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【CBT感想】君は無機物萌えの楽園「リバース:1999」を知っているか【最高】

お久しぶりです、表情の分からない存在が好きだけど節々の仕草に表情を感じるのが好きという矛盾を抱えるでお馴染みの餠鳥です。

皆さんはこう思ったことはないでしょうか?

「あーあ、無機物と会話して愛でてえな~」。

そう、無機物萌えです。
人外フェチのジャンルは大変複雑で、一石を投じれば苛烈な戦争になるのは必須の紛争地域のため大雑把に定義をすると、生物ではない存在のことです。
幽霊や植物を含めるか、人工知能はどうなのか、といった点で様々な流派がありますが、ここでは深く考えないことにしておきましょう。

しかし、無機物愛玩欲求はありふれた感情である事実とは反対に、非常に供給を得られる機会が少ないことは皆さんご存じの通りです。
ロボットものを見ようものなら機体が人型に改良され、かっこいい鎧の中からは美少女が出てくる。間違っている。間違っているよ、世の中は。

ところで、先日「リバース:1999」というゲームがCBTを行っていたのはご存じでしょうか?

世紀末タイムリバースRPG『リバース:1999』

これはBLUEPOCHが提供する「重返未来:1999」の日本語版で、七月に情報が公開されたゲーム(10月26日配信決定)です。独特な世界観やスマホゲームでは他に類を見ない雰囲気、そのビジュアルの作りこみようは唯一無二。文句なしにリリースが期待できる作品でした。

だが、重要なのはそこではない。なんとこのゲーム、異常に無機物キャラが登場する

まさに革命。そんなリバース:1999をCBTプレイの感想を書きつつ紹介しようと思います。ただ、世界観やゲーム性などは多分誰か他の人が書いているため、気になった方はそちらの方を探してください。
あとがきの下にゲーム内画像を沢山載せているので、中身の雰囲気だけ気になっている方は目次からそちらへ飛んでください


オシャレな無機物達


ホーム画面。画面中央に浮かぶ鏡の破片が「ドア」というキャラ。

リバース:1999のストーリーは、神秘学(アルカナム)という魔法のような力を持った人々が「ストーム」という現象から逃れようとする話である。
このストームは1999年に訪れ、以来、世界の時間が遡り続けているため、その影響を受けない主人公は遡った時代の中で神秘学家(アルカ二スト)に接触する。そして仲間を増やしたり敵と相対したり様々な困難を乗り越えていく……という構成だ。

つまり、基本的な舞台は我々の知るような世界で、ついでに超常現象的な力がある世界観なのだ。
神秘学家の間では不思議な現象は沢山起こり、リンゴがネクタイをつけて空中に浮き博識な物言いをするぐらい日常茶飯事である。

CBT時点ではよくわからなかったのだが、神秘学家的には無機物に意思があるくらい普通のことなのか、登場人物が気にしているような描写はそんなにない。本人(本物?)達も当然という顔(表面?)をしている。

無機物に限らずこの作品の中では常に洋画的な言い回しや詩的な台詞が多いのだが、無機質な見た目でありながら人間より叙情的で機知に富んだことを口にする彼らの姿は一際ユーモアがある。
人間側としての意見は「良すぎ」くらいしか出てこない。

多種多様な姿

リバース:1999で一緒に戦える仲間達は、ストーリー上1999年以前の時代で生きるもの達で、服装も違えば文化も異なる。特に無機物達は服とかそういうレベルを超越しているため、姿は全く違うし中身も個性豊か。

騎士道を重んじる紳士な鎧「ナイト」と博識なリンゴの「APPLe」を始めに、バイトに明け暮れる人工衛星「スプートニク」、使命を持つUFO(?)「ギベオンズアイ」、自分を偉大なる始祖と信じる木馬「ダーレータッタ」、様々なニュースを流す淑女なラジオ「ミス・ラジオ」などだ。

他にもテレビにとり憑いた女の子「TTT」など幽霊や純粋な人間ではないキャラも沢山いる。

ちなみに先んじてリリースしている重返未来:1999では、マジの犬が最高レアで実装している。こういうのはリリースしてすぐ実装するにはイロモノすぎると思うのだが、敢えて定番を外していく、そんな態度がオシャレゲーム足らしめているのだ。オシャレは深い。

