こぽぽ水中🫧感想

去年この単独を見た当時に書いたものがあったんですが、今年の再配信を見たうえで読み返すといろいろ足りなかったので加筆しました。加筆というかほぼ生まれ変わってます。


「詰み」
最初世界観わからなくてやたら機械的な台詞回しもどういうこと、、?ってなってたらゲームの世界か!!って綺麗に納得。
Dの動きがうますぎるな〜 さすがだ。
「お前!船が欲しそうな顔してるな」でルート入った!!って思ったのに…!どんどん詰んでるのが明らかになっていく感じせつない、、
うさちゃんは途中でキャンセルされるセリフ上手いね…笑
最後、ねぇwこんなキーパーソン海に落ちる設定にしないであげてwwってなる笑
あーあ 「詰み」が完成しちゃった……
うさちゃんが夏にやってたゲリラ(なつもん)
でアイテム売る時に
「これは売ることができないぜ」
「持ち物がいっぱいのようだ」
って「詰み」っぽいのやってくれてたのも懐かしい記憶☺️  あの話し方癖になるなあ。

「板前と女将」
とっても好きなネタ!!というかツヨシとユカちゃんが大好きだ。
関西弁の女の子と標準語の男の子のカップルかわいいよね。ツッコミ気質なユカちゃん。間とかトーンが気持ちいい!
そして、純粋で悪意はないけど人を振り回すタイプの男、ツヨシ… 。彼女のことずっと「ユカちゃん」てちゃん付けで呼んでんのかわいいな?ユカちゃんはツヨシ呼びなのもよい。
ツヨシ、自分勝手なのに無駄に上手いこと言おうとしてるのもなんかずっとごにょごにょ言ってんのもやたら上から目線なのもムカつく。ムカつくんだけどなんか憎めない、ユカちゃんのこと好きな気持ちだけは本物なツヨシ。
自分勝手すぎるんだけどさ、こういう言い方すればユカちゃんなら着いてきてくれるだろう、みたいな打算が一切感じられないからいいのかもしれない。感じられないというか多分ない。ほんとにただただ「ユカちゃんと一緒にいたい」という理由一個引っ提げて女将になってくれって頼んでるのがなんかもう憎めないんだよな…。
怒られて泣かれてシュンとなって「俺、ほんとにユカちゃんと一緒にいたいからさ!……女将……だめかな…?」って訊くのズルい。だめかなっていうしおらしい訊き方ずるい!
そして、チャッカマン出したとこからの最後の急展開すご!!ユカちゃんかっこよすぎてもうツヨシは一生着いて行ったほうがいい!
鈍くないどころかもはや察しが良いレベルを突き抜けちゃってるよユカちゃんww潔いし格好よすぎて惚れ直しちゃう…。
オチ「ごめん、どおいうこと…?」なのほんと好き! ユカちゃんが「なんでわからへんねん、もぉぉ(泣)」って言いながらツヨシのこと抱きしめるのがいいなぁ。
ツヨシ、頼りなくて自信なさげなわりに人を無意識に振り回すしちょっと無神経なのになんか憎めない。なんか愛しいって思えちゃう。だから、最後がっくりくるとこなのにユカちゃんが抱きしめる意味がめっちゃわかるのよ。だってあそこひっぱたいてもおかしくないぐらいのとこじゃない!?なのにユカちゃんは抱きしめるんだよなあ、、。なんかあの矛盾にユカちゃんはこの人のこと愛してるんだなぁ…だから着いてくんだなぁって気付かされる。ユカちゃんは結局この男に振り回されながらそれでもずっとダメダメなこの人を愛してくんだろうなぁと思えるというか…。
ひとまず、ツヨシ、ユカちゃんに着いてけば全部大丈夫やから!!あんたはユカちゃんのこと全力で幸せにするんやで!!!と心の中で激励しつつ、彼らの門出を祝いたいと思う。

「マックス」🐕
マックスの顔見てるだけで笑っちゃうw
どこ見てんのwwっていう絶妙な表情w
最初何に反応してるのか一瞬意味わかんないんだけど、わかってからはワード拾うのがたのしい!!
マックスくん、学ラン着て一生懸命勉強してるのに本能には抗えないのね…。ていうか全然勉強集中できてなくてかわいそう!!
合格発表のとこ辛いね…
そんでヤンキー君頭いいのかよ…
じごくトニックの「ヤンキー大敗」の子といい、私は字が綺麗なヤンキーとか地頭のいいヤンキーに弱いね…!ギャップ!!
あとジャーキ…じゃなくて「じゃあ切るね」って言って電話切るタイプなのもなんかかわいいね?

