MacBook Airを初めて買ってみた
氣に入って使っていたiMac(デスクトップ型のMacPC)が、いつの間にやら購入から11年の歳月が経っていた。
OSもアップデートできなくなったし、ブラウザによっては画像を正常に表示できなくなったし、どこのサイトを見ようとしても「セキュリティに問題があるから開けません」などという警告でブロックされてしまうようになった。
新しく買ったプリンタとも何やら相性が悪くて、Wi-Fiで繋げられない。
かつてグラフィック系の職種についていたこともあり、PCはWIN(Windows)ではなくMacを使っていた。
PCを持ち歩ける、と言うことにも興味がなかったし、軽量だの薄型だの、そんな売り文句は心底どうでもいいと感じていた。
元々インドア派で同じ場所に長時間居座ることに苦痛を感じないタイプだったので、バッテリーの心配が要らないデスクトップの方が好きだった。
なのに、あんな薄っぺらいPCの方が偉大なるデスクトップ様よりも高額ということに、納得いってなかった。
画面もストレージもデカいデスクトップこそ、PCである。
うちのは9kgあるが、それでいい。
なんなら21インチではなく24インチならもっといいのになとすら思っていた。
思っていたのだが、最近はそうでもなくなった。
今は物書きである。
文章が書ければいい。
仕事量は少ないけれどあちこち出かけることが以前より増えた。
仕事の依頼が来れば大抵は取材に行くことになるし、手書きのキャンパスノートだけだと段々とキツくなってきた。
今時、PCを持ち歩かないライターの方が化石じみてるし、稀有だろう。
かと言ってMacをまた買うのは高い。
この際、Winに乗り換えてもいいかもしれない。
Webで簡単に、安く買えそうなPCを見てみた。
メーカーにこだわらなければ、3万円台でもあった。
かなりの数がヒットして、どれがいいのか迷う。
Winユーザの旦那に、レノボのPCが安くていいねと言うと、レノボは壊れやすいからやめた方がいいよと言われた。
HPとかDELLとかはどうかなと聞くと、その辺も微妙だよと言われた。
でもNECとか富士通とか東芝のダイナブックとかは結構高いよねと聞くと、俺の会社ではろくなPC貸し出さないからその辺のはわからないと言われた。
うーん。
どうせWinユーザになるならきっちり使い込みたいし、安いのを買って簡単に故障されるのは困る。
かといって、高価なWinPCを買うつもりはそこまでない。
どれも見た目がなんとなく氣に入らない。
見た目がイケてないPCにはどうしてもときめかない。
ときめかないと興味が湧いてこない。
興味が湧かないから調べる氣も起きない。
マイクロソフトがやたらやたら売り出しているoffice製品抱き合わせのsurfaceシリーズも「オサレ風」だが、オサレだとは思わない。
「それを買うならMacの方がいいじゃん」と心の声がつぶやいた。
我が日本が誇るトロンは今はない。
どうせ悪党どもの作ったPCだらけという、選択肢が限られてる現状なら、私は見た目で選びたい。
見た目。
結局そこか。
私はためしにAppleの公式サイトを見てみた。
Macユーザのくせに全然知らなかったのだが、Macのノート型は現状は5つのラインナップが揃っているらしい。
そのうち2つはMacBook Airで、残り3つがMacBook Proである。
別に動画編集者ではないし、Youtubeで動画配信する予定もないから画面のクオリティと価格が高いProでなくていいと思った。
Airは2種類あって、2020年モデルがM1と呼ばれ、2022年の7月に出たモデルがM2である。
M2の方がCPUが優秀で、処理能力が二割ほど高いらしいが、ど素人の私には何がどういいかわからない。
価格はM1が13万4800円、M2が16万4800円だ。
たっか。
なんで13インチしかなくて、薄っぺらいくせに高いの?
