往復書簡 都市から離れる
1ヶ月以内に返事を書こうと思っていたらぎりぎりになった。
こういう余裕を持った期限を決めると決まってお尻に近いぎりぎりまで温めてしまう。
人は余裕を持ってトイレに行けない物なのかもしれない。
本当にこの先にはもうしばらくトイレは無いよって言われるとなんだか勝手に催すのだ。
お返事ありがとう。
最近こちらは文章を書くことから離れてしまい、ポストカードを友人に送ることすらも忘れてしまっている。
こうして文章を書くきっかけがあることにもありがたみを感じる。
最近芽生えた感情というか、生き方みたいなものが久しぶりに定まった話をさせてもらいます。
ヨーロッパに移住してからここ数年間、自分の生き方を失っていました。
というか、捨てたという表現が当てはまるかも。
漠然と海外に住みたいと思い、全世界を住処とした人生を目指していた20代前半の俺。
20代後半はヨーロッパに住み、こちらの世界の荒波というか潮流に飲まれないように自分の固定された意識を捨て、流れに身を任せてなるようになろう、異世界の違った価値観も全て受け入れ、それが人間よなって考えることにした。
絵も描き始めた。自分の受けた刺激を作品に変え、作品を集めて展示会を開き、世の中にただ漠然と一石を投じる。
こういう感じで脱力した自分を操作しながら生きた。
脱力した自分はどんどん堕落していった。人生の目的や目標は消え、本当にやらなければいけないことのみをこなし、美味いものと酒が楽しみになった。
先々週、そんな脱力し、堕落した自分の内側に明るい光を灯してくれた本に出会った。
養老さんの存在はYouTubeで知っていて、たまに講演会の切り抜きやインタビューの動画は見ていたが、本を読んだのは初めてだった。
今、自分が暮らしているオランダの隅っこに住んでいるに日本人さん繋がりで、「日本へ引っ越された年配の日本人女性が大量の本を残していかれたので興味ある方はどうぞ」というような案内を受け取った。
本はありがたい。紙の本が好きだがヨーロッパ移住後はどうしてもKindleばかりになってしまう。
というわけで、本をもらいに行ったら養老さんの本が何冊かあったので3冊頂き、先日「かけがえのないもの」を読んだ。
読んだ後、自分の体内に新鮮で緑色に満ちた風が吹き込まれた。
今までの30年間、自分はすっかり都市に飲み込まれた人間になってしまっていた。
いわゆる、頭でっかちで、人との関わり合いで傷つけ傷つく自分。
もっと自然の一部であることを実感する生き方をしようと思った。
都市型人間から少しずつ自然型人間に近づいていこうと思った。
もうゴキブリを見てもビビらない。
文章が相変わらずまとまらなくてごめんなさいだけど、最近はいかに自然の一部であることを意識して毎日生活できるか模索しています。
相変わらずワインが好きです。
次回用質問 得意料理を教えてください。
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