「岩壁に封印されしウィザード」
Dは主人公ボイスすぎるんだ。衣装も含め主人公がめっちゃ似合う。
字幕出るタイミングとか絶妙w
「シンゼヨウ」→「介して」
のとこの間好きだ!
これよく考えたらウィザード語は単語単位で決めとかないとダメだから考えるの結構大変そうだね!?
たまに日本語とリンクしてるのも好き!
最後は切ないすれ違い、、 空き缶のコントと同じで、最後の台の上に乗っかっても乗っからなくてもいけるエンドなのね!成功verも見たかった(><)

「死ぬ人ら」
人生に絶望して死のうとしてた サラリーマンと居酒屋のご主人が出会う話。
こんなシリアスな入りなのに音楽がかかってから怒涛の言葉言葉言葉!!!って感じ(語彙力)
なんの脈絡もなくて基本噛み合ってもないのにたまに謎に噛み合う会話に脳は追いつかないけどとにかく楽しい☺️
最後引き返してきて
「あ、あの……明日も来ていいですかっ」
「絶対来てくださいぃぃぃ」
って抱き合う2人に、よかったねぇ、出会えて!!ってなる 笑

「好きっていいなよ」
某映画と同じタイトルw
「好き」って2文字がひたすら言えない世界観
途中まで見てて おまえもかよwwってツッコミたくなる笑 そんで次にそれは言えるんや!?ってなるw なんなのこの世界…笑
「しゅきしゅき関係」かわいすぎww
全体的にアドリブ色が強くてわちゃわちゃやってた!笑 オチもこれほんとはどうなの!?って感じだったなw これはまたどこかで見たいなぁー

表題コント 「こぽぽ水中」
ヤクザの下っ端ニシと、ニシんとこで暮らしてる死にたいガキンチョ、ギンのお話。
終わったあとで知ったんだけど、ニシとギンという名前は「ニシキテッポウエビ」「ギンガハゼ」というエビとお魚からとったものらしく、調べてみたらこの2匹は共生関係にあって、エビちゃんはお家を作り、ハゼちゃんは見張り役をするらしい。ニシとギンそのまんま!しかも見た目も一緒なんだよね!エビちゃんは赤と白の縞々。ハゼちゃんは真っ黄色。衣装もそれに合わせてるのはすごすぎる…。
だから、この物語の主人公2人はそもそもこの関係性スタートのキャラクターなんだよなぁ。他の単独の表題コントはどちらかがもう1人に出会ったことで救われたり考え方が変わったりするお話だったけど、こぽぽは「関係性」を主軸に作ったのかなという印象だった。
鉄砲で自死、というテーマはじごくトニックを思い出すけど、あの主人公オサジマヤスナリは自死した小説家から名前をとったとおっしゃってたよね。だから彼は最初っから「死」を背負って生まれてきたキャラクターだったわけだけど、ギンとニシは「一緒に生きてる」2人(2匹)という関係性から生まれたキャラクターだから、そこがまず真ん中にあって、こぽぽはそれに付随する物語なのかな、と思った。
ふくらまくらが物語が主軸のコントだなぁと感じたのはこぽぽのこの印象もあったんだよね。

ニシはおバカで純粋で子供そのものなのに「殺してくれ」「早く死にてーな!」ってとても純粋に言うんだよね。「幸せだなぁー」と「早く死にてぇなぁ」がこの子の中では矛盾しない。
心中した両親の「ずっと一緒だよ」に縛られてる。いや、縛られてるわけじゃないのか?この子自身の意思で純粋な愛なのかな…。
車が海に落ちて…というのを聞くと、あぁ…そんな光景を見ちゃったら…と思うんだけど、この子の死にたい理由は、自分だけ生き残ってしまった罪悪感とか、両親が死んじゃってもう1人で生きててもしょうがないって人生に絶望して…とかっていうんじゃなくて、とーちゃんとかーちゃんが待ってるから、おれがいなくて怖がってるから、なんだよね。だから幸せだけど死にたい。こちらとしては純粋すぎて見てると苦しくなっちゃう。

