画監督の船橋淳さんが当時の副部長さんでした。とても優しい先輩でした。東日本大震災以降は『フタバから遠く離れて』をはじめ、最新作の『過去負う者』など社会派の映画作家として、とても頑張っておられるなと思いながらご活躍ぶりを遠くから拝見しています。一方、濱口さんの作品は感情を丁寧に扱いつつ、社会問題に対してドライだったりシニカルな視点で、軽やかな語り口であるという印象です。

―――確かに、濱口監督のどの作品にも社会問題をあぶり出す要素が様々なレイヤーで入っているのですが。
川村:それは濱口さんの謙虚さ、慎重さから来ている気がします。そういう謙虚でユニークなお人柄だったこともあり、『ハッピーアワー』のワークショップ期間は、私は心から笑うことが多かったです。ああ、私随分長いことちゃんと笑ってなかったのだなあと気づかされたりして。振り返ると、自然に人と向き合い、自分と向き合う貴重な時間でした。



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■自分が大きく変わった、「他人のラブレターを読む」ワーク


―――具体的に、印象的だったワーク内容は?
川村:参加メンバーのラブレターを読むワークが印象に残っています。知り合ってから3ヶ月ぐらい経ち、みんなのことをわかりかけたかなと思った時期です。それぞれが自由にラブレターを書き、それをシャッフルして、自分がひいたラブレターを読むというワークでした。プライベートなことなのでもちろん無記名です。みなさん、かつての恋人や現在のパートナー、恩人に向けた文章などだった記憶があります。誰かが、誰かに向けて書いたその本気のラブレターを音読するのですが、ワークショップ受講者のみなさんはとても文才のある方ばかりで、かつ人生経験豊かな人も多いのか、「この中の誰かにこんなに熱い想いが募っているんだ」となんとも言えない気持ちになりました。そしてみなさん本当に丁寧に読んでいました。書き手の人生を大切に取り扱っている様に心が動きました。うまく言葉にはできませんが、あのワークを行った日から、自分は目の前の相手のことを何も知らない、わかっていないという畏れのようなものが生まれた気がします。このワークでは、その音読の声がどのようなものであるかが重要視されていました。ですので、結果的にはそれが自分の演じる役への敬意に繋がったのだと今は理解しています。

―――ワークとはいえ、それは、なかなかできない体験ですね。衝撃を受ける気持ちがよくわかります。
川村:実はドジって、自分の名前を最後に書いてしまったんです…。それをふたりの方が読んだのですが、ドキドキしながら聞いていると、ふたりとも最後の名前を飛ばしてくださり、ホッとした一方で、わたしの内情を知られてしまったなと(笑)このワークショップ全体を通して、つい自己開示しすぎてしまいそうになる危うさもありましたが、それをしないとうまくコミュニケーションを取れないし、わたし自身そのコントロールをするのが難しい時期だったのだと思います。あのワークショップを経て、40代を迎えられて良かった。わたしにとっては、本当に大きな経験でした。


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■「人物を描くときにその人が言いそうなセリフは書かない」


―――なるほど、自分を変えてくれたワークショップだったんですね。一方で、みなさんが自己開示した内容が脚本に反映されるプロセスも見ることができたのですか?

川村:濱口さんが一俳優、一人間に対して、どのようにアプローチして脚本を組み立てていくのかも、すごく勉強になりました。最近は自分でも脚本を書いているので、ようやく、自分だったらどうアプローチするのか、どういうことであれば書けるのかが、徐々にわかるようになってきました。よく濱口さんが過去のインタビューでもおっしゃっているのが、その俳優の身体が言えなさそうなことは言わせないという方法です。同時にーこれが私もいつも参考にさせていただいていることなのですがー言いそうなことも言わせない。こういう配慮もあって、濱口さんが描く独特のおもしろい人物像が浮かび上がってくるんでしょうか。思い返すと、あまり一般の人が言いそうにないセリフを話すことが多いですよね。

