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【声劇台本】吊し上げデスゲーム 第一幕

登場人物(男:5、女:3、不問:1)

・主人公/男
20代男性。大人しく冷静な性格だが、時として残酷な面を見せる。連続殺人鬼。

・メイラ/女
20代女性。気が強く短気な元ピアニスト。放火魔。

・マサキ/男
30代男性。温厚なムードメーカーな警察官。汚職、情報漏洩。

・アキ/男
30代男性。事故中心的で横柄な性格の童顔低身長な大学教授。誘拐、殺人犯。

・ハジメ/男
30代男性。消極的で臆病な性格の無職。殺傷事件の通り魔。

・トウカ
20代女性。楽観的な女優。役作りで何故かキョンシーの格好をしている。殺人・傷害。

・キキョウ/女
30代女性。物腰柔らかな小説家。常に和装。殺人容疑・死体遺棄。

・ユキミツ/男
10代男性。爽やかで礼儀正しい生徒会長。殺人容疑・教唆・死体遺棄。

・ネコ/不問
猫のぬいぐるみの司会進行役。おちゃらけた動作をして振り回す。

【時間】約1時間
【あらすじ】
目が覚めたのは薄暗い施設。自分の他には数名の男女。その時、猫のぬいぐるみが喋りだす。ネコ曰く、犯罪者を炙り出すゲームをしてもらうと。みんなの顔が強張る中、1人の男が反発する。ネコは銃を取り出し、一発撃ち出した。弾は外れたが、それの威力は言わずもがな…。みんな、逃げられない事を悟った。


【本編】


「もし自分が間違っていたと素直に認める勇気があるなら、災いを転じて福となすことができる。
デール・カーネギー」

主人公「絵空事だ…。罪も間違いも感じていないのならそれは僕にとっては正解なのだから…だれが不正解を教えくれる?君は…僕を本当の正解に導けるかい?」

「プレイヤーナンバー1、気の強い女性メイラ様。
プレイヤーナンバー2、臆病な中年ハジメ様。
プレイヤーナンバー3、温和な警察官マサキ様。
プレイヤーナンバー4、和装の女性キキョウ様。
プレイヤーナンバー5、童顔の数学者アキ様。
プレイヤーナンバー6、聡明な学生ユキミツ様。
プレイヤーナンバー7、僵尸姿の女性トウカ様。
そして、プレイヤーナンバー8………」