ご飯タイム
コント中にガチで食べるのすご!!斬新!!って思ったけど、「一緒に生きてる2人」をそのまま描きたかったのかなぁというのも思った。一緒にご飯を食べるって 一緒に生きてくことの象徴だと思うし、「食べる」は「生きる」に直結するじゃない?
「ニシは食わねえのか?」
「俺はさっき食っちまった!」
「なんだよそれ!一緒に食おーぜ」
って会話をわざわざ入れてるのも普段は一緒に食べてるよってことなんだろうなあと解釈した。
このお食事シーンは私の1番のお気に入りシーンなんですけど!食べてるギンを見るニシがずーーっとニヤニヤしてて…笑
というかもう食べてるうさちゃんを見てるDと言ってもいいのでは?笑
だいぶ堂前透が漏れてる気はするけど笑
ニシだとしたら見つめる表情が優しすぎるんだよなぁ…。確かに自分が作ったご飯をおいしいおいしいって言って食べてくれたらうれしいし… でももっと根本的な…報われるとかそういうことじゃなくて、この子が元気に、幸せそうにご飯食べてくれてるのがうれしい、みたいな慈しみを感じるんだよなぁ。うん、ご飯おいしそうに食べてるところを見るのが好き、はまぎれなく愛だよ。
「他の奴らは知らねぇけどよ、…俺これ見てられんだよ」もずるい!アドリブですか!?
あんな顔でそんなこと言うのずるい。
「他の奴ら」って誰だ?って一瞬思ったけどそっか、客席か!ただただ食べてるだけって間がもたなくてうさちゃんはちょっと気まずいだろうし、客席もこれ何の時間…??って空気になるとしたらそれを全てを黙らせる「他の奴らは知らねぇけど 俺これ見てられるんだよ」ね笑  まぁ作ってるのDだしねw 俺が見たいからこのシーン入れます!!っていう強すぎ理論。いやまぁ、それ以前に普通に私もずっと見てられますけどね?全然同志です、握手したい。
そういやこぽぽが終わってしばらくしたぐらいにやってたトークライブで、「俺は食べるために生きてる!」って言ううさちゃんに、Dは「じゃあ美味しいごはんいっぱい食べさせてあげななぁ☺️」と言ってたなぁ。奇しくも。 そしてうさちゃんは「稼いでくれるってこと?」っていう異次元の返しをしてたww

脱線しました。
ニシの「おまえはここで仕事しろーって言うから、仕方なく仕事してんだよ」の話し方めちゃくちゃ好きだわ。なんていえばいいかわからないけど、ニシの放り投げるような語尾が好きなんだよなぁ。
「おれが死んだらさ!とーちゃんとかーちゃんが死んだ海におれの骨を撒いてくれよ!」
ここ綺麗な伏線!
ていうかギンちゃんそんな…一年も一緒に暮らしたひとに殺して海に骨撒いてはちょっと残酷すぎるだろうよ……

プレゼント交換のくだり、ギンちゃんの「は?あるしなー!」が好き。
「兄貴」との電話でギンはおそらく彼らのせいで心中した夫婦の子供だと発覚。
あー…ギンはなんも知らないからいいけど…
ほっとけなくて一年も一緒に暮らしてるニシは優しいけど半分は罪悪感なんだろうか……優しいけど…。でもそんな優しかったらだめよ、そんな仕事向いてるわけないよ…。
「寝れねー!」って起きてくるギンちゃんどう考えても手のかかる子供でかわいい。手のかかる子ほどかわいいって言うもんね?
ニシの「寝る前に一回笑ってとけば今日も楽しい1日だったなって脳が錯覚すんだよ」
この考え方好きだけど、ちょっとリアルで苦しくなる。
なんかおもしろいことやって!の流れで、「やっぱニシはおもしれーなぁ!」をうさちゃんが言うのいいね。

