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管制官の英会話力について

こんにちは、元航空管制官です。
英語に関するご質問を多数頂きましたので、管制官は実際に仕事をするにあたってどれくらいの英会話力が必要なのかを説明いたします。

管制業務に必要な英会話力とは

管制官は基本的にマニュアルに沿った英語を用いて指示をしております。
Cleared for Takeoff、Turn left/right heading・・、Climb and maintain・・などです。

他方、英会話力が求められるシーンといえば、外国人パイロットと会話する場合や、米軍と調整する場合(ACCであれば隣国の管制官との調整も)です。
例えば、緊急事態発生時にパイロットからトラブルの詳細や乗客数・残存燃料など必要な情報を聞き出すのですが、マニュアルに沿ってではなく完全に英会話力が求められます。

また、特にアメリカなどネイティブのパイロットから情報を聞き出す際は、ネイティブが話すスピードについていかなくてはなりません。
(余談ですが、緊急時に、日本人パイロットとは日本語で話したほうが早いので、日本語で話したりします。)

イレギュラー時や、米軍と調整する際に相応の英会話力が必要です。

ビジネス英会話は必要?

ビジネス英会話の定義が難しいですが、ここでは会議で使う場合とさせていただきます。

海外で活躍するビジネスマンみたいに、ビジネス英会話をペラペラ話すレベルが必要かと言いますと、現場(管制業務)では必要ありません。

一方で、現場から離れると話は違います。
事務室勤務(特にACC、羽田(成田も?))や、本省・局勤務となると、部署によっては日本代表として国際会議に参加したりするためビジネス英会話が求められます。会議の規模感によっては通訳がいたりするのですが、やはり日本のプレゼンスを出すためにも話せるに越したことはありません。

また、現場でもビジネス英会話が求められる機会は頻度としてはかなり少ないですが、あります。
現場から数名ほど国際会議に出席したり(あまり頻度としては少ないですが)、一年に一回ある若手の海外研修(ここ数年は実施してないと聞いております。復活するといいですね)などです。

管制官の英会話力の実態とは?

私の主観になりますが、日本人管制官の英会話力はかなり低い印象です。

Youtubeでも、外国人パイロットからの要望に対して何回も「Say Again?」と言っている管制官がパイロットから呆れられているシーンがありますが、日本人管制官の英会話レベルの低さには本当に恥ずかしい限りです。

事務室勤務の際に、海外の管制官(近隣国)と会議をしたことがありますが、彼らの英会話力はずば抜けていました。まさにペラペラ話すという印象です。

一方で、日本の管制官には3年に1回、英会話試験が設けられています。全ての管制官にです。
これは、国際的基準である実用レベル(いわゆる"レベル4")に達していなければ管制業務につけないというものです。

管制官採用試験を突破した方からするとそこまで難しい試験ではありませんが、3年に1回受験しなくてはならない(定年まで続く)ので、英会話力を落とさないようそれ相応の努力は必要です。

【最後に】
採用試験を合格するためには、英検準1級レベル相応の英語力が必要と言われております。
管制官になった後で、ビジネス英会話が求められるのは、部署によりますが事務室勤務や本省・局勤務の場合です。
しかしながら、3年に1回、全管制官に英会話試験が設けられているので、英会話力の向上は求められています。

参考になりましたら嬉しいです。最後までありがとうございました。

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