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必要な無理01

11/3(水)は祝日。絶不調なのに、無理して外出した。

少なくとも1週間は、接種後の旦那に会いたくなかったので、この日は終日、自室に閉じこもっていてもらいたかった。けれど、パパが部屋にいると察知すれば、子がドアをノックするだろう。せめて丸1日、外出してくれたら。しかし、ただでさえ旦那は機嫌が悪い。

本当なら車を使いたい。でも、それが言えない。旦那は私への怒りを、態度で示す。この数日でドアの開け閉めが乱暴になり、寝室にも響くくらい大きな音を立てている。1台しかない車という移動手段を、この休日に奪ったらどれだけ機嫌が悪くなるだろう?それに対して私がブチ切れて、子が泣くに決まっている。それは避けたい。氣が滅入ったが、夕方2時間だけ不在にしてくれるようメールでお願いした。返事はなく、無視された。


朝早く起きて、私と子は神酒と、超高濃度マグネシウム入りの味噌汁を飲み、バスと電車に乗った。子は始終はしゃいでいた。

2人ともマスクを付けていた。こんなに咳ばかりで鼻水を垂らす人間達が家で安静にできないなんて、世の中どうかしている。せめて1日だけでも入院したい。かといって、家にこもっていたら?旦那はピンピンしていても、彼に近づいた我々の性器から出血でもしてしまったら?それは避けたい。

特に行くあてもなく、高幡不動に行った。世の中よ早く平和になれと願いながら賽銭を投げる。子がお腹が空いたというので、たこ焼きを買い、外のテーブルで食べた。さらにおみくじを引いた。子は大吉、私は中吉だった。

今度は甘いものが飲みたいと言いだしたので、駅に戻ってコンビニで桃のジュースを、雑貨屋でシールを買い与えた。疲れたというので抱っこしてやり、再び電車に乗った。時間はたっぷりある。高尾山にでも行こう。

昼頃、高尾山口駅に着くと、駅前は混雑していた。緊急事態宣言が解除されたとはいえ、こんなに密で怖くないのか。律儀にマスクしてまで登山とは、コロナ脳とはどれだけおめでたい連中なのだろう。

私達は人混みに揉まれながらゆっくり歩いた。この中でワクチン打ちたての人間がどれだけいるのか。これなら家にいたほうがマシだったのでは。いや、子が旦那に1日中抱っこされて皮膚に触られるよりはマシなのでは。正解は分からない。

リフトに乗るためチケット売り場に行く。40分待ちとの表示に萎えて、帰ろうかと問うと、子は頑なにリフトに乗りたいと言い張る。なので、長い列を進みながら、乗り場に到達した。

念願のリフトに乗りこむと、子は足をぶらぶらさせて大喜びした。まるで2人乗りブランコのようで、颯爽と山の斜面をのぼっていくのは、冒険心をくすぐる。

中腹に到着すると、またしても混雑していた。到着するなり、子の希望でソフトクリームの列に並んだ。店員の段取りが酷過ぎて、30分も待たされた。子は鼻水を垂らしながら機嫌を損ね、「抱っこ」と言うので抱き上げた。

ようやくソフトクリームにありつき、子はかぶりついた。私はできれば胃に優しいものが食べたかったけど、そんなものはない。仕方なく同じものを食べる。今は深く物事を考えてはいけない。子が笑いかけてきたら笑い返す、鼻水が垂れそうならティッシュで拭う。それでいい。

子は食べきる前に、望遠鏡のほうへダッシュした。私はソフトクリームを計1個半、無理やり食べ切ると、お金を入れてやり、子を抱き抱えて望遠鏡のレンズに目を当ててやった。子は遠景に魅せられて、歓声をあげていた。

そこから山頂まで歩く氣力はなく、下山することにした。滞在時間はわずか1時間。それでいい。咳と鼻水の2人組は、1箇所に長居不要だ。

子を抱き抱えてリフト乗り場に戻ると、先ほどよりも大混雑していて、整理券を配っている。帰りの切符は買ってあるから、そのまま乗れると思ったらそうはいかない。整理券記載のグループ番号が呼ばれるまで、乗れない。待ち時間は35分とあった。

こんなに待ち時間だらけとは…。咳をして、鼻をかんだ。子はどんぐり拾いを始めたものの、飽き始めていたので、先程買ったシールを出した。台紙が付きでシールを貼れるようになっている。子は丸型や四角、花型のシールを貼り、夢中になって遊んだ。

ようやく時間になり、リフトに乗る。下りのリフトはややスピードを感じられ、スリルがある。子は「今日楽しかったね」と締めくくった。

午後2時、今日を締めくくるにはまだ早い。旦那が家を離れるまであと4時間。どう過ごすか。