撃たれて帰ってきたニシの「大丈夫だ…っ」「大丈夫だって…!」の演技が好きだ。良すぎる。
ニシが病院へ行く間お留守番しながらお掃除して歌ってたのに急に心配になって泣き出しちゃうギンちゃんが愛しい…。この時のお掃除の範囲がテーブルの上だけなの、ギンのテリトリーはこの小さなテーブルだけなのかなと思って微笑ましくなるね。たぶん鉄砲のこともあるし、普通に危ない物とか置いてあるから作業机の方とかは触らせてもらえないんだろうな笑
「ニシぃ……ニシ……うっっ……だいじょおぶかなニシぃ…」
の泣き方ほんと子供で愛おしい。ニシが喜ぶかもって掃除してご機嫌だったのに、ニシのこと思い出して怖くなっちゃったんだね…。幼い頃は置いてかれてる状況ってすごく不安になるよね。もしかしてもう戻ってこないんじゃないか、とか悪い想像ばっかり働いちゃって。ギンも もうニシが戻ってこないかもって想像しちゃったのかな。
「鉄砲」で死にたいと思ってたのに、ニシを傷つけたのが「鉄砲」だって気付いてちょっと怖くなっちゃうギン。

双眼鏡をプレゼントされて、代わりに真珠をプレゼントしたギンちゃん。念願のプレゼント交換だね(^^)
「綺麗にも程があるだろ!」
この台詞好きすぎ!言い方も自信満々で大好き!
綺麗なものを見つけてニシにあげたいって思う気持ちが愛おしいよね。
これも奇しくも、だけど、Dにダイヤモンドプレゼントされたうさちゃんが「綺麗にも程がある」って言ってくれてたね!あれ粋だったなぁ。どっちもプレゼントで、真珠とダイヤ、綺麗なのは確かだもんね笑 
また脱線!!
途中で「腹減ってるだろ?」ってアドリブぶちかますD w これアドリブだよねw
「は、はら…?いや、腹へってねー…別に…」
「メシ食うか!」
「いや、メシはいーかな」
「どーしたんだよ!俺はおまえの食べてる姿見るのが大好きなんだよ!」
この動揺っぷりと歯切れわるーい断り方がただのうさちゃんなんだよなw
ここでちゃんと言葉にしてるけど「俺はおまえの食べてる姿見るのが大好きなんだよ!」やっぱり好きだなあ。

ほんとは鉄砲なんて作ってないって告白しようとしたのにギンちゃん寝ちゃってて、っていう切ないシーンなのに本人の特性を生かした「最年少無呼吸」で台無しw
ニシは「死にたい」に対して「そんなこと言うな」って止めるんじゃなく、あくまでそれを受け入れて「今鉄砲作ってるから待ってろ」ってその日を引き伸ばしてきたわけだよね。ここで本当は鉄砲なんて作ってない、作れない、って言おうとしてるってことはこの時点では殺してあげるつもりはないってことだ…。
眠るギンちゃんの頭をポンてするの好きだ。

