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2020.5.2

たしかに部屋へするりと陽が差しているのに雨の音がして、窓をあけたらうちのマンションのちょうど真上にだけ分厚い雨雲がかかっていた。雲のないところはきれいに晴れている。ほんと何故かうちらへんにだけ、押し入れの奥の角っこの中身全部出さなきゃどうしようもないとこに積もり積もったホコリみたいな色の雲のかたまりが君臨していて、そこから大粒の雨がばんばん降ってきてる。ベランダに干してたスニーカーが干す前より濡れた。

こういう時こそ舌打ちでもしたらいいと思うが、いつもそんな咄嗟には舌打ちのことなんて思いつかなくて、わたしはただ呆然と立ち尽くすことしかできない。受けた雨粒を素直に吸い続けているスニーカーをじっと見つめて、内心「あぁ……」と思いながら、頭も身体もぜんぶがゆるく硬直する。舌打ち、すればよかったな。すっかり忘れてた。誰も見てないんだし、誰かにあてたものでもないんだし、ほんとにすればよかった。この時ばかりはしてもよかった。いつも後からそう思う。

わたしにはそういうぼんやりしたところがあるから、咄嗟に反応できなかったことで後悔することも多いし、そのために他人からなめられることも多い。だけど、誰も傷付けることのない状況で自分のためだけの舌打ちを咄嗟にできる人間は、べつにいつでもどこでも人前でも余裕で舌打ちできちゃう人間なんじゃないかなあという気持ちもあり、ああ舌打ち、めんどくさいな舌打ち、ち、ち、ち。舌打ちになにができるんだろう。チッとするだけで自分のなかに生まれたわだかまりを瞬時に発散・開放できるかというと、そうでもないような気がするし。

でもわたしは、舌打ちがしたかったよ。

昼ごはん、家でつけめん。夜、家で焼肉。
最近の食生活、こんなのありなんだろうか。

私のゴールデンウィークはとりあえずこの4日間でいったんおわり。どこもいかなかったな。ち。


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