ネコ「グッドモーニング!エブリワン!にゃーんちゃって〜!」

主人公「うるさ…何だ?ここは一体…?」

ネコ「やぁっと目覚めたか最後の一人〜!貴方の目覚めをずっと待っていたのですよ〜!?」

主人公「…猫のぬいぐるみ…?喋ってる!?」

ネコ「喋りますよ〜?なんたって私は世界最新技術で作られた最高のぬいぐるみ!IA機能搭載、自動走行可能、相手の脈拍の計測、おまけに万歩計ついてます!」

主人公「…はぁ」

ネコ「まだ聴きたいですか?自爆機能から検索機能まで…」

メイラ「うるさい!最後の一人が目を覚ましたでしょ?さっさと私達を連れてきた訳を話してよ」

主人公「え?」

マサキ「君、大丈夫?」

主人公「え?えっと…」

マサキ「困惑するよね…。いきなりこんな廃墟みたいな所で目を覚ますんだから。僕ら全員同じ状況だよ」

主人公「…何処だここ…?それに人がこんなに沢山…」

キキョウ「無理もありませんわ…私達全員初対面さんばかりで、目が覚めたらここにいたんですもの」

ハジメ「俺、部屋で寝ていたと思っていたんだけど…記憶が曖昧で…」

トウカ「それ、ワタシも同じネー!夜だからベッドで寝てたヨ!」

ユキミツ「僕も…明日も学校だし、寝てたと思う…」

アキ「共通点にはならないだろうけど、皆寝てる所で連れて来られたんだな…俺もコレクションルームで仮眠とってたし」

ネコ「その通り!皆さんが寝てる所を見計らって連れ去りました〜!いやー、スムーズにいってよかったにゃ〜ぐえっ!」

メイラ「いいから目的を教えなさいよ。もしくは出口を話せ。このまま引き千切るわよ」

マサキ「落ち着いてお嬢さん?首を絞めないの…流石にこの子を壊したら余計面倒な事になりそうじゃない?」

メイラ「チッ…」

主人公「でも、何でこんな所に…僕らは一体何で集められたんだ?」

ネコ「それは自分の心に手を当てて考えてみて下さい〜これ、このように」

メイラ「はぁ!?」

トウカ「…思い浮かばないアル」

キキョウ「本当に胸に手を当てなくてもよろしいんじゃなくて?」

主人公「何かしらの共通点とかあるってこと?」

ネコ「それは追い追い分かる事です…それよりゲーム内容について説明しましょうか」

主人公「ゲーム?」

メイラ「ふざけてんの!?」

ネコ「ノンノンノン!至って真面目!これから貴方達八人には犯罪者を炙り出すゲームに参加して頂きます!」

主人公「犯罪者を…炙り出す…?」

ユキミツ「どういう事…?」

ネコ「なんとこの中に犯罪者が潜んでいます!それを見つけ出して頂きます」

ハジメ「犯罪者…!?」

マサキ「この中に犯罪者が…?」

トウカ「いやー!怖いヨ!誰アルか!?」

ネコ「此方をご覧ください」

キキョウ「何ですか…?幕…?舞台みたいですね」

ネコ「パパーン!」

幕が開く

主人公「え?何あれ…」

メイラ「女の子?…もしかしてこれって」

ネコ「第一幕、か弱き幼女、永久の美!の巻〜。ようはホルマリン漬けの幼女の遺体でございます〜。あ、これは精巧に再現された人形なんですけどね」



ユキミツ「悪趣味だね…」

アキ「で、これが何だ?」

ネコ「皆さまそこまで驚かないとは流石ですね〜」

アキ「何がいいたい?」

主人公「……」

ネコ「いえいえ別に〜?」

ネコ「では、この遺体を作り上げた犯人を探して下さい!制限時間は12時間。この部屋以外にも寝床や食堂、バスルームやヒントが多くあるかもしれない特殊な部屋などいくつかあるので、そこで証拠を集めて来て下さい!」

マサキ「なんだが、謎解きゲームみたいだね」

メイラ「犯人って探す必要あるの?」

ネコ「そりゃありますとも!犯人はバレたら処刑されるんですから」

ハジメ「しょ、処刑!?」

ネコ「そりゃそうでしょー?罪を突きつけられて堂々と生きていられるとでも?」

主人公「犯人はバレたらいけないって事?」

ネコ「そうですね〜死にたくなければ…」

マサキ「…もし間違った人を犯人だときめつけちゃったら?」

ネコ「その時はその人を処刑します」

キキョウ「え?それはおかしくはありませんか?罪を突きつけられて罰を受ける人が違うなら冤罪ではありませんか!」

ネコ「それは犯人を見つけ出せなかった君達が悪いでしょ?私は関係ないにゃ〜」

ユキミツ「…聞く耳持たずって感じだね…」

メイラ「ふざっけんじゃないわよ!ぬいぐるみの分際で!さっさと舞台から降りて来なさいよ!踏み潰してやる!」

ハジメ「ちょ、ちょっと…」

トウカ「お嬢ちゃん、落ち着くアルよ」

メイラ「落ち着いていられないでしょ!?寝てる間にこんな所に連れてこられて犯罪者を探すゲーム!?平静でいられるあんたら正気なの?」

マサキ「正気ではないよ…?ただ現状どうにも出来ないじゃない…」

主人公「確かに…不本意だけどそのネコのぬいぐるみの話を一応聞いとこうかと…」

メイラ「じゃあそのぬいぐるみに無理やり出口聞こうとするのが悪いことかしら?」

主人公「それは…」

メイラ「ほら、さっさと教えなさいよ!」

ネコ「…はぁ。メイラ様は短気な方ですね」

ネコ、銃を取り出す

メイラ「え?」

ネコ「ご自分が置かれてる立場をご理解ください」

主人公「危ない!」

バンッ

メイラ「………っ!」

アキ「え、撃った…?」

ハジメ「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁ!!」

ユキミツ「え!?おじさん!?」

ハジメ「い、いてぇ!う、腕がぁ!」

ネコ「あらら、メイラ様に当てないようにしたら後ろにいたハジメ様に当たりましたか?申し訳ありません」

トウカ「謝ってないアル!下手したら死んでたヨ!」

ネコ「えぇ、犯人みつかろうと見つからなかろうと誰かが死ぬのです。ゲーム開始前でよかったですねぇ」

キキョウ「…本当にやらせるつもり?」

ネコ「はい。死にたくなければ犯人を見つけて下さい。そして、死にたくなければ、誰かに罪をなすりつければ良いのです…」

主人公「そんな事…」

ハジメ「う、……うぅ。」

主人公「…嘘だろ」

ネコ「それでは、第一幕…開演でございます!」


医務室

主人公「大丈夫ですか…?えっと…」

ハジメ「た、高倉ハジメ…」

マサキ「ハジメさん撃たれた所は深くないですから安静にしてれば大丈夫ですよ」

ハジメ「ありがとう、マサキさん…」

マサキ「いえいえ医者ではないですけど、これくらい任せて下さい」

主人公「でも、この医務室も見た目は廃墟みたいですけど、備品は完璧に揃ってますね…」

マサキ「なんかこういうのってアレみたいだね…」

主人公「あれ?」

マサキ「ほら、最近流行りのデスゲーム」

ハジメ「で、デスゲームって…リアルで出来るわけないじゃないか…」

マサキ「まぁ、そうですよね…でもあの喋るぬいぐるみも生活用品が完璧に用意されてる所も…そしてあの銃も…そう思ってしまう要因が多いってだけです。本当に人殺しが出来るんでしょうかね」