「兄貴」との電話。
もうそろそろここは危ない。現にニシは一度撃たれてるし、場所もクスリ持ってることもバレてる。だけど誰も助けに来てはくれそうにない。

眠れないギンに、本当はずっと俺たちは水中にいたんだって教えてあげるニシ。
「ニシは水中好きかー?」
「あー…あんま好きじゃねぇなァ…息できねぇし、身動きとれねぇし…」
ニシにとっては水中は綺麗なだけじゃないんだね。
ニシが今まで一年もこの光景を見せてこなかったのは、これを見たら「あっち」にギンが引っ張られちゃうのを知ってたからなのかなと思う。もう戻れないところまで来てて、誰も助けてくれそうになくて、このままいけば俺はもう死ぬんじゃないかなって思って、それで見せたのかな。
ギンにとって水の中は綺麗なところで、とーちゃんとかーちゃんがいるところ。綺麗なものって、ともすればそちらに手を引かれてしまいそうな怖さがあるよね。ギンはあまりに純粋だから「死」に手を引かれてしまいそうな気がしてしまうんだ。
「ニシ、俺、早く死なねーと」
「とーちゃんとかーちゃんが、待ってる」
この声………泣いちゃうよ……。ここだけちょっと声のトーンが違うんだよね…。まさしく「手を引かれてる」声だと思うんだ。
「おまえのとーちゃんとかーちゃんは、おまえにメシ食わせてやれねぇから、一緒に死のうとしただけで…おまえが元気に生きてんなら、それはそれでいいと思ってんじゃねーのか?」
これまであんまりギンの言うことを否定するというか、死にたいって言うこの子を説得する、みたいなことはしなかったのにここでは核心に触れるんだな、と思った。
実際そうなんだよね、多分。お父さんとお母さんのこと考えたら、この子が幸せなら生きててほしいと思うはずなんだよ。
「おれさ、ニシが死んじゃうかも、いなくなっちまうって思った時すげぇ怖かったんだよ。だからさ、とーちゃんとかーちゃんも俺がいなくて、すげー怖がってんだよ。早く死んでやんねーと。約束もしたしな、一緒にいるって。」
ニシがいなくなるって思ったらすごく怖いって気持ちを知ってるのに、ニシも同じ思いをするかもって思わないの残酷なんだよなぁ……。
走馬灯がニシばっかりなの……こんなん泣くよ…。
「ニシでけぇ魚釣った!」
「ニシでけぇ屁こいた!!」
「ニシ怪我した!大丈夫か…っ?」
「ニシ怪我した!」がほんとに心配そうで…
「おまえ……俺ばっかじゃねぇかよ……」
私も泣いてるしニシも泣いてる。
「こちらこそだ」のあとの「ギン」に万感の思いがこもっててすごくいい。
「じゃあな」の声が泣いてるよ…。
一緒に泣きながら
銃声。暗転。

次のシーンが月夜に海に何かを撒いてるニシのシーンだったのでギンの遺骨なのかな……って思ったら後ろから歩いてくるギン!生きてた!!綺麗なミスリード!!
ギンがくれた真珠が鉄砲に詰まってたから死ななかった。
「おれさ、ニシの顔見てたらさ、ちょっと死にたくないかもって思っちまったんだよ。おれが死んだらニシ、悲しむだろーなって」
「とーちゃんとかーちゃんが怖がってるから死なないと」から「ニシが悲しむだろうから死にたくない」に変わったんだ…。
「俺は…おまえを殺して、自分も死のうと思ってたよ」「まぁ、ちょっとだけな。今は死のうなんて、一つも思ってねぇよ」
この台詞なんか妙にゾクっとするんだよな。作中1刺さるセリフなのでまたあとで。

電話の内容で気付いたけど、撒いてたの「クスリ」か。スマホも海に放り投げて、繋がりも切って、何もかも捨てたってことか。
「おれは、ニシと一緒にいる!」
「一緒に行く」じゃなくて「一緒にいる」なのがまた…… 。
"一緒にいて"の呪縛が解けた瞬間だ…。
ここも、「一緒にいる」が死ぬ理由から生きる理由に変わってるね。
「ニシが殺してくれ!」
「ニシ、もっかい鉄砲作ってくれよ!」
まだ死にたいのかな…って思った瞬間、
「だから、おれが死ぬまで、おれと一緒にいてくれ!」
を聞いて、衝撃だった!
そっか、生きるってことは死ぬまで生きるってことか!死ぬまで一緒にいて、はずっと一緒に生きてってことだ……。
生きることと死ぬことって真逆なようでほんとはすぐ真裏にあるのかと気付いた。

「なぁニシ!!次はどこで死ぬー?」
なんて素敵な終わり方……!!
「死ぬ」って言いながらもちゃんと「生」に向かってるんだよなぁ。ギンはニシと、ニシはギンと、死ぬまで一緒に生きる覚悟ができたんでしょ?
エンドロールとともに流れるロックンロール・プランクスターの「死ぬまで生きたら褒めてよ」
文字通り死ぬまで一緒にいてくれ…。
これからも永遠に完成しない鉄砲を待ちながら死ぬまで2人で一緒に生きてほしい。
ギンはニシが殺さなきゃ死なないし、ニシもギンが死なきゃ死なないよ。2人で生きてくれ。