―――だからこそ、そのセリフが観客に突き刺さり、印象に残る気がします。
川村:一見平易な言葉で書かれてはいますが、日常でこれは言いそうで言えないな、という絶妙なラインのセリフだったりします。濱口さんと会話をしていると、ご自身がそういう話し方をされることも多いので、このクレバーさから生まれているセリフなのだなと思うことが多かったです。あとは、ものすごく深い愛情と、とてつもないドライな視線を持ち合わせていて、物語の中で自在に引いたり寄ったりできるように見えます。監督としてはもちろんですが、書き手としても最強だなといつも思っています。そんな濱口さんをひと言で表すなら「タフガイ」です(笑)。これはメンタルだけのことではありません。撮影中、高熱で倒れるんじゃないかと思ったときでも、しっかりと演出をされていましたし。監督はこれぐらいタフじゃないと務まらないのだと感じました。
あと、濱口さんはすごく周囲を観察していました。一緒に映画祭に参加したときも、いつもずっと人を観察していて、どこで見られているかわからないなと(笑)ずっと映画のことを考えておられるんじゃないでしょうか。濱口さんは本当に尋常ならざる努力家なのだと思います。

―――ちなみに『三度目の、正直』でご一緒された野原監督は?
川村:野原さんはピンチの時にタフさが垣間見える監督ですね。完全に「もうヤバイかも」というときに、そこから這い上がる力がある印象です。一旦、底まで落ちきっても、ダメだと諦めず、普通の人ならポキッと折れるところでかろうじて折れない。みんなその背中を見て応援するような気持ちでついていく感じではないでしょうか。ある程度みんなに委ね、それぞれがが好きな方向に行ったところで、最後に一言、二言で束ねていく。ご自身が感じる違和感が限界に達するギリギリまで待つタイプで、平たく言えば奥ゆかしいです。
 
―――川村さんが演じた純は、4人のメインキャストの中でも、特に物語を動かしていく人物だったと思いますが、ご自身ではどう解釈して演じたのですか?
川村:当時はただただ言われたセリフを話していただけで、そのときは何も考えていなかったんですよね…。自分の撮影は早々に終わっているし、みんなの物語がどんどん凄くなっていくので、この映画は一体どこまでいくんだろうと(笑)定期的にラッシュ上映をしながら、話が進んでいったので、最後の大団円のシーンはもう凄いことになっているなと、ほぼ他人ごとになっていましたね。わたしの最終撮影日がフェリーのシーンだったので、息子(川村知)と共演できてよかったなと、幸せに撮影を締めくくれました。


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■演じるのは大変だが、撮影現場の中で清々しい気持ちで言えたセリフ


―――純が離婚裁判のシーンで夫に言い放った「あなたの無関心がわたしを殺す」というセリフが個人的には胸に刺さったのですが、川村さんはどんな気持ちであのセリフを言ったのですか?
川村:撮影の少し前に、「このセリフを裁判のシーンで言ってもらいたいのだけど、どうですか」とメールで送られてきたので、さすがにこれはちょっと言い過ぎでは?当日言えるか不安という旨の返事をした記憶があります。濱口さんからは了解しましたというニュアンスの返信が来て終わったので、少しソフトなセリフになるのかなと思っていたのですが、当日のセリフはちゃんとそのままで(笑)。でも実際に裁判の撮影現場に入ると、案外すっと言えてしまいました。今だからわかるのですが、負けの決まった裁判ですし、その時の純の心境からすると舞台さえ用意してもらえれば、過剰に言うぐらいでちょうどよかったのです。清々しい気持ちでパーンとセリフを言えて、さすが濱口さんと思いました。この裁判シーンだけでなく、濱口さんの書くセリフの多くが、紙の上のテキストの段階では全貌はいまいちわからない。撮影現場で相手からの投げかけを聞いて、それに対して自分のセリフをいう時にようやく感情が乗って、こういうことなのかとわかる。もしくは映画になって全体を観て初めてわかる。悉くそういったものになっているのがとても興味深かったです。
 
―――純は結構しんどい境遇に陥ることが多い役でしたね。
川村:あかり(田中幸恵)に詰められるシーンのときは、不思議なもので意識下ではショックを受けてはいないのですが、肉体的にドッと疲れてしまい、俳優を生業にしてる方って凄いなと実感しました。これを繰り返すのは大変だと思います、本当に。ひょっとしたら、濱口さんの脚本が(演じるには)当時の私にはハードだったのかもしれませんが…。


年末恒例『ハッピーアワー』舞台挨拶後に、元町映画館前で記念写真!