ハジメ「で、でも…本物だったろ?…あの銃…」

主人公「そうですね…少なくともあの銃は本物でしたよ。でないと、ハジメさんが怪我する意味が分からない」

マサキ「……だよね。じゃああのホルマリン漬けの遺体を作った犯人を見つけないといけないのか…」

ハジメ「あんな事する奴が俺たちの中に本当にいるのか…?」

主人公「ヒントや証拠があるそうですから何かしら探さないといけないんでしょうか」

メイラ「正直、見た目的な意味合いで一番怪しいのはあんただけどねおっさん」

マサキ「あ、メイラちゃん」

主人公「憶測で物を言うのはどうかと思うよ…」

ハジメ「そ、そうだぞ!俺が犯人だって証拠があるのか!?見た目で人を判断するな!そもそもお前の流れ弾が俺に当たったんだぞ!?謝罪とかないのか!」

メイラ「何で謝んなきゃいけないのよ?誰が犯人か分からないのに。悪いけど証拠を見つけないと私はあんたを疑い続けるかもよ?じゃあね」

ハジメ「な、何だあの女…!」

マサキ「あれは探すのが面倒なんだろうね…僕たちで犯人探し頑張ろっか…?因みに君達は犯人じゃないよね?」

ハジメ「当然だ!俺は性癖はノーマルだぞ!」

主人公「僕も…証拠がない時点では誰が怪しいか分からないでしょうが…」

マサキ「そうだね…遺体が幼女だから…男性に絞って捜査してみようかな…」

主人公「僕も、探索してみます。ハジメさんは…?」

ハジメ「俺はもう少し休む…俺は犯人じゃないから!信じてくれ!」

主人公「…分かりました。取り敢えず前提として考えてみます。ですがもしそれが嘘なら…」

ハジメ「うっ……」

主人公「まぁ、探索次第ですし、犯人なら証拠を消そうと動くでしょうから…例の裁判タイムって時になってからですね」


主人公、一人で探索へ

主人公「あ、見取り図だ…。三階建てか…三階は最初にいた舞台があった部屋だけか…。裁判タイムもここでするって言ってたな…二階は…」

キキョウ「主に参加者が寝泊まり出来るベッドなどがある部屋がありましたわ」

主人公「キキョウさん!」

キキョウ「覚えてくれて嬉しいですわ」

主人公「いえ…でも確かに、大きいめのベッドルームが2つにトイレやシャワールーム…生活するのには十分な作りですね」

キキョウ「一階にはキッチンや食堂なんかもありますね…数日は逃がさないつもりなのかしら」

主人公「本当に何の目的で僕らを…」

キキョウ「私達に犯人を探させる理由も分かりませんわ…」

主人公「え?」

キキョウ「だってそうでしょう?あのネコさん、あの遺体の人形や犯人の証拠を用意したのなら犯人はわかってる筈ですわ。それなのにわざわざ証拠を隠しただなんて…おかしな話しですわ」

主人公「そうか…そう考えれば確かに…」

キキョウ「本当に犯人を捕まえる気があるのかしら…」

主人公「捕まえる…?」

キキョウ「?…だって、流石にすぐ殺すなんて物騒ですわ。マサキさんって警察官でしたよね?何か知ってるんじゃないでしょうか?」

主人公「そんな風に見えなかったけど…そうだよね…処刑なんて…本当にする訳…ない、よね?」

キキョウ「そうですわ。なので、証拠を集めて犯人を見つけて、脱出しましょう!」

主人公「うん…そうだね」

キキョウ「では、私はこれで」

キキョウ、去る

主人公「本当にそれだけ…かな?」


主人公、探索中

主人公「ここは…図書室なんてあるんだ。あ、あれは…」

アキ「ん?なんだ青年。ここには何もなかったぞ」
主人公「アキさん。お一人ですか?」

アキ「悪い?俺は大学の講師やってるけど、学者らしく一人で没頭して研究するのが好きなんだよ。学生どもはうるさくて仕方ねぇ」

主人公「アキさんは数学者でしたっけ…先生なんですね、今は何を?」

アキ「見てわかんねぇ?本を読んでるだけ」

主人公「む、難しそうな本ですね…」

アキ「馬鹿は読めんさ」

主人公「先生らしからぬ発言ですね…それより、アキさんは証拠探ししないんですか?」

アキ「する意味ある?あんな訳わかんねぇこと言われて本気にしてんの?馬鹿だなぁ。これだから最近の若者はくだらないことを鵜呑みにする」

主人公「ですが、ハジメさんが撃たれたのは事実
ですよ」

アキ「ハハッ!あそこであのぬいぐるみがハジメを殺してたら血眼になって探してたかもな?ただ牽制したいだけだろ。本気にするな」

主人公「……」

アキ「分かったら本読んでようぜ。ここ、色んな本がある…興味深い」

主人公「そう、ですか…」



ユキミツ「あれ?アキさん!」

アキ「ん?ユキミツ君か」

主人公「ユキミツ君」

ユキミツ「あ、貴方もいたんですね」

トウカ「私もいるヨー!」

アキ「うるさ…トウカ、つったっけ?てか、何だよそいつの格好…」

トウカ「私キョンシーアル!最強の女キョンシーよ!」

ユキミツ「コスプレか何かですか?」

トウカ「違うよ!私キョンシーよ!本物あるよ!」

アキ「なりきってんの…?」

主人公「トウカ……もしかして、片那瀨(かたなせ)トウカさん…?」

トウカ「あいやー!お前私の事しってるアルか」

アキ「知り合い?」

主人公「い、いえ…一方的に知ってるというか…トウカさんは女優さんなんです」

ユキミツ「女優!?」

アキ「片那瀨トウカ…聞いたことあるようなないような…」

トウカ「仕方ないアル。私主演務めた事はないしバラエティも全くネ!でも、最近ドラマや映画で出番増えてきたアル!感謝感謝ネ!」

主人公「トウカさんは役の入り込みが凄いんです!本当にその人になりきるために性格や口調を真似るだけじゃなく部屋の内装まで変えてプライベートまでそのキャラになって生活してるんです!」