「ピクルス」くん。かわいい。

優しき鏡の欠片「ドア」

と、ここまで色々と紹介してきたところで、こちらをご覧いただきたい。

この中央にある破片。これは先程もちらっと出てきた「ドア」である。
こんな姿だが、ちゃんと意思がある。喋ることもできれば動いたり回ったりもする。

ゲーム面で彼のことを紹介すると、このゲームの最低レアリティであり二体しかいない「星二」のキャラで、クラスはサポート単体。バトルでは主に他のキャラの支援を担当する。
ステータスやスキルも目立つところはなく見た目のシンプルさに沿った控えめな性能で、低レアリティはレベル上限も低いシステムであることから伸びも見込めず、四人編成しかできないこのゲームでは編成入りするのもなかなか難しいキャラだ。

だが、彼の最大の魅力は性能などではない。その人柄にある。

穏やかな鏡

公式でも紹介されているように彼は「口が達者なガラスの破片」で、その尖りつつもシンプルな見た目とは裏腹に、柔らかな物言いで哲学を感じさせるような話をするのだ。
更には包容力のある深い優しさ、見てないところでダーツの真似をするお茶目さ、そして心の奥に根差す暗さ。非常に複雑で鏡のように屈折した「人間らしさ」まで持ち合わせている。

筆者はリバース:1999のCBTに応募する際、「ナイト」ともう一人「ミュオソティス」に釣られ、主に世界観と雰囲気に期待していたためあまりキャラのことは気にしていなかったのだが、その期待が吹き飛ぶほどの衝撃を与えたのがこの「ドア」だった。

まず衝撃を受けたのは、彼の声である。
実に穏やかな、寄り添うように暖かい声なのだ。声質は青年的だがあらゆる経験をしてきたような落ち着いた雰囲気も感じられる。
後々調べて分かったのだが、声優の方はどうやらオーディオブックやナレーションなどもしているらしく、寝る前の子供に絵本を読み上げるかのような静かな語り口にも納得感がある。

そして、そんな声で綴られる言葉。これがまた心を包むようでいて、破片のように鋭く刺して離さない。
「もし今微笑んでくれたら、僕もきみに笑顔を返そう」と言うなど、鏡らしさを覗かせながら優しさを見せたり、時に花火を映して慰めてくれたり、自分に触れて怪我をしないように心配してくれる。
あまりに優しい。優しすぎる。全鏡の中で最も優しいに違いない。鏡界のマザーテレサだ。

時々ちょっと子供っぽいところがまた可愛くて、6-19/64x4-23/32x25/64in(16×12×1cm、ゲーム内では全員がこういったサイズ表記)サイズの鏡が浮いたり回ったりしてこれだけ色々な面を見せてくれるのはなんとも愛らしい。

「回転ッ」と言ってからクルッと回ってダーツの真似をしているボイス。小声でこっそりやってて可愛い。手の中に包み込んでズタズタになりたい。

時々映る雨

優しく穏やかな心を持つドアだが、彼と触れ合っていると所々で何やら仄暗い感情が見えてくる。

リバース:1999では好感度システムが採用されており、編成に入れるなどして好感度を上げるとボイスが解放されるほか、段階的にそのキャラの経歴などを見ることができる。

流石にCBT時点では好感度100にはできなかったものの、解放できた情報をもとに推測すると、どうやら「ドアは元々一枚の鏡で、割れて捨てられた一片だったが、ある子供に大事にされたことがある」模様。
更に「自分が人を傷付ける凶器として使用された」過去があり、それを憂いる言葉や、世の辛さを嘆く感情が時々表に出てくるのだ。

落ち込んでいるときには雨の景色が映る。

彼自身は優しい心を持ち、人に前向きな言葉をかけるような性格のためか、ついネガティブな言葉が出てきても前向きに捉えようと努めたり、それでも少し落ち込んだ結論になってしまうなど、静かな葛藤の様が見えるのがこれまた心苦しい。心臓に突き刺さっても良いから抱きしめてあげたい