■『ハッピーアワー』のその後〜恒例の年末舞台挨拶と受け取られ方の変化


―――2015年に公開されて以降、元町映画館では毎年年末に上映し、最終営業日(12月30日)にはスタッフ、キャストのみなさんが大勢登壇され、一人ひとりがその年を振り返る舞台挨拶が行われています。
川村:本当にありがたいです。毎年、大喜利みたいになってますよね。もうすぐ10年ぐらい経ちますが、みんなの近況報告が聞けるのはいいことですし、なかなかそんな映画はないですよね。俳優が集まって「今年は…」と喋り始めるなんて(笑)。おかげさまで、みんな、映画をご覧になった方から街で声を掛けられたりすることがあるみたいですよ。中にはフランスで声を掛けられた人もいます。

―――『ハッピーアワー』は日本よりフランスの方が多くの観客に観ていただけたと聞きましたが。
川村:そうみたいですね。登場人物は女性であれ、男性であれ、あまり言いたいことを言わないじゃないですか。フランスのお客さまから実際ご覧になってどう思ったのか聞いてみたいですね。ただ本作の制作から10年経ち、特に女性に関して言えば、変わってきている気がします。ロカルノ国際映画祭で海外初上映をしたときは、福永祥子さんが演じたミツが、息子の良彦にげんこつするシーンでは会場で拍手が起き、そこはみんなスカッとするんだと思った記憶があります。10年経った今、『ハッピーアワー』が世の中でどう受け取られるのかは、気になりますね。わたしは時々映画レビューサイトをチェックして、みなさんの感想を読んでいるのですが、時代とともに、みなさんの受け取り方も変わってきている気がします。全体の意識が相当な速さで変容しているのを肌で感じます。例えばSNSでも、家庭内で夫にこんな扱いを受けているとつぶやけば、即座に共感してくれる人たちがいる。わたしが子育てで忙しかった時代は、想像もできなかったことです。

―――まだまだ、妻は家で子育てすることが当たり前という旧態依然としたジェンダー的な役割分担に異議を唱えづらい状況でしたが、ようやくそれがおかしいことに気づき始めた。そういう目線であらためて今までの役割分担を見ると、異議を唱えたくなることばかりです。
川村:だいぶん、これはおかしいと言いやすくなってきました。一方で、ちょっとしたことを「それは…」と指摘される世の中にもなってきているので、両方のバランスが取れるようになるのには、もう少し時間がかかる。ある程度の寛容さと引き換えに、今の状況を得ている気がします。

『すずめの涙』より

■短編『すずめの涙』にみる寛容さと昭和の人情喜劇


―――元町映画館10周年記念のオムニバス映画『きょう、映画館に行かない?』を今年も年末に上映予定です。わたしは、川村さんが脚本・出演された短編『すずめの涙』がすごく好きなのですが、制作の経緯を教えてもらえますか?
川村:ありがとうございます!初めて江口さんから感想を聞きました。嬉しい。オムニバス映画なので、あまり『すずめの涙』評は耳に入ってこないんですよ。

―――それこそ、さきほど川村さんがおっしゃった「寛容さ」が感じられる作品です。
川村:昭和テイストなんですよ。出演者もみんな昭和世代ですし。

―――主人公が知らない、自分の父の姿が思わぬ弔問者によって明らかになり、死者の魂と触れ合うというところが笑って泣ける人情喜劇ですね。最後は元町映画館でロケもしていただきました。映画館のスタッフが見たら、間違いなく泣ける作品です。
川村:こちらこそ元町映画館で撮影させていただき、思い入れがある1本です。自分の父親が、もし元町映画館に通っていたらとか、斎寺(さいでら)みたいな輩っぽい人が観客にいたらと妄想しながら書きました。斎寺を演じてくれたのは『ハッピーアワー』で桜子(菊池葉月)の夫を演じた申芳夫さんですが、素晴らしい存在感でしたね。濱口さんも「申さんのベストアクト!」と絶賛されていました。演技の幅が広い方です。

―――申さんの演技や、エンドクレジットのオリジナルお経も素晴らしかったですが、その才能を見込んでオファーした川村さんもさすがだなと。
川村:申さんが出演してくださると決まると、(脚本の)筆が走りました。『ハッピーアワー』からの付き合いなので、申さんの身体性がある程度イメージできるので、とても書きやすくて。俳優さんのことを知っているというのは、脚本を書く上でプラスになることは多いです。

―――いわゆる当て書きですね。
川村:そうです。その人を想像しつつも、ちょっとずらして書いていきます。この人ならここまでやってくれるかなと期待したりしつつ。申さんはそれを大幅に超えてきてくれた感覚がありました(笑)