アキ「お前ただのファンか…」

ユキミツ「でも、凄いですね…そこまでの心意気でやるなんて…」

主人公「もしかして、その姿も次の撮影のキャラですか?」

トウカ「アイ!特別に教えてあげるネ!私遂に主演よ!」

主人公「主演!?おめでとうございます!」

トウカ「主人公のキョンシー少女が人を襲いまくってるととある青年が現れてキョンシーと恋をする恋愛映画ヨ!タイトルは恋するキョンシー!原作沿いアル」

アキ「なんだそのクソ映画」

主人公「見に行きます!」

ユキミツ「…原作は読んだことあるけど…それ最終的にキョンシーの女の子が嬉々として青年を食い荒らして終わる話じゃなかったっけ…?」

アキ「なんだその話…」

主人公「ユキミツ君!ネタバレしないでくれ!」

ユキミツ「す、すみません…!」



アキ「つか、お前らも証拠探し?ここには証拠になりそうなものないぜ」

ユキミツ「本当ですか?本が多いので何かヒントになりそうな文献がないかと思いまして…」

トウカ「そうアル!ホルマリン漬けに関する本ないアルか?」

主人公「あるかな…そんな本」

アキ「小説の中だけだろ。ホルマリンなんて簡単に用意出来る代物じゃないだろし。しかも小さいとは言え子供を入れれる位のサイズだ」

ユキミツ「うぅん。確かにそうですね」

トウカ「金持ちの道楽って奴アルか?」

主人公「そういう問題なのかな?」

トウカ「誰アルか金持ちー?」

アキ「…ユキミツ君の服って…金持ち高校の制服じゃない?めっちゃ有名な所…」

ユキミツ「え!?」

トウカ「犯人ユキミツアルか?」

ユキミツ「なわけないじゃないですか!…確かに僕はその高校の生徒ですし、理事長の息子です…金持ちって言われるのも仕方ありませんが…」

主人公「す、凄いんだねユキミツ君…」

ユキミツ「だけど、それだけで犯人と決め付けないで下さい!年端もいかない可愛い弟妹がいるんです。屈辱的です!」

アキ「悪い悪い。冗談だよ」

主人公「……探索をしたいので、失礼します」

主人公、去る



主人公「何も収穫がないな…探す必要もないのかな?…でも万が一僕自身が疑われたら堪んないな…ん?ここは…教室…?こんな部屋まであるのか」

メイラ「あら、あんたも来たの?」

主人公「メイラさん…」

メイラ「犯人探しする気はないけど、暇だからウロウロしてたの。そしたらこの部屋を見つけたわ」
主人公「同じく…」

メイラ「ふぅん。見てこれ」

主人公「ん?机と椅子が並んでるだけじゃない…?何これ名前が書かれてる?」

メイラ「私達八人の名前が書かれてるわ本当キモいわねこの部屋」

主人公「…黒板もなんだか意味深だね。もし自分が間違っていたと素直に認める勇気があるなら、災いを転じて福となすことができる」

メイラ「デール・カーネギーって私知らないわ」

主人公「これは…自白しろって事なのかな?」

メイラ「ふんっ!何よ、あのクソネコと言ってる事逆じゃない。犯人探ししろとか言ってんのに自白しろって…頭おかしい!」

主人公「自白ねぇ…」

メイラ「あら、何これ」

主人公「どうしたの?」

メイラ「机の中から紙が出てきたわ…。他の机からは何も出てこなかったのに…」

主人公「誰の机?」

メイラ「……時宮マサキ…。あの警官の机…」

主人公「え!?マサキさんの」

メイラ「はぁん。あいつの机から出て来るなんて怪しいわね…謎解きなんて興味無かったけど面白いじゃない」

主人公「内容は?」

メイラ「えっと…新聞記事かしらこれ」

主人公「見せて?……幼女連続失踪事件?12歳以下の幼女が失踪…犯人は見つかってないみたい」

メイラ「……まさかあのホルマリン漬けの人形の遺体ってこの事件の?」

主人公「だとしたら、警察も捕まえられてない犯人がここに…?」

メイラ「でもこれがマサキの机にあったんだからあいつが犯人ね?…自分が警察だから揉み消してるのかしら…温和そうに見えてやる事やってるわね!」

主人公「……本当にそうかな?」



マサキ「何が?」

主人公「うわぁ!」

メイラ「きゃあ!出たわね犯人!」

マサキ「え?何が?僕が!?何で?」

メイラ「これよこれ!この記事があんたの名前が書いてる机の中にあったのよ!」

マサキ「…それだけで僕が犯人だと?」

主人公「まだ、捜査中ですよ…メイラさん一回落ち着こう?」

メイラ「チッ…違うのかよ」

マサキ「で、これは?」

主人公「幼女連続失踪事件の新聞記事です。もしかしたらあの遺体と関係あるのかも」

マサキ「成る程……確かにこれはあの事件の記事だ…僕も記憶してるよ。地域は違えどパトロール強化をきつく言われたよ」

主人公「マサキさんはこの事件に関わりとかないんですか?」

マサキ「1つの事件に警察全員が構ってられないよ。僕は交番勤務だし、この事件が起こった地域から結構離れてるよ」

主人公「そうなんですか」

マサキ「でも、この事件は少し知ってるよ。確かその地域の小学校の女生徒が被害者だ。五人くらい行方不明になってた筈…。治安的にもあまり良いといえる所じゃなかったけどあの一件以来警備強化されたって聞いたよ」