辛すぎるぞリバース:1999

紹介が前後するが、リバース:1999はコマンド選択式のバトルシステムで、複数キャラを編成してランダムに配られる各キャラの技を選ぶ方式だ。
似ているタイトルで最もメジャーなのは「FGO」だと思うが、こちらは通常コマンドでも同じ技を重ねて威力アップとコマンド配布枠の圧縮ができるという少し戦略性が加わったシステムになっている。

左の三枚が通常カード。同じ種類と星の数のカードを重ねると一番右のように星の数(威力)が増え、一定数攻撃すると真ん中三枚のような「必殺技」カードが配られる。

詳しいシステムについては割愛するが、各キャラにはそれぞれの特性が表れた属性や攻撃方法を持っており、特に「必殺技」にあたるカードではキャラの個性が前面に出ている。

実はさっき少し見えていたのだが、ドアにも彼らしい攻撃方法が設定されている。

通常攻撃は特段尖った性能ではないのだが、問題はこの「巷間の宇宙へ」。
カードの絵はどれもオシャレだし、ドアはことさらキラキラしていて綺麗なのだが、このカードに限ってはなんか絵も説明も効果も全部不穏である。

実戦での光景がこちら。

なぜこんな酷いことを……?

そう、ドアはなんと「自らを犠牲にして味方を支援する」のだ。
一面の鏡が割れ、一片の欠片となり、一本の凶器となった彼が、最後に粉々に砕け綺麗な景色を生むのである。

しなくていいよそんなこと。見たくないよ。
こっちは鏡の中の花火を見せてくれるだけで充分だったんだよ。どんなに本人(本鏡)が納得して自ら望んでいたとしても、その優しさに笑う前に悲しくて泣いちゃうよ。なんでこんなことするんだBLUEPOCH許せねえ

〈あとがき・その他ゲーム内画像〉

リバース:1999感想まとめ

「しゃべるリンゴ 寝てます!」

★あとがきの下に画像を沢山貼っているので、是非ご覧ください。

ここまで色々な無機物(主にドア)のことを紹介しましたが、冒頭に書いたようにこのゲームは世界観やビジュアル面でのこだわりが凄く、ストーリー中のとあるシーンのボイス演出では慄きの感情すらありました。

1999年以前のアメリカを中心とした舞台というのはソシャゲの中でも珍しいですし、隅から隅まで独特な世界観が緻密に構成されていて、正直めちゃくちゃ好みなので「どうにか流行らないかなあ…」という感じです。
特に言い回しや随所のテキストに教養と遊び心が見えるのが好きなんですが、ちょっとソシャゲのライトさには合わないいわゆる「詩的」な文体なので、あまり一般受けしなさそうな印象ではあります。

ストーリーもCBTで出来る範囲は全部やったんですが、舞台の社会的背景なども盛り込んでいるせいかずっと重い雰囲気があって、和やかなシーンでもそういった背景が見えているせいで切ない感情が伴うように思えました。「ノスタルジー」とかそういうくくりになるのかもしれません。
ソシャゲでこういうのを見るとやっぱり成功例として「アークナイツ」を思い出してしまうんですけど、ああいった戦争物の側面がある作品と違って苛烈ではないものの、個々の人生はいくつもの障害に阻まれていて上手くいかず…という正に雨雲が広がっているようなじっとりとした質感で、個人間や組織間で勝ち負けといったエンタメチックで単純な爽快感・達成感が無いのがなんとも難しい作品です。(勿論、私は好きなんですが…)

肝心のゲーム性の方は、戦略性や育成に多少幅があり、かつレベルさえ上げれば強行突破も通るような感じなので、ずば抜けて面白いということはなくともちゃんと考えられてるなという印象ではあります。どちらかというとストーリー目当てのプレイヤーに配慮してる感じ。
UIもオシャレながら利便性を押さえるべきところも押さえているし、素材から直接ドロップステージに飛べたり、周回機能とか基本的だけど地味なとこにも配慮が見えます。

