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分散投資に必要な銘柄数は?【保有するべき銘柄数】


株式投資をしているなら、分散投資が重要なことは、常識となっています。

ですが、分散投資といっても、

・具体的には何銘柄を保有すれば良いの?

と疑問がある方も多いと思います。

今回の記事では、分散投資に必要な銘柄数について参考になりそうな情報を紹介します。


分散投資の有効性とは?

分散投資に必要な銘柄数を知る前に、分散投資の有効性についておさらいしておきましょう。

株式投資のリスクは主に

①システマティック・リスク
⇒市場全体のリスク(株式市場全体の変動)
②非システマティック・リスク
⇒個別銘柄によるリスク( 個別企業の業績変動や倒産リスクなど )

の2つがあります。

出典:バートン・マルキール (著), 井手正介 (翻訳)(2016)『ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉――株式投資の不滅の真理』

分散投資の有効性は、ポートフォリオの銘柄数を増やすことで、個別銘柄に対するリスク(非システマティック・リスク)を軽減できることにあります。

例えば、ある会社が不祥事を起こして、株価が-50%になったとしましょう。

その場合、1銘柄保有なら-50%ですが、10銘柄を均等に保有していれば、-5%のダメージで済むというように、個別銘柄の影響を軽減することができるということですね。

銘柄数を増やして総リスクのうち、非システマティック・リスクを排除することで、リターンの変動を抑えることができます。
(期待値はそのままで値動きを緩やかに出来る)

分散投資をするということだけで、リスクを減らすことができるため、投資における唯一の「フリーランチ」と呼ばれています。

分散投資と集中投資については、以下の記事で詳しく解説しています。


分散投資には何銘柄の保有が必要?

それでは、本題の何銘柄に投資をすれば良いのかという問題についてです。

Vitali Alexeeva(2014)らの研究では、1975年~2011年の先進国5ヵ国の市場を分析した結果、

・個別リスクを90%以上削減するには、銘柄数は30から50程度必要
・不況時は、リスク分散に必要な銘柄数が多くなる
 (リーマンショック時など)
・不況時になると、最大で97銘柄ほどの分散が必要

※日本株式市場の場合

ということを発見しています。

そのため、何百という銘柄を保有する必要はないと思いますが、通常時でも30銘柄以上、不況時にも対応するなら100銘柄程度の分散が推奨されるということは覚えておくと良いかと思います。

ちなみに、J. Evans(1968)の研究では、「分散効果の約90%は、12~18銘柄のポートフォリオから得られていた」と結論付けられており、20銘柄もあれば十分とされている風潮がありました。(2000年ぐらいまで)

しかし、当時と比べて個別株のボラティリティが高まっていることから、さらに銘柄数を増やした方が良いという見方が強まっているようです。

とはいえ、ある程度の分散効果を得られれば良いということなら、20銘柄程度で問題は無いと思います。


分散投資をする時のポイント

最後に分散投資を実施する時の大事なポイントを紹介しておきます。

①各銘柄にはなるべく均等な金額で分散する
②保有銘柄の業種が偏らないようにする
③投資戦略を分散する

①各銘柄にはなるべく均等な金額で分散する

銘柄数の目安を紹介しましたが、それは全ての銘柄に均等な金額を分散した場合の話です。

小資金であれば均等にするのは難しいですが、特定の銘柄に極端な配分をしてしまうと、分散効果が小さくなってしまうので、なるべく特定の銘柄の配分が大きくなりすぎないように注意しましょう。


②保有銘柄の業種が偏らないようにする

分散投資をするといっても、同じ業種の銘柄であれば、同じタイミングで下落しやすい傾向があります。つまり、相関性の高い銘柄を沢山もっていると、肝心な時に分散の効果が働かない可能性があります。

なるべく、保有銘柄の業種を偏らなくすることが大切です。


③投資戦略を分散する

こちらは、応用編になりますが、業種が偏らないようにするのと同じで、同じ投資戦略で選んだ銘柄は、相関性の高い動きをしやすいです。

例えば、バリュー銘柄を様々な業種から選んでも、結局は相関性の高い動きをしてしまいやすいということですね。

そのため、バリュー銘柄と高クオリティ銘柄など、別の観点から選んだ銘柄を組み合わせると分散効果の恩恵を受けやすいです。


まとめ

今回の記事をまとめると、

・分散投資はリスクを下げるのに有効
・個別リスクを90%以上削減するには、銘柄数は30から50程度は必要
・不況時になると、最大で97銘柄ほどの分散が必要
・分散投資をするには、特定銘柄や業種に偏りが無いよう気を付ける
・投資戦略の分散も有効だとされている

ということをご紹介しました。

ぜひ、銘柄管理の参考にして頂ければと思います。

ちなみに、投資戦略の分散でオススメなのは、バリュー投資とモメンタム投資の組み合わせです。

過去の統計上は、バリュー投資のリターンが低いときは、モメンタム投資のリターンが高くなり、モメンタム投資のリターンが低い時は、バリュー投資のリターンが高い傾向があったとの研究が多く発表されています。

相関性の低い銘柄の組み合わせたポートフォリオは、シャープレシオが高くなりやすいことが確認されているので、実践してみるのも面白いと思います。


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有効性の高い投資手法については、以下のマガジンに情報をまとめています。



●参考文献

Vitali Alexeeva, Francis Tapon(2014)「Equity portfolio diversification: how many stocks are enough?Evidence from five developed markets.」

J. Evans and S.H. Archer entitled(1968)「Diversification and the Reduction of Dispersion: An Empirical Analysis.」


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