メイラ「ふぅん…」

主人公「…その地域に住んでる人が怪しいですかね?」

メイラ「私は隣の県に住んでるから違うわよ」

主人公「僕も、少し離れた地域暮らしです…」

マサキ「……この小学校の近くって大学があるところだよね?」

主人公「…え?まさか」

メイラ「アキとかいうあの童顔…大学の先生やってたわよね?」

マサキ「でも、彼がその大学勤務とは限らないよ」

主人公「…ん?あれはなんだろう」

メイラ「どれ?」

主人公「部屋の隅…メモ帳?」

メイラ「あぁ、色々見る所ありすぎて小さいものに目がいかなかっわ」

主人公「うぅん…。ちょっと読みにくいなぁ。走り書きって奴だ」

メイラ「うわっ、汚ねぇ!」

マサキ「独特な字だね…これって」

主人公「女の子の名前…?こんなに沢山…」

メイラ「ちょっと待って?ここ見てよ、名前の前にチェック印がある!あ、ここも!」

マサキ「……この子の名前、あ!被害者の名前だ!」

主人公「本当ですか!?」

マサキ「間違いなよ…流石に全員を完璧に覚えてはないけど、変わった苗字の子だなぁって覚えてた!でも…うぅん、読みにくいなぁ…」

メイラ「嘘くさい…」

主人公「でも、これは決定的な証拠だね」

メイラ「でも、誰が犯人になるのよ」

マサキ「そうだねぇ…独特な字だから癖字がある人が怪しいかな?」

メイラ「じゃああの親父だ!あいつ字汚そう!」

主人公「それってハジメさん?」

メイラ「ちょっと紙とペン探して何か書かせるわ!」

マサキ「あ、メイラちゃん!はやっ!」

主人公「あの人見た目で判断してる…」

マサキ「でも、実際文字をかかせるのはどうかな?」

主人公「え?何故ですか?」

マサキ「だっていきなり何か書けって言われたら怪しまれるし、意識的に少し丁寧に書いてしまうかもしれないでしょ」

主人公「あ、そうか…特にあんな威圧的な人に言われたら…ちょっと怖いかも」

マサキ「このメモの癖字…自然に書いたものっぽいし直接書かせるのは厳しいね」

主人公「癖字が出るように自然に書かせる方法か…」

マサキ「取り敢えず、もう少しヒントになりそうなものを探そう」

主人公「はい」

①①
主人公、廊下を歩く

主人公「癖字か…」

キキョウ「あら、何か見つかりまして?」

主人公「キキョウさん…い、いえ…これと言って特に何も…」

キキョウ「?何だか怪しいけれど、まぁいいでしょう」

主人公「キキョウさんこそ何かありました?」

キキョウ「さぁ、どうでしょうね?」


主人公「あはは…。ん?ここは倉庫ですかね?」

キキョウ「そうみたいですね。古びた家具が沢山…きゃっ!」

主人公「どうしました!?」

キキョウ「あ、失礼…紙を踏んでしまい、軽く滑ってしまいました」

主人公「転ばなくて良かったですね」

キキョウ「あぁ、こんな所に紙があったんですね」

主人公「え?キキョウさん?」

キキョウ「あぁ!我慢できない!アイデアを吐き出したい!!」

主人公「え?えぇ!?」

キキョウ「あ!しまった!またやってしまいましたわ…」

主人公「……キキョウさん?」

キキョウ「お恥ずかしい…私作家をしておりまして、考えていたアイデアを何かに纏めたかったんですの…こういう状況でも紙とペンがあるとつい…最近はスマホやタブレットを使ってましたのに…やはりアナログはアナログで素晴らしい…!」