多分、ニシは悪いこともいっぱいしてきたし、「兄貴」たちもいろいろ知ってるこの人を簡単に逃してくれはしないだろうなと思うと、2人で生きるのは全然楽じゃないと思うんだけど… それでも2人でいれば大丈夫って思ってほしいね。ニシの作ったご飯2人で食べて笑ってこれからも2人で生きてほしい。

エンディング後、でっかい旅館にやってきたギンとニシ。そこに現れる女将になったユカちゃん!!嬉しすぎるサプライズ!!
ギンは初めての引越しや初めての旅館に目まぐるしいね。これからもいろんな初めてをニシと一緒に生きてくなかで経験していくんだなぁ。いつか、あの時死ななくてよかった、生きててよかったって思う日が来るといいね。

さて、いろいろ考えたいところがあって。
まずは名前を呼ぶシーンが印象的だったのでその話。
そしてもしかして「ギン」って名前はヘッドロックかけるとこで初出?(見すぎてわからなくなった) こんなに遅かったっけ!?自信ないけど… なんにせよ、ギンがあんなにニシニシ!ってたくさん名前を呼ぶ一方、ニシが「ギン」って呼ぶシーンって結構物語の後の方でしか出てこないし、頻度も断然少ない。普通もっと序盤にキャラ紹介的な意味で名前出しそうなものじゃない?2人しか出てこない物語なのにしばらくずっと片方の名前しかわからないのって別に違和感はないけど珍しいよね。ニシが自然と名前呼ぶタイミングまで待ってるっていうか。
この名前を呼ぶ頻度もこだわりだったのかな?
ギンはニシってたくさん呼ぶし、おかえり!とかおやすみ!もたくさん言うよね。もしこれまでニシが1人で生きて(暮らして)たんだとしたら、こんなにたくさん名前を呼ばれることってなかったと思うので、そりゃまあ、絆されるだろうなと思う。
ギンがニシと暮らそうと思ったのは、おそらく自分も関わったことで家族を亡くしてしまったギンへの罪悪感とか、あとはまぁそもそも根が優しいと思うので本当にほっとけなかったからなんだろうと思うけど、いつのまにか絆されてて、自分の作ったご飯おいしそうに食べてくれたら嬉しかったり、誰かにおやすみとかおかえりを言われることのあったかさをこの子のおかげで知ったりしたのかなぁと想像してしまう。だとしたらいなくなっちゃたときの喪失感がすごいだろうな。打算なくたくさん与える人って、いなくなったときその分だけ寂しくなるからずるいなぁと思う。
逆にニシはあんまりギンとは呼ばないね。単純にニシは二人称の「おまえ」で呼んでるからっていうのもあるだろうけど、そんなにたくさん名前を呼ばないからこそ大事なときの「ギン」が刺さるんだ。ちゃんと伝えたい時名前を呼ぶのかな、って思えてこれはこれで好き。

それから、ニシはなんで最後ギンを撃ったんだろうという考察。
嘘をつくつもりじゃなくて本当に殺してあげようと思ったんだとは思うんだけど。
わりと直前で鉄砲の作り方なんてほんとは知らないんだって告白しようとしてるから、その時まではその日を先延ばしにするために鉄砲作ってるって嘘をついてて、本当に殺してあげるつもりはなかったんだよね。いつか本当のことを言おうと思ってたのか、その時までにはギンの気持ちも変わるだろうって思ってたのか。
それじゃあいつ気持ちが変わったんだろう。
一つ、きっかけとしては撃たれたあとのあの電話なのかなぁと思う。
上でも書いたけど、もう戻れないところまで来てて、助けも来ない。俺は死ぬかもしれないってどこかで覚悟したのかな、と思う。だからこそ、水の中の景色をギンに見せてあげたのかな、と。心のどこかでこれを見せたらだめだと本当はわかってたんじゃないかな。
もう一つは、ギンの「おれさ、ニシが死んじゃうかも、いなくなっちまうって思った時すげぇ怖かったんだよ。だからさ、とーちゃんとかーちゃんも俺がいなくて、すげー怖がってんだよ。早く死んでやんねーと。約束もしたしな、一緒にいるって。」を聞いたから?
さっきも書いたけど、子供の言うことだから死ぬなんて言っててもいざとなれば怖気づくだろうとか、いつかは諦めるだろうってもしかしたら思ってたのかもしれないけど、この言葉を聞いてこいつの意思は変わらないんだって気付いたのか。ニシがいなくなるかもって思ったらすげぇ怖かった、のあとにそんなこと言われたらもう引き止められないかもなぁ…。ニシが撃たれたことによって死というものが身近に迫った時、自分が死ぬのが怖いって思うよりも、両親も自分がいなくなって怖い思いをしてる、の方に思い至るギンはほんと優しい子だね…。
いずれにせよ、ニシがギンの幸せを願ってないわけはないので、自分じゃなくギンのために撃ったのは確かだよね。このままここにいても無事でいられるかわからない。だったらこいつの望むように、その命を終わらせる責任は自分にあると思ってたのかもなぁ。

