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管制官の勤務地について

こんにちは、元航空管制官です。
今回は管制官の勤務地についてご紹介します。

管制官といえば管制塔がある空港を思い浮かべるかもしれませんが、
空港以外にも管制官が活躍している場所はあります。
私は管制官になるまで空港のイメージしかありませんでした。

本noteでは空港以外の勤務地についてご紹介します。
これから管制官を目指す方に参考になれば幸いです。

空港以外で管制官が働く場所とは

①ACC(Area Control Center)

ACCとは「航空交通管制部」のことです。

空港で勤務する管制官は空港周辺の航空機を管制します。
では、空港周辺以外を飛行する航空機はどこが管制するのでしょうか?

それは、ACCで勤務する管制官が管制しています。

ACCは札幌、東京(所沢)、神戸、福岡の4箇所にあります。
現在は、航空機数の増加に対応するため、日本の空域を再編中です。それに伴い、来年25年には札幌が廃止されることとなっています。

将来的に、高度33,500フィート未満は東京(東日本)と神戸(西日本)が担当し、高度33,500フィート以上は福岡で一括管理することになります。

ACCの面白さ(完全に私の主観です)は、隣国の管制官とやりとりする機会があることです。ちょっとした国際交流が出来て面白いですよ。

②空港やACCで事務室勤務

数年経つと、各官署で事務室勤務をすることもあります。

事務室では、経路設定や運用方針を決める部署、訓練生を育成する部署、システムを管理する部署、人事面に関連する部署があります。

私も事務室で勤務したことがありました。出張に行く機会や、他官署の方と付き合いもあり本当に面白かったです。
ただ、現場とは異なるのは残業があるということです。

③ATMC(Air Traffic Management Center)

航空交通管理センターといい、福岡ACCの同じ敷地内にあります。

ここでは、ACCのレーダーで映らない空域(例えば太平洋側などの沖合)を管制していたり、防衛省や米軍と空域調整をしています。

他には、交通流制御といいまして、例えば羽田空港で緊急事態があり空港閉鎖となった場合、瞬時に全国の空港に対して出発停止を指示するといった、司令塔の役割もあります。

私が新人の頃は、ATMCに新人が配属されることはありませんでしたが、最近は新人配属もあるようです。

④航空保安大学校の教官

ある程度経験を積むと、教官として勤務することもあります。

教官も数年経てば空港やACCに戻ります。教え子と一緒に働くこともあるので面白いですよ。

⑤SDECC(システム開発評価・危機管理センター)

エスデックと呼んでいます。
これは大阪空港に隣接しており、管制官が使用しているシステムの新規開発や、現在使用しているシステムの運用点検などをしています。
いわば、システムのプロが集まるところです。

新規開発の際は、メーカーと調整したりします。
プログラムに詳しい方はぜひチャレンジしてみてください。

⑥本省(霞ヶ関)、東京航空局(九段下)、大阪航空局(大阪)

管制組織の将来を検討する企画立案部隊です。また、ACCや空港の統括をする部隊でもあります。
ある意味でエリートが集まるところで、優秀な若手は現場配属してから早ければ数年で勤務することもあります。
やりがいは十分にある勤務地です。ただ、時間外業務がそこそこ多いのがネックです・・・

例外ですが、観光庁に出向する若手もいました。もちろん数年経てば、管制官として勤務します。

⑦岩沼研修センターの教官

岩沼研修センターは、現役管制官の研修を行うところです。
仙台空港に隣接しています。

管制官のタマゴを育成するのは航空保安大学校で、現役管制官の研修をするところは岩沼研修センターという位置づけです。

管制官であれば必ずここに行きます。私も何度かここに行き、研修を受けました。

⑧ICAO

イカオ(あるいはアイカオ)と呼びます。
国際民間航空機関で、国連組織の一つです。
ここで勤務する機会はほぼないと思いますが、日本からベテラン管制官が一人勤務しています。
本部はカナダモントリオールで、他は北京、バンコクなどがあります。
日本の代表として勤務しますので、相当な英語力、タフさが求められそうです。

【最後に】
いかがでしたでしょうか。
空港以外にも管制官が活躍している場所はたくさんあります。

これから管制官を目指す人、これからなる人にとっても参考になれば幸いです。

参考になりましたら、最後にいいねを押していただけますと今後の励みになりますので嬉しいです。よろしくお願いいたします。

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