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株主優待銘柄を先回り投資!~優待銘柄を買うベストなタイミング~【株式投資戦略】


今回の記事は、みんな大好き株主優待銘柄についてです。

「株主優待株を買いたいけど、どのタイミングで買ったらいいか分からない」と疑問がある方もいると思うので、参考になりそうな情報を紹介していきます。


株主優待とは?

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株主優待とは、会社の株を保有している株主にたいして、企業側が優待制度を実施することです。(権利確定日に保有している必要あり)

例えば、

・ギフトカタログ
・クオカード
・サービスの利用・割引券
・航空券の割引券
・食事券や宿泊券

など、企業によって様々な優待が存在しています。

多くの場合は、最低単元の株を保有している方が優待利回りが高くなることが多いため、資金の少ない個人投資家に人気の制度となっています。

ちなみに、優待を受け取るためには、「権利確定日」というこの日に株を保有していたら権利が得られるという指定日があるので、その日に保有をしている必要があります。

「権利落ち日」という、権利確定日の次の営業日からは、持っている株を売却しても権利は確定しているため、優待株を受け取ることができます。

逆に、「権利落ち日」以降に株を買っても優待は受け取れません。


株主優待は本当にお得?

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株主優待を受け取るのは嬉しいものですが、本当に受け取ることがお得なのか考えてみましょう。

株主優待の権利落ち日に株価が暴落するのを目にしたことのある人も多いのではないでしょうか?

不思議なことに株主優待の価値(優待利回り)よりも、株価が大きく下落する傾向も確認されています。

もし、受け取れる優待の商品や割引券があったとして、優待の価値以上に株価が下落しては意味がありません。

もし下落するのが同じ金額分であっても、使用用途が限定される株主優待より、現金の方が使い勝手は良いはずです。

ただし、人間はそう合理的な判断が出来るわけではありません。

報奨金として口座の残高が増えているよりも、封筒に入った現金を手渡しされる方が嬉しくなりますし、お金ではなく商品であるとさらに喜びは大きくなることでしょう。

この受け取ったモノを過大評価する心理的要因が、優待権利落ち日の大幅な下落に関連していると思われます。

冷静に考えてみると、優待を受け取らずに売却益を得た方が得な場合も多いので、感情に惑わされずお得な方を選びたいものですね。

優待が欲しいという目的であれば、普通に買うよりも、値動きに左右されにくいクロス取引などを活用した方が良いかと思います。


株主優待株を買うにはいつがベスト?

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確定日の直前になるころには、既に株を買っている人が多いので、株価が割高な状態になっていることが多いです。つまり、権利落ち日になった瞬間に大きく株価が下落する危険性があります。

そのため、権利確定日の何日前に買っていれば、損をせずに受け取れそうなのかという、買いのタイミングが重要となります。


望戸美希ら(2015)の研究では、2011年度~2014年度の期間の株主優待銘柄について、値動きの傾向を調査してくれていました。

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出典:望戸美希、野瀬義明(2015)「株主優待が権利付き最終日までの株価に与える影響」

その調査結果から、確定日の3ヵ月ほど前からリターンが高くなる頻度が増えており、確定日の3ヵ月前に株を買って、確定日の前日に売る組み合わせのリターンが高かったことが判明しています。

この結果から、「優待確定日の3ヵ月前に買うのがベストかも!」ということになります。

個人的には、株主優待よりも現金の方が良いので、権利確定日の前日に売却して、きっちり値上がり益を狙う方が良いと考えています。


リターンを改善するには?

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実は、単純に株主優待がある銘柄を探すだけでは、割高な状態の銘柄を買うことが多くなる傾向があり、割高銘柄のリターンは低くなりやすいという問題があります。(優待銘柄には割高な銘柄が多い)

そのため、優待株に先回りして売却益を狙う場合に、さらにリターンを改善できそうな方法を紹介していきます。

望戸美希ら(2015)では、さらに優待銘柄の傾向を分析しており、

○割安な銘柄のリターンが高い(高優待利回り)
⇒高優待利回り:5.82%、低優待利回り:4.36%と1.3倍程度リターンが高かった

○非貸借銘柄のリターンが高い
⇒非貸借銘柄:6.65%、貸借銘柄:3.24%と1.8倍程度リターンが高かった

ことが判明しています。

簡単にまとめると、

・優待利回りの高い銘柄はリターンが高くなりやすい
・空売り・クロス取引不可な銘柄はリターンが高くなりやすい
・優待確定日の3カ月前に買うとリターンが高くなりやすい

となるので、四半期(3月末、6月末、9月末、12月末)ごとに、優待銘柄を入れ替えることで、効率的にリターンを上げられる可能性が高いです。

イベント投資で利益を出したいという方は参考にしてみてはいかがでしょうか?

割安銘柄の探し方は、優待バリュー投資のみきまるさんの投資手法を参考に、

・ミックス係数が低いこと(PER×PBR)
・優待利回りが高いこと

を確認すれば、さらに有望な銘柄を見つけられるかと思います。
(詳しくは参考文献にあるみきまるさんの本を読んでみてください)


注意点としては、イベント投資は同じ戦略を使う人が増えると、リターンが低下する可能性があります。この戦略を使う銘柄を探すときには、直近の1~2年も確定日の3カ月前から値上がりする傾向があったか確認することを推奨します。


まとめ

株主優待制度を利用して利益を出すには、権利確定3ヵ月前に買って権利確定前日に売るとパフォーマンスが高いということをご紹介しました。

ちなみに、この傾向を利用している投資家で有名なのが、夕凪さんという方です。

紹介した研究データの公開よりも前に、『スタバ株は1月に買え!』という本が発売されていますが、その中でも3ヵ月ほど前に買うと良いという記述がありました。優れた投資家はこのような情報を知らなくても、経験則で最適な期間が分かっているということですね。

みきまるさん、夕凪さんなど、優待銘柄に強い投資家さんの発信している情報は非常に参考になるかと思います。


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●参考文献

望戸美希、野瀬義明(2015)「株主優待が権利付き最終日までの株価に与える影響」

みきまる(2019)『楽しみながらがっちり儲かる 優待バリュー株投資入門』日経BP.

夕凪(2014)『スタバ株は1月に買え!: 10万円で始めるイベント投資入門』東洋経済新報社.

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