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株で損をしやすい投資手法ベスト6【初心者が陥りがちな罠】

どうも、この記事を書いているmotoといいます。

初めての方のために自己紹介をしておくと、

【職業】システムエンジニア
【投資歴】約2年半
【投資手法】インデックス投資、ファクター投資(バリュー+クオリティ)

といった感じです。

投資を始めて間もないころは、なかなか利益を出せませんでしたが、投資本を読み漁って科学的に実証されている投資手法に切り替えたところ、利益が出るようになってきました。

特に、「チャート分析」、「定性的なファンダメンタルズ分析」など、曖昧な情報の投資判断が難しいことを理解し、統計結果などの定量情報を重視するようになったことは大きかったです。

私は、これまでに100冊以上の投資本を読んでいますが、「世の中に出回っている投資情報は嘘が多すぎる!」と感じています。

投資を少しでもかじったことのある人なら、心当たりがあるのではないでしょうか。いい加減な情報を発信している人が多いせいで、正しい情報にたどり着くまでにすさまじい労力が必要になります。

これから投資を勉強する人には、

・間違えた方向に勉強をしてほしくない
・誤った投資手法で損をしてほしくない

という想いがあるので、損をしやすい投資方法についてまとめてみました。


損をしやすい投資手法

①アクティブファンドに投資する

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こちらは有名ですが、プロの投資家が平均を超えようと運用しているアクティブファンドは、S&P500などの指数に連動するインデックスファンドと比べて、成績が悪くなることが分かっています。

「敗者のゲーム」の著者であるチャールズ・エリスは、「アクティブ運用の手数料などのコストや、大型取引の市場インパクトなどを差し引けば、運用機関の成績は今後とも市場平均を下回るだろう」との見解を述べています。

実際のところ、米国の2007年までの調査では、年間成績では6割、10年では7割、20年では8割のマネージャーが市場平均(インデックスファンド)に負けています。

投資で重要な要素の一つとして、運用にコストをかけないことがあげられるので、低コストなインデックスファンドへの投資を検討しましょう!

②テクニカル分析に力を入れる

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直近の1年の間にパフォーマンスが高かった銘柄は、その後もパフォーマンスが高くなりやすいモメンタム効果など、ごく一部のテクニカル分析は有効といわれていますが、それ以外のチャート分析は有効性が検証されていないことが多いです。

デビット・アロンソンの調査では、S&P500指数に対して定量定義可能な6402ルールの検証を行った結果、「残念ながら統計的に有意なリターンを生み出すルールを発見することはできなかった。」との結論を述べています。

有名なテクニカル指標であるゴールデン・クロス、ダブルトップ、ダブルボトムなどは、分析者がどの期間で読み取るかでリターンが大幅に変わってしまい、意図せずとも分析者に都合の良いチャートパターンを探している可能性もあります。

名著「ウォール街のランダムウォーカー」の著者であるバートン・マルキールは、テクニカル分析を非難することは喜びでさえあると語っており、「第一に、彼らの手法が明らかに間違っていること」「第二に、いじめいやすいこと」と述べています。

有効性が分からないテクニカル分析に頼るよりも、有効性が実証されている投資指標を使うことをオススメします!

※初心者にはどのテクニカル分析が有効なのかの判断が難しいだけで、有効なテクニカル指標もあります


③大企業の株を買う

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大企業の株を買えば安心だし、良い企業だからこそ有名になっているという理由で株を買う人がいますが、これも損をすることにつながる可能性があります。

有名だということは、他の投資家も同じ考えで買っている可能性が高く、既に高値になっている可能性があります。また、過去の統計では大型株よりも小型株の方がパフォーマンスが高い傾向がありました。

小型株VS大型ポートフォリオ_1

小型株VS大型ポートフォリオ_2

出典:「Portfolio Visualizer」
赤色:米国小型株
青色:米国大型株

上記は米国株の2000年~2018年までの大型株と小型株の比較となりますが、小型株の方が成績が良いことが分かります。日本株でも同様の期間で検証してみましたが、そちらも小型株のパフォーマンスが高かったです。

なんとなく大型株に投資するのではなく、小型株も選択肢に含めましょう!


④成長企業の株を買う

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会社の成長を見込んで投資をするグロース投資戦略ですが、こちらも利益を出しにくいということが分かっています。

成長株の定義は人によって違いますが、学術的に良く使われる高PBRな銘柄を成長株(グロース株)と定義した場合のリターンは低いです。

バリュー、グロース比較

出典:「Russell/Nomura 日本株インデックスデータ」から筆者が作成

上記のチャートは、100万円をもとに1980年~2018年までのRussell/Nomura日本株インデックスに投資した場合の成績(平均、バリュー、グロース)を表しています。

