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予想PERと実績PERはどっちを使うべき?【結論:予想PER】

PERの指標を使うときに、「実績PERと予想PERどっちを使った方が良いの?」と疑問に思う人もいらっしゃると思います。

今回は、指標は実績と予想どちらを使うべきかについて整理していきたいと思います。


予想PERとは?

念のため、予想PERについて説明しておくと、

株式の投資指標のひとつ。株価を予想利益で割って、同じセクターの株式と比べて割安か、割高かを判断します。
予想PER(株価収益率)=株価÷1株当たり当期純利益予想

引用:わかりやすい用語集 解説:予想PER(よそうぴーいーあーる)|三井住友DS

という説明があるよう、通常のPERは実際に生み出した利益から算出されますが、予想PERは会社予想やアナリスト予想をもとに算出されたPERのことを指します。

PER(実績):実績の利益から算出
PER(予想):予想される利益から算出

予想PERは、「PER(予)」というような表記がされていることが多いです。


予想PERと実績PERどっちを使った方が良いの?

PERには、予想と実績の2種類があると説明しましたが、どちらを使った方が良いのか迷う方もいらっしゃるかと思います。

結論からいうと、PERなどの指数は予想値を使用した方が良いです。

というのも、株価は未来の業績を織り込むため、現在は好調でも予想が減益であれば、株価が下がることになります。

実績PERだけを確認していると割安な株だと思っていたら、業績が悪化して割高な株になってしまったということにつながるわけですね。

このように、業績の見通しによって株価が変動するため、予想値から算出された指標を使った方がリターンに直結する可能性が高いです。


予想PERと実績PERの成績比較

一般論では予想値を使う方が良いと言われていますが、本当にそうなのでしょうか?

日本株における予想PERと実績PERの成績については、クオンツアナリストの吉野さんが検証してくれていました。

出典:吉野 貴晶(2017)『No.1アナリストがプロに教えている株の講義』東洋経済新報社.

上記のグラフからわかるよう、日本株におっける1997年10月~2015年10月の期間では、実績PERと予想PERを比較すると圧倒的に予想PERの方が良い成績を残していたようです。

・来期予想PER > 今期予想PER > 実績PER

の順でパフォーマンスが良いので、予想指標を使った方が良いのは間違いなさそうですね。

使用しているサイトやスクリーニングツールによって、実績PERを使用していたり予想PERを使用していたりとばらつきがあります。

指標を確認するときには実績と予想のどちらを指しているのか確認して、予想指標を使うようにしましょう。


予想指標を使う上での注意点

予想指標を使う場合には、いくつか注意点がありますので、簡単に説明しておきます。

【注意点】
①アナリストは楽観的な傾向が強い
②過去に何度も下方修正している会社に注意

①アナリストは楽観的な傾向が強い

予想指標には会社自身が予想しているものと、アナリストが予想しているものがあるのですが、平均的なアナリストの予想は実際の業績よりも楽観的になることが判明しています。

そのため、アナリスト予想が高い銘柄を買い付けても、実際の業績がアナリスト予想ほどではなく株価が下落してしまうということが良く起きます。

逆に会社予想は保守的になりやすい傾向があるようですが、アナリスト予想よりは正確なことが多いようです。(内部情報を知っている会社の方が精度が高いのは当たり前ですね)

アナリストよりも会社予想のほうが信頼できそうなので、

・会社予想の方を重視
・アナリスト評価が高すぎる銘柄は避ける

とした方が良さそうです。


②過去に何度も下方修正している会社に注意

先ほど、会社予想の方が精度が高いということを紹介しましたが、あくまで平均的な話であって全然正しくない予想を出す会社も存在します。

過去に何度も下方修正を発表しているような会社の予想は信用できないので、なるべく避けるように気を付けましょう。

過去に下方修正をだしているかの情報は、四季報などで確認することもできますし、楽天証券を利用していれば取引ツールからも確認することができます。


まとめ

実績指標と予測指標どちらを使うのかについては、予想指標を使ったほうが良さそうだという情報をご紹介しました。

予想指標を使う上での注意点として、

・アナリスト予想は楽観的なことが多い
・会社予想は保守的なことが多い

ということに気を付けていれば、アナリスト評価が高すぎる銘柄は、既に過大評価されている可能性が高いということにも気付くはずです。

今回はPERの予想と実績によるリターンの違いを紹介しましたが、PCFR、ROE、ROAなど別の指標も予想値を使った方がリターンが高くなる可能性があります。

ぜひ、参考にしてみてはいかがでしょうか。


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有効性の高い投資手法については、以下のマガジンにまとめています。



●参考文献

吉野貴晶(2017)『No.1アナリストがプロに教えている株の講義』東洋経済新報社.

井出慎吾(2017)『本音の株式投資 人気ストラテジスト直伝』日経BP.


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