最後、ニシは鉄砲の作り方なんてほんとは知らないってこと、結局ギンに告白しそびれちゃってるなぁと気付いた。でも知らないままなのがいいな、となんとなく思った。
作れないんだから鉄砲は永遠に完成しないし、そもそもギンはもう死にたいとは思ってないだろうから別に「鉄砲なんて作れない」って言ってもほんとはいいはずなんだけど。
「ニシが殺してくれ!」「ニシ、もっかい鉄砲作ってくれよ!」 「だから、おれが死ぬまで、おれと一緒にいてくれ!」に対してニシは否定をしないよね。それを是とするのなら、鉄砲が完成してギンを撃ち殺すまで一緒にいる、ってことでしょ? だから「死ぬまで」は「ずっと」なのか。鉄砲は永遠に完成しないから。でもこれは見てる私たちとニシだけが知ってるのか…。
ギンにとっては「鉄砲が完成するまで」っていうのはいつか死が訪れるまで、の言い換えな気がしてしまうなぁ。 永遠に、じゃなくて遠い遠い未来にあるいつか、みたいな感じがする。
ギンがそれを知らないのをなんとなくいいなって思うのは、ギンにはわからないままでいてほしいからかな?答えを知ってるのはニシだけでいいなと思う。死ぬときがいつ訪れるかわからないようにギンにとってはずっといつ完成するのかわからない鉄砲であってほしい。

あと、「お前を殺して俺も死ぬつもりだったよ」という言葉にもうずっと囚われているのでそのお話を。
あれは愛なのか責任感?罪悪感なのかそれ以外の何かなのかずっと考えてるんだけど。
引き金を引いた時点でもう死ぬつもりだったってことだよね。だとしたらギンを殺すって決めた時に自分も死ぬ覚悟があったってこと?それとも、ギンの走馬灯が自分でいっぱいだったと知ったとき?
でも、ニシはもしかしたら心のどこかで俺は碌な死に方しないだろうなって最初から思ってたんじゃないかなってどうしても思う。心根が優しいから。死にたいと思ってたかはわからないけど、いつ死んでもおかしくないし、仕方ないぐらいは思ってたんじゃないかな。生への執着の薄さというか諦念が見えるような気がして。
だから、ニシもどこかで自分も死ねることにほっとしてたのかもなぁとちょっと思う。「お前を殺して俺も死ぬつもりだったよ」にはその仄暗さが滲み出てるような気がして。だから毎回ゾクっとするのかな。
だとするとギンのプレゼントした真珠に救われたのはニシでもあるんじゃないかと。そのおかげでニシも死なずに済んだってだけじゃなくて、やっぱりニシはギンがいたから一緒に生きようって思ってくれたんだと思うんだよね。そりゃそうだよ。自分の作ったご飯うまいうまいって食べてくれてあんなに何回も何回も何回も名前呼んでくれる存在生きる意味そのものじゃん…。ギンが死にたいなんて思ってる子じゃなければ、こいつだけでも助けたいって思ってむしろ死に急いでたでしょ?
やっぱり前提として関係性が主軸の共生の物語だと思うので、お互いがお互いに出会えたから変わって救われてほしいなぁという願いがうっすらある。ポジティブな意味で、2人だから一緒に生きていたいって思う2人であってほしいな。