修正されたPBRが使われていますが、基本的には「低PBR≒バリュー」、「高PBR≒グロース」で比較していると考えてOKです。

・バリュー > 平均 > グロース

という結果が出ているので、グロース投資(成長株投資)よりもバリュー投資(割安株投資)の方が優れていると考えて良いでしょう。

もちろん、期間や国によって成績が入れ替わることは良くありますが、長期的にはその傾向があるということですね。

グロース投資と混合しやすい投資手法として、

・モメンタム投資
 ⇒値上がり傾向にある銘柄を買う
・クオリティ投資
 ⇒財務状態の良い銘柄を買う

があります。

今回紹介しているのはグロース株≒高PBRと定義しているため、混合して考えないように気を付けてください。


⑤値動きの大きい株を買う

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金融の世界では、

高リスク=高リターン
低リスク=低リターン

というのは常識ですが、個別株に限って言えば正しくありません。

「高リスク≒値動きの激しい銘柄」と定義した場合、ボラティリティの高い(値動きの激しい)銘柄のリターンが低くなりやすいことが分かっています。

高ボラティリティ

出典:「株マップ」

上記のグラフは2004年~2019年までの高ボラティリティ銘柄と日経平均を比較していますが、高ボラティリティ銘柄のパフォーマンス異常と言っていいほど低いです。

これは、宝くじのように当たれば大きいという理由で、値動きの激しい銘柄を好む人が一定数いて、割高になりやすいことが原因と考えられています。

・値動が大きい銘柄は損をしやすい
 ⇒高リスク、低リターン
・値動きが緩やかな銘柄は利益を出しやすい
 ⇒低リスク、中リターン

高リスクな銘柄は出来るだけ避けましょう!


⑥デイトレードをする

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デイトレードという1日の内に何度も取引をする手法を使う人は、手数料の問題から損をしやすいことが分かっています。

手数料が比較的安いSBI証券(アクティブプラン)で契約をしている場合でも、約定代金が50万円までだと429円、100万円までだと762円、それ以降は100万円追加につき400円プラスの取引手数料が取られます。(2019/12/01時点)

例えば、寄りつきで50万円分の株を買って、引けで50万円で売るを約1年(240日)取引したとすると、762×240=182,880円の手数料になります。 毎日 2回の取引をするだけでも、利益とは別に18万円を払う必要があり、リターンを押し下げてしまうのは目に見えています。

さらに損をしやすいのは、寄り付きで株を買って引けで売るような手法を使っている人です。

TOPIX夜間リターン

出典:三菱UFJトラスト投資工学研究所(2015)『実践 金融データサイエンス 隠れた構造をあぶり出す6つのアプローチ』日本経済新聞出版社

上記のチャートは、1989年~2015年までのTOPIXの日次、日中、夜間のリターンをそれぞれ表しています。日中のリターンは夜間に比べて圧倒的に悪く、日中の取引では損をしやすい状況にあることが分かります。

デイトレードによほど自信のある人以外は、保有期間を長めにとった方がリターンを改善できるかもしれません!

※デイトレードの難易度は高いです


まとめ

投資を始めたばかりの初心者にありがちな、損をしやすい投資方法について紹介をしました。

①アクティブファンドに投資する
②テクニカル分析に力を入れる
③大企業の株を買う
④成長企業の株を買う
⑤値動きの大きい株を買う
⑥デイトレードをする

正直なところ、この情報を知っているだけでも、損をする確率をかなり下げることが出来るのではないかと思います。


個人的な見解ではありますが、投資初心者がまず覚えるべきものは、個別株の分析方法ではなく、市場全体の傾向だと考えています。

統計的な傾向を理解して、銘柄をスクリーニングすることで、危険な銘柄を除外していくことが可能です。その除外が出来てはじめて、残った銘柄から自分なりの分析をすることをオススメします。

よく言われている、「ビジネスモデルの良さ」、「チャートパターン」といった定性的なアドバイスにピンとこない人であれば、定量的な分析の方が向いているかもしれません。


ちなみに、今回紹介した内容は検証した期間ではそういう傾向があったという話で、時期によって有効性が変わることがあります。つまり、長期間にわたって市場を下回る可能性も十分あります。

絶対的に有効な投資戦略などは存在しないので、少し有利になるかもしれないという参考程度にとどめ、過剰なリスクを取りすぎないようにしましょう。

今回は損をしやすい投資手法を紹介しましたが、以下の記事では有効性のある投資戦略やスクリーニング条件なども公開しています。ぜひ、チェックしてみてください!

【株式投資戦略】科学的な投資戦略~ファクター投資入門~


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●参考文献

・チャールズ・エリス(2015)『敗者のゲーム〈原著第6版〉』日本経済新聞出版社.

・バートン・マルキール(2016)『ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理』日本経済新聞出版社.

・デビッド・アロンソン(2014)『テクニカル分析の迷信 ──行動ファイナンスと統計学を活用した科学的アプローチ』パンローリング株式会社.

・Scott Gordon and Carr Michael and Cremonie Mark「Literature Review: Technical Analysis - Modern Perspectives」

・ウェスリー・R・グレイ, ジョン・R・ボーゲル(2017)『ウォール街のモメンタムウォーカー 〔個別銘柄編〕』パンローリング株式会社.

・三菱UFJトラスト投資工学研究所(2015)『実践 金融データサイエンス 隠れた構造をあぶり出す6つのアプローチ』日本経済新聞出版社.

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