主人公「いえ、そういう所ではなく…へ、へぇ…達筆ですね…」

キキョウ「あぁ、幼少の頃に字の練習をしてましたし、最近までアナログ派でしたので」

主人公「そうですか…」

アキ「うるせぇぞ!何してやがる!」

キキョウ「アキさん!」

主人公「アキさん…何故ここに」

アキ「あ?俺は2時間位前にここに来たんだよ。あー!てめぇ、俺の数字に何書いてやがる!」

キキョウ「え?あ、あら…よく見たら裏面に何か書いてますわ!」

アキ「図書室がトウカのせいでうるせぇから一人になれる場所に移ったんだよ!」

主人公「うわ、大量の紙がサークル状になってる…!ドラマでしか見た事ない演出みたい…」

キキョウ「もしかして、地べたで書いてらっしゃったの?大きめの家具が多いから死角になってたのね」

アキ「俺の研究を邪魔した挙句俺の数字の裏っかわに落書きしやがって…!」

キキョウ「ら、落書きはどちらかというと貴方の方でなくて?あの…言いづらいですけど字を書くのが上手くないのでは?」

主人公「え?」

アキ「うるせぇ!生徒の前ではまだマシだよ。偶に文句言われっけど…。くそっ、二十歳前後のガキどもは調子にのるから好かん…!ふざけやがって…!」

主人公「この字……」

キーンコーンカーンコーン

ネコ「只今より裁判タイムに入ります。皆さま三階にお集まり下さい」

①②

ネコ「皆さまお集まり頂きありがとうございます〜」

マサキ「あれ?人数足りなくない?」

トウカ「本当アル!えっと…」

ユキミツ「ハジメさんとアキさん…?」

ネコ「にゃあ…まったく時間厳守なんですから…」

ハジメ「お、遅くなった…」

アキ「チッ…授業じゃねぇんだから別にいいだろ」

銃声

主人公「……え、」

ネコ「時間厳守ですよ…。次遅れたら当てますよ」

ハジメ「ご、ごめんなさいっ!」

アキ「チッ…ふざけやがって」

ユキミツ「ちょっと!ハジメさんはあんたのせいで怪我したのに…、」

ネコ「さぁ、第一幕の裁判タイムを開始しますよ〜!」

主人公「本当に始まるのか…」

①③
開始の合図として明るいBGM

ネコ「レッツショータイム!か弱き幼女、永久の美の巻!犯人糾弾タイムでございます!怪しいと思う人物を皆様で相談して選んでください。半数以上がその方が犯人だと納得したらその方を処刑いたします!」