■死を身近に感じたからこそ、これからは人情喜劇を


―――順序で言えば、長編『三度目の、正直』の前ですか?
川村:『三度目の、正直』の後なんですよ。『三度目〜』でかなりの量の脚本を書き、その後に書いた短編なので、コメディに振り切ろうと思い、わりと軽やかに書けた気がします。自分の中でひとつ大きなものをクリアした後に書いたこともあり、余計に思い入れの強い作品になりました。『すずめの涙』を書いたことで、自分の中で人情喜劇が永遠のテーマかも?とすら思ってしまいました(笑)。今書いている脚本も人情喜劇です。昭和世代なので、何を書いても昭和臭が凄いんです(笑)。若い人のようには書けないので、昭和臭に抗うことなく、書いていこうと思っています。私自身が喜劇を観たいんです。

―――『すずめの涙』で描かれているのも死という重いテーマですが、それをどう表現するかというところで、人情喜劇がとても心に響いたんですよね。
川村:わたしはコロナ禍を経て、ますます死というものが身近になってきた感覚がありました。この年齢になると明らかに体は衰えてくるし、親や愛犬の死を経験した時は「ああ置いていかれたな、先に逝ってしまったな」と感じました。愛犬を亡くした後は抜け殻になり、雀に米をやって何とか精神を保っているという状況で。一方で、これからはこの子に恥じない生き方をしないと死んだ後会わす顔がないぞ、という焦りも出てきました。犬は過去も悔やまず、未来も意識せず、ただ今を目一杯生きていたので、人生のお手本でした。私もそっちの世界に行くまでは人と関わりながら軽やかに生きて、短かろうが長かろうが、最期の日まで喧嘩して笑って大往生したい。側から見ると滑稽なくらいに。そのためにも、そういう今を謳歌している人たちの人生をたくさん見てエネルギーをもらいたい。だから、人情喜劇を作りたいのだと思います。
 
―――コロナ禍の2021年から2022年にかけて『三度目の、正直』が公開されましたが、今は脚本に専念されいると?

川村:はい、ずっと書いています。これまであまり何かに専念してこなかった人生なのですが、今は人生でこんなにのめりこめることがあったのかと思うぐらいひたすら書いています。
 

2023/8/19開催の NIGHT PICNIC「公園でクラフトビールとシネマ」で、トークにご登壇いただいた川村さん

■横のつながりがしっかりとできていれば、どんな仕事でも支えになる


―――ちなみに『ハッピーアワー』での撮影は、あまりカメラを気にすることなく演じることができたのでしょうか?
川村:あのときは、スポーツのようにやっていた気がします。バッターボックスに立つバッターのような感じで、自分の出番が来たら集中するという感じでした。場づくりがしっかりできていたら撮影自体は問題ないと思うのです。先日の現場は、数年ぶりな上に参加してすぐに本番という感じだったので、余計に緊張したのかもしれないです。

―――結局、ワークショップをすることで撮影に臨むにあたっての場づくりができていたんですね。
川村:どの仕事もそうかもしれませんが、横のつながりがしっかりとできていれば、それだけで支えになる。良い緊張感だけがあり、自分の最高のパフォーマンスを出すぞ!という気持ちになれます。その先の、演じるということについては本当にわからないことだらけのまま終わりました。濱口さんご自身も「演技が上手いってどういうことなんだろう」と現場で言われていたことがあり印象に残っています。

―――濱口さんも最新作の『悪は存在しない』では、久しぶりにプロの俳優ではない人(『偶然と想像』の助監督を務めた大美賀均さん)を主演に起用されていたので、『ハッピーアワー』のような撮り方をされたのかなと。
川村:濱口さんと関わると、みんな凄い人生になってしまいますね(笑)。今や完全に世界的な巨匠ですが、絶対に浮かれたりはしないと見張っているもうひとりの自分がいるんじゃないかと想像してしまいます。いつも次のゴールを見据えている気がするし、だからみんながついてくる。そして、終生淡々と努力を積み重ねていかれるのだと思います。
(2023年11月3日収録)

<川村りらさんプロフィール>


1975年生まれ。濱口竜介監督の『ハッピーアワー』(2015)で俳優デビュー。2015年、同作で第68回ロカルノ国際映画祭Concorso Internazionale最優秀女優賞を受賞。主演作の野原位監督『三度目の、正直』(2021)では共同脚本も担当。元町映画館10周年を記念して誕生したオムニバス映画『きょう、映画館に行かない?』に収録されている短編『すずめの涙』(2021)も出演、共同脚本を務めた。

Text江口由美

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