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分散投資と集中投資はどっちが良いの?【結論:分散投資が有利】

投資をしている人なら誰しも、「分散投資が大切!」という話は聞いたことがあることでしょう。

ただ、世界一の投資家であるウォーレン・バフェットをはじめ、大きな富を築いた人ほど集中投資をしているという事実もあり、分散投資と集中投資どちらが優れているかの論争は続いています。

今回の記事では私個人の見解も交えながら、

・分散投資と集中投資の違い
・分散投資と集中投資はどっちが良い?

ということについて、整理していきます。


分散投資と集中投資の違い

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○分散投資

投資資金を多くの銘柄に分させる投資手法のことです。

投資先を分散させるので、一つの銘柄で大きな損失を出しても、他の銘柄でカバーすることができます。

分散投資が良いといわれているのは、リターン(期待値)はそのままで、リスク(変動)を抑えることが出来るからです。

例えば、ある会社が不祥事を起こして、株価が-50%になったとしましょう。

その場合、1銘柄保有なら-50%ですが、10銘柄を均等に保有していば、-5%のダメージで済むというように、個別銘柄の影響を軽減することができるということですね。

一つのミスで全てを台無しにすることがないよう「全ての卵を一つのカゴに入れるな」 という格言が有名です。


○集中投資

その名の通り、厳選した銘柄に集中的に資金を投下する投資手法のことです。

集中的に投資をするので、成功すれば大きな利益につながりますが、失敗すると大きな損失につながります。

集中投資が良いとされているのは、少ない資金で大きく利益を出せる可能性があるからです。当たれば大きいけど、外れも大きいということですね。

集中投資でうまくいけば莫大な利益をだせますが、リスクの大きい、攻めの投資手法となります。

分散投資の「全ての卵を一つのカゴに入れるな」に対して、集中投資では「厳選した卵を一つのカゴに入れて見張ったほうが良い」という反論が有名です。


分散投資と集中投資はどっちが良い?

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分散投資の有効性

株式投資のリスクは主に、

○システマティック・リスク
⇒市場全体のリスク(株式市場全体の変動)

○非システマティック・リスク
⇒個別銘柄によるリスク( 個別企業の業績変動や倒産リスクなど )

の2つがあります。

分散投資の有効性は、ポートフォリオの銘柄数を増やすことで、個別銘柄に対するリスク(非システマティック・リスク)を軽減できることにあります。

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出典:バートン・マルキール (著), 井手正介 (翻訳)(2016)『ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉――株式投資の不滅の真理』

上記のグラフのように、銘柄数を増やして総リスクのうちの非システマティック・リスクを排除することで、リターンの変動を抑えることができます。(期待値はそのままで値動きを緩やかに出来る)

正確にいうと銘柄数だけではなく、各銘柄の資金配分や相関性も関係してくるので、

・特定銘柄の資金配分を大きくする
・同じ業種の銘柄ばかりを買い付ける

ということをすると、分散投資の有効性が落ちてしまいます。

分散投資をするときは、

・資金配分はなるべく均等にする
・違う業種などの値動きが連動しない銘柄を買いつける

ことに気を付けましょう。


集中投資の有効性

集中投資については、有効性についてエビデンスがあるわけではありません。強いていうなら、決算日の把握がしやすいなど、銘柄の管理がしやすいことぐらいです。

とはいっても、世界一の投資家であるウォーレン・バフェットが集中投資をしていることは有名でして、分散投資は「無知に対するリスクヘッジでしかない」と語っており、集中投資によって富を築いたといえます。

このことから、「世界一の投資家が集中投資をしてるんだから集中投資をすべき」という主張をする方もいらっしゃいますが、そもそも世界一の投資家と比べるのはおこがましい気がします。

・バフェットに比べればほとんどの人は無知
・優れた投資家であると同時に優れた経営者でもある
・集められる情報量が違う
・リスクの低い銘柄を選択している可能性が高い(クオリティファクター)

上記のような違いを考えてもバフェットのように確信をもてるなら、集中投資をしても良いとは思いますが、一般的な個人投資家レベルでは難しいのではないかと思います。

さらに、Longboard AssetManagementの調査によると、1983年から2006年までのラッセル3000インデックスを分析したところ、

・ラッセル3000のリターンは年率12.8%、全期間で1694%だった
・39%の銘柄はマイナスのリターンだった
・64%の銘柄は平均リターンに負けていた
・中央値のリターンは5.1%だった

ことが判明しています。

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出典:Longboard Asset Management「The Capitalism Distribution」

このように、株式投資のリターンは、

・平均値 > 中央値

となりやすいことが分かるので、集中投資をするとリターンは、平均を下回りやすいということが予想されます。相当な自信が無いと、集中投資の実践は難しいという印象です。


結論

結論をいうと、基本的には分散投資をしたほうが良いと考えています。

理由としては、同じだけの値上がり期待がある銘柄がいくつも見つけられるのなら、個別リスクを排除することができる、分散投資をするほうが全体のリスクを抑えられるからです。(個別リスクを減らせて期待値はそのまま)

ただ、値上がり期待が出来る銘柄が少ない場合については、無理に分散するよりも集中した投資をするという選択肢もあります。その場合に限り、集中投資を試しても良いかもしれません。

以下の優先度を覚えていれば、分散投資と集中投資で迷うことは少ないと思います。

①厳選銘柄×分散投資
②厳選銘柄×集中投資
③普通銘柄×分散投資
④普通銘柄×集中投資

厳選銘柄:値上がり期待のある銘柄(統計、経験則など)
普通銘柄:選んだ根拠が乏しい銘柄

私も個別株投資をしていますが、自信のある銘柄でも突然の業績悪化があったりなどで、暴落してしまうことがあります。

そんな時、「分散投資をしていて良かった~」と感じる場面も多々あるので、分散投資を覚えておいて損はないと思います。

特に初心者の方であれば、良い銘柄と思っていても失敗することも多いので、ある程度の分散投資をすることをオススメします。


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有効性の高い投資手法については、以下のマガジンに情報をまとめています。


●参考文献

バートン・マルキール (著), 井手正介 (翻訳)(2016)『ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉――株式投資の不滅の真理』日本経済新聞出版社.

Longboard Asset Management「The Capitalism Distribution」.

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