マサキ「始まったね…」

キキョウ「だ、誰が犯人なんでしょう」

ユキミツ「取り敢えず、誰か怪しいと思う人はいますか?」

主人公「どういう風に進行すればいいのか分からないから難しいな…」

トウカ「うぅん…私はギブアップよ〜。キョンシーあまり頭良くないね…」

メイラ「じゃあ私いくわ!ずばり怪しいのはこのおっさんよ!」

ハジメ「お、俺!?」

メイラ「一番ロリコンっぽいし」

マサキ「またメイラちゃんは見た目で判断して…証拠はあるのかい?」

メイラ「証拠ねぇ…」

主人公「ないなら黙っててくれ…」

マサキ「まぁ、まずあの遺体から紐解いていこうかそれについては…君も知ってるよね?」

主人公「あ、あの新聞記事ですね?えっと…これです!」

キキョウ「幼女連続失踪事件…五人の女の子が行方不明…この事件があの遺体と関係が?」

ユキミツ「…あの遺体が被害者ってこと?」

主人公「もしこれがこの幕のヒントなら僕やマサキさんはそう考えている」

ハジメ「うん…。行方不明の女の子の年齢とあの遺体の女の子と同じくらいっぽいね」

トウカ「だとするトこの犯人がイルって事アルか?」

マサキ「だと思うよ…でも、この犯人見つかっていないんだよね…。僕は捜査状況はよく分からないから犯人の目星も付いているのかも分からないよ」

トウカ「使えない警察アルな!」

主人公「マサキさんは交番勤務で事件が起きた所に住んで無いらしいから…」

キキョウ「でも…警察が捕まえられてない犯人がここに連れて来られてるなんて…有り得るのかしら?」

アキ「知らね…」

ユキミツ「アキさん犯人探す気ないの?」

アキ「じゃあ誰が犯人なんだよ?遺体に関する事件は分かったが容疑者がいねぇじゃねぇか」

マサキ「うん…そうだね…」

アキ「だろ?容疑者を挙げねぇと、犯人だろうが犯人じゃ無かろうが一番怪しい奴がでっち上げられる」

メイラ「あぁ、じゃあこのオッさんか」

ハジメ「また俺なの!?」

主人公「頼むから君は黙っていてくれよ…」

トウカ「それとも、ハジメが犯人の証拠アルのか?」

メイラ「うーん…犯人だって言いたいんだけど…このおっさん以外と字が綺麗だったしなぁ…」

ユキミツ「字…?」

キキョウ「何の事でしょうか?」

①④

マサキ「あぁ、もう話しちゃうんだ…。めぼしい情報がないから皆んなの話を聞いてからにしようと思ってたのに…」

主人公「あのメモ帳の事ですね」

アキ「メモ帳だと…」

主人公「僕とマサキさん、メイラさんが見つけました。これです」

ユキミツ「普通の手記の様に見えますが…それが何か手掛かりになるのですか?」

主人公「このメモ帳…恐らく犯人が書いた物だと思います。ここに名前が書いてるでしょ?女の子の名前…」

トウカ「きったねぇ字!?」

ハジメ「はっきり言うな…でも、確かに走り書きで読みにくいな…」

キキョウ「ここに書かれてるのが被害者である女の子の名前なのですか?」

主人公「確証は…マサキさんが被害者の名前を覚えてるってだけなんだけど…。さっきも言った通り、これがヒントになるならそれが確証だ」

アキ「弱いだろ」

メイラ「あ?」

アキ「これがどういう意図でやるのか分かんねぇけど、それだけで犯人が決められてたまるかよ?」

ハジメ「…何でそこまで反対的な意見を言うんですか…?まだ容疑者を絞り込んでもいないのに…」

アキ「なんだい?文字のくだりで自分が犯人じゃないって確信して強気か?」

ハジメ「そ、そんな事は…」

マサキ「自分が犯人だからそんなに態度を取るのかな?アキさん…」

アキ「は?」

マサキ「貴方一人だけだよ。今の論点とズレた発言をしてるのは…」

主人公「確かに…今はメモ帳の癖字の話をしてるのに、何で犯人がどうって事になるんだ?犯人が分かっててその発言ですか?」

アキ「…俺を揺さぶってんのか?」

主人公「どうでしょう?そのまま尻尾を出してくれても構いませんよ。数学教授なら知識は豊富でしょ?理系の方はどうです?」

アキ「専門知識は最低限さ。しかし誰だって人を殺せるし、肉体の保存方法位考えれば出来る。やるかどうかは当人次第だがな…」

メイラ「あんた、犯人の肩を持つ気?」

アキ「そういう訳じゃねぇよ。くだらねぇ探偵ごっこなんてつまんねーって言ってんだ」

ユキミツ「…全然話が進まない。誰が犯人なんだよ…」

主人公「………」

①⑤

ネコ「どうです〜?話は進んでますかー?」

アキ「平行線だな。このままじゃ誰が死ぬんだ?」

ネコ「個人で怪しいと思ってる人に投票すればいいんじゃにゃ〜い?」

メイラ「…さっきまでおっさんが怪しかったけど、今じゃ童顔親父が超怪しいわ…」

アキ「憶測だけで犯人扱いすんじゃねぇよ。まずは容疑者を上げろよ」

主人公「……アキさん、貴方こそ何かないんですか?何もないのに反対意見ばかりで輪を乱してる。確かにこれは馬鹿げた探偵ごっこと思ってしまう…でも、ここから抜け出すには話し合いをする必要がある。独りよがりで貴方は誰の話も聞いてないじゃないか!」

アキ「………俺に意見するのか?クソガキぃ…」

主人公「意見…?証明です。貴方が犯人だって証明してあげますよ」

ハジメ「え!?」

メイラ「マジで言ってるの?」

キキョウ「アキさんが…犯人?」

アキ「……ふざけんなよ?てめぇ…」

主人公「俺は決定的な証拠を見つけました。貴方は字が綺麗ではない」

アキ「いきなり酷い事言うじゃねぇか?ボケかまして外れたなんて笑えねぇぞ?」

主人公「貴方さっきまで紙に数字を書いてましたね?これです、一枚パクってました。これを見る限り字が上手ではないのは明白…」

キキョウ「そういえば、そうでしたわ!」

アキ「数字と文字はまた書き方が変わる。走り書きなら汚くて尚更だ」

メイラ「開き直ってんじゃないわよ!」

主人公「では、このメモ帳のここ…読めますか?」
アキ「は?……雲母(うんも)…詩織(しおり)」

マサキ「え?しおり?…ちょっと待ってこれしおりって読むの!?字潰れすぎて読めないでしょ!え?このちょっとくねくねした線って糸辺!?ふざけるのは顔だけにしてくれない!?」

