時系列モメンタム(トレンドフォロー)で暴落を避けろ!【株式投資戦略】
どうも、この記事を書いているmotoといいます。
今回の記事は、時系列モメンタム(トレンドフォロー)を使った戦略について紹介します。
トレンドフォローは、タイミング戦略の中でも特に有効性が高そうなので、売買タイミングの参考にしやすいかと思います。
時系列モメンタム(トレンドフォロー)とは?
価格が上昇していれば続伸し、下落していれば続落しやすいモメンタム効果のうち、過去の価格情報を使用して絶対評価を行うものを時系列モメンタムと呼びます。トレンドフォローやタイムシリーズ・モメンタムという表現がされることもあります。
○時系列モメンタム(トレンドフォロー)
⇒過去の価格情報をもとに、上昇していればロング
※全ての資産がマイナスだと、ロングしない
少しイメージしにくい方は、
・株価が上昇している間は株を保有
・株価が下落しはじめたら株を売却
する戦略と理解して頂ければOKです。
時系列モメンタム戦略
時系列モメンタム戦略のやり方は、
①リスク資産の過去の12ヵ月のリターンがプラス
⇒リスク資産を保有(S&P500、TOPIXなど)
②リスク資産の過去の12ヵ月のリターンがマイナス
⇒無リスク資産を保有(債権、現金など)
を毎月繰り返して、保有する資産を決定するだけです。
月に一度のチェックするだけなので、兼業投資家でも十分実践することは可能な戦略です。
Tobias Moskowitz(2012)らの研究で、過去の12カ月を測定してトレンド判定をするとリスク調整済リターンが最適になったとの結論が出ているため、直近12ヵ月のリターンを測定期間とて設定しています。
出典:ゲイリー・アントナッチ(2016)『ウォール街のモメンタムウォーカー』パンローリング株式会社.
時系列モメンタムは、1974年~2013年の米国株においても有効性が確認されており、リーマンショックなどの景気後退時を上手く回避することで、リターンが高くなっていました。
重要なのは12ヵ月の間の価格推移ということになるので、
・200日の移動平均線より上ならリスク資産を保有
・200日の移動平均線より下なら無リスク資産を保有
というように、測定期間が近くなる代替的な確認でも似たような結果になりやすいです。200日の平均線を意識する投資家が多いのは、経験則で傾向を理解しているからかもしれません。
時系列モメンタムの検証
時系列モメンタムの検証(米国株)
まずは、直近の米国株でも有効性があるのかを確認してみました。
確認条件は以下の通りです。
・対象:米国株(VTSMX)
・検証期間:2000年~2019年まで
・過去の12ヵ月のリターンがプラスの場合、米国株(VTSMX)を保有
・過去の12ヵ月のリターンがマイナスの場合、現金を保有
・バイ&ホールドと比較
出典:「Portfolio Visualizer」
検証した2000年~2019年の期間における米国株においては、
・バイ&ホールド戦略のリターンを上回っている
・シャープレシオが高い
・最大ドローダウンが半分以下に抑えられている
となっており、かなり有効性が高そうな結果となりました。
ちなみに、2010年~2019年などの上昇相場で成績を確認すると、バイ&ホールドよりもリターンが低い結果となりました。時系列モメンタムは、暴落時に強みを発揮するルールのため、常に市場を上回れるわけではないことは理解しておきましょう。
時系列モメンタムの検証(日本株)
次に、直近の日本株でも有効性があるのか確認をしてみました。
確認条件は以下の通りです。
・対象:日本株(EWJ)
・検証期間:2000年~2019年まで
・過去の12ヵ月のリターンがプラスの場合、日本株(EWJ)を保有
・過去の12ヵ月のリターンがマイナスの場合、現金を保有
・バイ&ホールドと比較
出典:「Portfolio Visualizer」
検証した2000年~2019年の期間における日本株においても、
・バイ&ホールド戦略のリターンを上回っている
・シャープレシオが高い
・最大ドローダウンが半分以下に抑えられている
となっており、こちらも有効性が高そうな結果となりました。
まとめ
時系列モメンタム(トレンドフォロー)についての情報をまとめると、
・米国株で長期的に有効性が確認されている
・株価の測定期間は12ヵ月とするのが最適かもしれない
・2000年~2019年の米国株、日本株でも有効性が確認できた
・リスクを減らす効果が大きかった(ドローダウンも低い)
という感じになります。
検証した結果から、大きなドローダウンの時期を回避することで、リスク済調整リターンの向上につながるようです。
レバレッジETFなどと組み合わせて、致命的なドローダウンを避ける用途で使うのも面白い気がしますね。(推奨はしません)
トレンドフォロー戦略に興味のある方は、以下の本で理解が深まると思いますので、ぜひチェックしてみてください。
時系列モメンタム(トレンドフォロー)とクロスセクションモメンタム(レラティブストレングス)を組み合わせた「デュアルモメンタム」という戦略なども紹介されています。
さらに深く勉強したい方は以下の本もオススメです。
この記事を読んで、「面白かった!」、「勉強になった!」と少しでも思った方は、Twitterまたはnoteでフォローして頂けると嬉しいです!(記事の更新情報が分かります)
●参考文献
Tobias Moskowitz、Yao Hua Ooi 、Lasse H. Pedersen(2012)「Time Series Momentum」
ゲイリー・アントナッチ(2016)『ウォール街のモメンタムウォーカー』パンローリング株式会社.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?