11年前に買ったiMacは21インチあって12万で買えたのに。
コストだけ考えたらM1でいいと思う。
だけど私は、ちょっと思い直す点があった。
今回、デスクトップのiMacに愛着が湧きすぎて、11年間も使い倒してしまったのである。
一度も壊れなかったし、目立ったトラブルはなかった。
過去に落雷で昇天してしまったWindowsXPよりも、処理能力ガッタガタで最悪のWindowsVistaなんかよりも、よほど私のライフワークに貢献してくれた。
しいて言えばWin PCに搭載されているIMEパッドのような優秀な辞書がなく、アホンダラな変換をしれっとやってのけるMacの「ことえり」に辟易することはあっても、そういうもんかと、許せた。
今後は、PCは最新版をこまめに買い替えようと思うようになった。
過去に、私の先輩が言っていたのだ。
PCは5年経てばゴミ同然なんだから、僕は一年くらいでどんどん新品に買い替えてるよ、使ってたやつは中古で売るんだ、と。
そんな頻繁な買い替えなんて面倒じゃん、お氣に入りを長く大事に使う方がいいじゃんと、その時はいい返事をしなかったが、コスト的にみてもそれの方がいいと思うようになった。
やたらやたら高い保険掛けて長く使うより、保険など掛けずに短期間で乗り換えていく方がいいと思った。
何より、常に新しいPCを使っていられるなら「時代に取り残されてる感」に苛まれて焦ることも減るだろう。
時代に取り残されること自体は、別に構わない。
スマホも古いやつを使いたおしている。
普段からコロナ脳たちの中で完全にガラパゴス化してる陰謀論者な私には、アウェーな存在であることには慣れているため、全く構わないのだが、仕事にならないのは困る。
そういう理由で、取り残されていくわけにはいかない。
結果的に昨年出た、新しいモデルの方のMacBookAir(M2)を買うことにした。
よく調べると、2年型落ちしているM1ならMacBook Proも19万くらいで買えるようだが、敢えて新しさを選んだ。
色はスターライトである。
今までにない新色「ミッドナイト」とかいうのも出ていたが、どうも自分の中でしっくりこないのでやめた。
40過ぎても私は女の子である。
80過ぎても女の子だと豪語するだろう。
女の子らしいカラーと言ったら、ミッドナイトでもシルバーでもスペースグレイでもない。キラキラ可愛いスターライト一択だ。
メモリ容量を8GBにするか、16GBに増設するかで散々悩んだし、webショップであちこちに問い合わせてみたが、通常は増設対応はしていないのが主流らしい。
なんでも、この頃のノートPCは薄くなり過ぎて、メモリは全てハンダ付けされているらしい。
デスクトップPCのように簡単に追加できるような代物ではなく、腕のいい技術者にしかできない芸当らしい。
さらに言えば、昨今のクソコロナ騒ぎのせいで半導体が不足してるとかなんとかで、メモリ増設対応に大変大変時間がかかってしまっているらしい。
非常に馬鹿馬鹿しい問題である。
メモリは増設したほうがいいけど考えてみれば最近はAdobe製品(PhotoshopやIllustrator)はほとんど使わないし、スペックが落ちてもいいか…と諦めていた矢先、ふとiMacの方のメモリ容量を調べてみた。
なんと、こちらも8GBだった(笑)
なんだ…そうだったのか。
11年前は、8GBだって立派なもんだし、4GBが主流だったような時代だったのだ。
それを当時の私は増設してもらうよう手配したのだ。
時代は進み、今は16でも足らず24GBに増設している人もいるらしい。
さて、なんでも最近のMacは「移行ツール」とやらを使い、PC間の引越しができるらしい。
そんな便利なもんがあるのかー、といかにも昭和の人間らしく感心していたものの、MacBook Airの方が何度検索かけてもiMacを見つけられない。
どちらも同じネットワーク(自宅のWi-Fi)に接続しているというのに、どういうことだろう?
iMacもMacBook Airも再起動を掛けて、再度チャレンジしてみるものの、状況は変わらなかった。
仕方ないので調べてみると、どうやらWi-Fiだと通信状態が安定しないし、有線ケーブルでPC同士を繋いだ方がいいらしい。
データ容量が多ければ尚更である。
そうかー、と思ってUSBケーブルを探してみたものの、よくよくみるとUSBの差し込み口の形状が異なる。
iMacの方はUSB2.1だか3.1だか、大きいやつ。
MacBook Airの方はUSB-Cと言われる新型で、小さくて、薄っぺらいやつ。
そんなケーブル持ってないな、と思って電氣屋へ行く。
Apple製品の担当者を呼んで経緯を話すと、ユースケサンタマリア(をさらに崩したような見た目。髪は天パでクルクルしてる)な彼は怪訝な顔をした。
「え?Wi-Fi上で、デスクトップの方がみつけられなかったですって?」
私は、ええそうです、うちのWi-Fi時々遅いんで、Wi-Fiの問題だと思うんですよねと答えた。
「いや、そんな状況で有線にしても、結局見つからないと思いますよ。デスクトップの方、型番とか分かります?」
私は、スマホで撮影したiMacの詳細情報をユースケ店員に見せた。
ユースケはそれをメモ書きして、カウンター脇にあるPCの元へ向かい、調べ始めた。
5分。まだ終わらない。
10分。まだまだ終わらない。
15分。そろそろ保育園のお迎えに遅れるぞ。
私の視線を感じてか、ユースケは戻ってきた。
「どうやらOSが古くて、移行ツールが対応してないようですね」
うわー、そうでしたか。
なんかよく聞く話だな、そういうの。
「OSが動物の名前のやつは、だいたい今は使えないんですよね」
それってあれかい、ライオンとかスノーレパードとかいう、あれかい。
「古過ぎますからね」
おい、ちょっとまて。
私のは「ヨセミテ(Yosemite)」だから動物の名前じゃないぞ。
アメリカの国立公園の名前だぞ。
そこまで露骨に古くないぞ。
「今は最新のmacOSがベンチュラ(Ventura)です。バージョンは13」
だからどうした。
私はバージョン10.10でも恥ずかしくないぞ。
と心の中で反発してみたものの、結局移行ツールに対応していないのは事実なので、グッと飲み込む。
動物も国立公園も「古過ぎ」という枠組みに放り込まれるらしい。
「一番いいのは外付けハードディスクを用意して、それを経由で移行することですね」
はいはい、そうでしょうとも。
「なんと言ってもUSBケーブルで繋いだとしても、遅いですよ。LANケーブルの方が速いんですが」
いや、だって新しい方のMacBook AirはLANポートなんかついてないでしょ?
そういうわけで、移行はiCloudを使ったりして地道にやるか。
iCloudがそもそも、容量限界ですって年中、騒いでるんだけどな。