でも、実際あれは愛なのか罪悪感なのかそれ以外の何かなのか、いったいなんだったんだろう。
あの子が死ぬ理由の大元(両親が死んだこと)の原因を作るのにニシは関わってたんだろうから、あの子を殺しておいてのうのうと生きてるニシを想像できないので、普通に考えたら責任感や罪悪感かなぁと思う。でもあのセリフって、ギンの「おれさ、ニシの顔見てたらちょっと死にたくないかもって思っちまったんだよ。おれが死んだらニシ、悲しむだろーなって」の後に言うんだよね。ニシのために生きようと思ったって言ったあとに、おまえが死んだら死のうと思ってたって言うのすごいなこの人…。この2つの言葉の表裏一体感を考えると罪悪感とかじゃなくてもう愛なのでは…?とも思う。
ニシが自分のこと、かつ本心らしきことを口にするのって本当に少ないから、私はこのやさしいような怖いようなセリフからなんとかニシというひとを理解したくて、でも完全には理解しきれないまま、いつまでもこの言葉だけ心に刺さり続けるんだろうなと思う。
このセリフの話ばっかりしてるけど、この後に続く「今は死のうなんて一つも思ってねーよ」ってあっけらかんと言うのも好きなんだよね。このシーンのニシは本当に憑き物が落ちたみたいに晴れやかだ。この言葉も紛れもなくニシの本心だと思うので彼がちゃんと生きようと思ってくれてよかった。

こぽぽ水中はほんとうに矛盾と表裏一体がそこかしこにある物語だなと思って。
綺麗なものは怖いし、幸せだから死にたいし、一緒にいたいから死にたくて一緒にいたいから生きたい。そして死ぬことは生きること。
これが物語をまっすぐ貫いてて、構成がとてもきれい。

最後に、ちょっとメタ的な視点でいうと、心根は優しいけどそちらの世界に足を踏み入れてしまった人が改心してその世界から足を洗う、という話は物語の中にはたまに出てくる。ただまぁ、そういう人が幸せになってるのを見たことがないんだよな…。実際のその世界は知らないので、一度悪事に手を染めた人間は簡単に幸せになれないっていう、単に物語としてのセオリーなのか、実際にそれくらい足抜けに厳しい世界なのかわからないけど。幸せになれた、って思ったところで実は追われててあっさり死んじゃう、みたいな展開を何度か見たことあったので、ニシの行く末に関しては一抹の不安があったんだよね。何より上で書いたように、ニシは妙に陰りがあって不幸が似合ってしまうから。ていうか心根の優しいヤクザなんていかにも幸せになれなさそうじゃん( ; ; )
でも、うさちゃんが「写真は僕ん家のニシとギンです」ってエビくんとハゼくんの写真をXに投稿しるの見て、まずあまりに衝撃で…笑 なんでファンでもやらなそうな(やりたくてもできない)レベルの推し活してんのwwと思いつつ、でもそっか、ニシとギンはうさちゃん家の水槽に辿り着いてたのか、と思ったらすごく腑に落ちたし、何よりほっとした。それなら大丈夫だ、どんな道筋を通ろうと絶対に幸せになる!って確信した。物語と現実の世界が繋がったような不思議な気持ちになったのをいまだに覚えてるよ。うさちゃん、ちゃんとハッピーエンドにしてくれてありがとう。

『引越し』の
「ここで息ができないなら
海の底へ引っ越そうか」
という歌詞が大好きで。
ギンとニシは2人でいたらきっとどこでもいいんだと思うんだ。どこでも楽しいし一緒に食べるご飯はおいしいし。
2人の旅のはじまりを見せてくれてありがとう、という気持ちでいっぱい。幸せになるのはもう決まってるので、2人のこれからを思うのにもう不安はないよ! 終の棲家を見つけるまでの長い旅に行ってらっしゃい!って晴れやかな気持ちで2人に手を振れそうです。


ギンとニシに、そしてこの素敵な物語に出会わせてくれたロングコートダディに感謝と愛をこめて!


 おしまい。


#ロングコートダディ
#こぽぽ水中


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