ただちょっと、一旦育てるとやることがないというか…もしかしたらCBTでは逐一素材が配布されてたからかもしれないんですが、ストーリーが終わってから育成もすぐに終わって手持ち無沙汰になってしまったので、ストーリー配信やイベントの頻度によっては飽きが来るかもしれません。

TGSにも出展していたので行ったんですが(上の画像はその時のもの)、配布物のチラシが新聞紙風で、更に紙質がしっかりこだわったものだったりして、こういったところでも世界観を意識している姿勢は凄い好感があります。

喋って動く無機物キャラを大量に出すところとか、他のソシャゲに比べるとだいぶ愛嬌が無いしとっつきやすさも無いですが、何度も言うように世界観の独特さとそれを成立させ引き立てる演出力は凄まじいので、大人気にならなくともコアなファンに長く愛される作品になって欲しいです。

あと最低レア無機物コンビであるドア&ミス・ラジオも人気になって欲しい。FA求む。

UI等基本画面

始まってすぐのプレイヤー名入力画面。主人公は左の少女ヴェルティで固定。
ホーム画面。ヴェルティの持つトランクの中という設定。背景は動いており、画面変移時ランダムで雨が降る。
ストーリー選択。ポスター風でこれまたオシャレ。
キャラ図鑑。五つの属性に分かれている。正直、この画面見たとき「俺の負けだ…」となった。
図鑑の中身。各キャラのサインが可愛い。
メール。はがき風でどこまでもこだわりが見える。
プレイヤープロフィール。下の駒は図鑑の各属性登録率を表している。三章で登場人物がチェスの駒にたとえられていたので、もしかしたらキーワードなのかも?
ストーリーステージ。ストーリー進行に合わせてステージの駒などが動いていく。他の画面と違っておもちゃを思わせるキュービックなデザインで可愛い。
ステージ中のテキスト。たまにこういった大筋から外れた枝にある情報を出してくれる。好きな人にはたまらなくて、時間がいくらでも溶けていく魔のテキスト。
こういった軽い謎解きのようなものも出てくる。マッシーピーって何?

キャラ周辺画面

ガチャの排出画面。このキャラはメインストーリーでも会える「X」。
ガチャなどで見られる詳細画面。メディスンポケットは一見大人しそうな見た目だが覚醒絵は中々人気になりそうなキャラの風格がある…。
普段見られる詳細画面。情報量は多いが、分かりやすくまとめられていて見やすい。
ナイトの覚醒絵。めちゃくちゃ良い。最高。この布のたるみが生むナイトの存在感と、指先まで鋼鉄に包まれながらも生命感まで覚えさせる優美で高貴な所作。素晴らしい。思わず自分も跪いてナイトとイラストレーターに忠誠を誓わずにはいられない。ついでにマントを口に含みたい。概念上の靴も舐めたい。
スキン変更画面。持ってなくても全体を見せてくれるのは何気に嬉しい。

ストーリー、演出、他

基本的なストーリー画面。フルボイスでキャラも動くので臨場感がある。
途中で挟まるスチルやムービーも高品質。ところで上でも名前を出したこの「ミュオソティス」、他のキャラは名前の横に英語表記が書かれているのに対し、彼は「Myosotis」ではなく「Forget Me Not(勿忘草)」で、英名兼花言葉になっている。オシャレすぎません?
随所で素晴らしい音声演出が入るので、ストーリーを読むときはぜひじっくり聴いてほしい。ボイスは他の言語に設定することができて、特に英語版はキャラの訛りにもこだわっているようなので、無限に楽しめる。
ナイトの攻撃演出。端から端までオシャレな作品だが、光の表現は特に神秘的で印象に残る。
バトル画面。一番右には控えのキャラが表示されるのだが、どのキャラもこの時限定で個性的な姿を見せてくれるので、色々なキャラを編成したくなる。この画面で控えているのは勿論ドア(トランク内=ホーム画面の背景なので、窓とその向こうが反射して映っていると思われる)。

事前登録受付中 | リバース:1999 (bluepoch.com)
リバース:1999【10月26日配信決定】(@Reverse1999_JP)さん / X (twitter.com)

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