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本部流のシンボルマーク

戦前、本部朝基が発行した免状には2種類の「シンボルマーク」が使われていた。下の写真のうち、左は「大道館」道場のシンボルマークである。弟子の高野玄十郎氏に出した唐手術免状に使われたものである。日本空手道本部会副会長を務める高野清師範は子息である。

左:大道館、右:本部拳法のシンボルマーク

右の写真は本部拳法のシンボルマークである。本部朝基が昭和16(1941)年に息子の本部朝正に出した本部拳法免状に使われたものである。

大道館のシンボルマークは桜の花びらの中に大道館の「大」の漢字が描かれ、その上に「唐手」の漢字が白色で表記されている。この免状は昭和7(1932)年に発行されたものだから、空手のシンボルマークとしては空手史上最古のものであろう。

本部拳法のシンボルマークは、琉球王家の家紋、左三つ巴である。沖縄では、この家紋は左御紋(ひじゃいぐむん)と呼ばれて、王家しか使用できない神聖な家紋であった。

免状の文言が「唐手」から「本部拳法」に変わった理由は何であろうか。またシンボルマークとして琉球王家の家紋を使った理由は何であろうか。それは、本部朝基が生涯を通じて築き上げた武術は、もはや普通の空手ではない。あるいは普通の空手のほうが、昔の空手から変わってしまった。そして、自分の空手は時代に取り残され、独特なものになってしまった。そのため、「本部」という名前を流派の名称に使ったのであろう。そして、彼はその空手を息子に伝授して後世に残したかったのだろう。

また、本部朝基は自分が琉球の王家の末裔の一人であるという誇りがあったのであろう。その彼の誇りがこのシンボルマークの使用に表れていると思うのである。

2015年12月12日、アメブロで元記事執筆。
2019年6月14日、加筆修正。
2023年4月10日、加筆修正、noteに移行。


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