アキ「はぁ!?ふざけてんのはお前だな、警察官!が、がんばりゃ読めるだろ!」

マサキ「っていうか、雲に母でうんもって読めるけど、この子の苗字はきららだよ」

アキ「え、」

マサキ「きららって苗字なんだ、珍しいなーって思ってたからね」

アキ「あ、え…」

ハジメ「読み間違えた?なのに、マサキさんが読めなかった所は読めたんだ…」

アキ「…っ、それがなんだよ!読めちゃ悪いか?字が汚ねぇってだけで犯人扱いかよ。おい、警察官こんな議論があって溜まるかってんだよ、なぁ?」

マサキ「…まぁ、現実の取り調べとかじゃそれこそ筆跡鑑定とかDNA鑑定とか出来るだろうけど…ここじゃあね…」

アキ「だろ?」

主人公「ここだからこそ、半数以上を味方につければ良いんですよ」

アキ「………え」

主人公「まだ反論しますか?と言うか、貴方が反論すればする程、貴方の立場が危うくなるのに…逆に感心しましたよ」

トウカ「コイツも良い性格してるアル」

①⑥

アキ「ははっ、なんだよ…なんだよ、お前らのその目…むかつく目ぇしてんじゃねぇよ!」

ハジメ「え、逆切れ?急に!?」

アキ「どいつもこいつも、クソみてぇな目を俺に向けんじゃねぇ!っ…俺は違う!俺は犯人じゃねんだよ!」

主人公「じゃあ犯人ではない証拠を挙げられますか?それでみんなが納得するなら俺は貴方に謝罪します!」

アキ「……」

主人公「…証拠はないんですか?」

メイラ「決まりね!犯人はこの童顔親父!私はあんたに投票するわ」

マサキ「これは多数決の為の議論…。ちゃんとした取り調べでも裁判でもない…。仇となったねアキさん」

アキ「ぐ…うぅ……!!」

ユキミツ「犯人じゃないなら否定出来る筈でしょ?」

ハジメ「悪いけど…あんたが一番怪しいよ」

トウカ「おいネコー!犯人はアキね!コイツこれからどうなるアルか?」

キキョウ「確か…処刑って…、本当にやるのでしょうか?」

ネコ「やるよやるよ〜!まさかの満場一致で犯人決定!大人しく証拠隠滅作業してれば良かったかもね〜??」

アキ「だから俺は犯人じゃねぇ!!話を聞かないバカ共が!うちの大学のの生徒供とそっくりだ!」

メイラ「何よ?あんただって人の話聞いてないから墓穴掘りまくってたんでしょ?馬鹿はどっちよ大馬鹿野郎さん?」

アキ「なんだとクソガキ!てめぇみてぇな自分が良ければ良いって価値観の馬鹿ガキは大嫌いなんだ!人の話も聞かずに文句ばっかりで、人の容姿をからかって楽しむクズだ!挙句にセクハラだの体罰だの言いたい放題だ!俺は半端に成熟した女なんて興味ねーんだよ!!」

メイラ「……きっも」

主人公「自分の言うこと棚に上げ過ぎでしょ…」

マサキ「ま、昔に比べたら教員だとか、思春期の子供と接する人達も大変な立場だろうけど…、思ってても口には出さない方が良いよ、そーいうの。更に墓穴を掘ってる…」

アキ「あーぁ、もういいや。面倒くせー…。こんなお遊戯に付き合ってられるかよ。で?処刑って言ったか?意味わからねぇけどさっさと終わらせてくれ」

ネコ「はーい!でも本当にいいのー?あんた…死ぬよ?」

アキ「はっ!子供騙しだな。本当に死ぬか試してやるよ」

ネコ「うぅん♪その心意気やヨシ!お前の鼻っ柱を叩き折れる楽しみが出来たにゃ〜♡」

アキ「抜かせ。おい、お前」

主人公「え…俺?」

アキ「後で覚えとけよ?殺してやる…」

主人公「…」

マサキ「犯人じゃなかったとしても危険思考の持ち主なのは確証が持てるね、あの人…」

①⑦
軽快なBGM

ネコ「さーてさて、か弱き幼女を幾度も手に掛けたくせに、反省なんて以ての外!見た目とは裏腹に計算高いドクズ教授!私利私欲の為に幼い少女達を自分のコレクションに加えたその気分は?」

アキ「俺は犯人じゃねぇ!さっさとこの馬鹿げたお遊びを終わらせろ?」


主人公「アキさん一人だけ別室に連れてかれて、俺たちはここでモニターを見てるだけか…。随分暗い部屋みたいだね、スポットライトみたいなのがアキさんとネコに当たってるだけで他は何も見えないな…」

ユキミツ「本当に処刑をするんでしょうか…?だとしたら一体どうやって…」

メイラ「つーかあいつも強情ね!いい加減ロリコンだって認めればいいのに」

マサキ「本当に悪い奴は自分を正当化する生き物だよ」

キキョウ「でもあそこまで否定してますし…もしかしたら本当に違うのかもしれませんよ?」

トウカ「どーアル?あいつ何に対しても反論しかしてなかったアル。今更信じられないヨ」

ハジメ「うん…あの証拠とかを加味しても一番怪しかったのはアキさんだしね」


ネコ「第一幕の処刑ターイム!!最後の一言でも聞いてやるよ?」

アキ「戯言だ!何度も言わせんな、さっさと終わらせろ」

ネコ「自覚しねー奴だなぁ。学習能力ないんじゃな〜い?まぁいいや、ではお望み通り刑の執行だにゃー!!」

ぱっと部屋が明るくなる

アキ「う、眩しっ……っ!?……随分でかいポッドだなぁ…」

ネコ「見覚えあったりするぅ?」


主人公「あれ、女の子の遺体が入ってたホルマリンの…」

ハジメ「やっぱあぁいうのって映画とかでしか見た事ないなぁ…」

キキョウ「もしかして、女の子と同じ方法で殺すのかしら…?」

ユキミツ「今から本当にアキさんが死ぬの!?」

主人公「モニター越しだからどうなんだろう…」

マサキ「でも、気分の良いものじゃないね」


ネコ「ではではお前はまずこの中に入って貰うぜ〜!アシスタントかも〜ん!」

アキ「!?なんだそのでかい猫の着ぐるみ野郎は!?おい!掴むんじゃねぇ!離せぇ!うわっ……いってぇ…!?」


主人公「アキさんがポッドの中に入れられた!?」

メイラ「え?マジでホルマリン漬けすんの?」


アキ「何しやがる!ここから出せ!」

ネコ「出す訳ないじゃ〜ん?アシスタント〜ポッドの蓋を閉じちゃえー」

バタンと鈍い音

アキ「なっ…!?くそっ…出せ!出しやがれ!」

ドンドンと叩く音

ネコ「うん〜♪特殊なガラス製だから中がよく見える!スイッチオン!」

ぐおんぐおんと謎の音

アキ「え!?下から…何だこれ?泥?いや…ま、まさか…!?」

ネコ「コンクリート〜♡」


ハジメ「コンクリート!?お、おい…まじかよ」

主人公「うわ……」


アキ「出せ!出してくれ!!くそ、重いせいかもう足が動かねぇ!……うっ!?…何だこの臭い!?」

ネコ「お、もう気付いた?生コンって固まるまで時間かかるし、これだけじゃ芸がないなって思ったから…ちょっと……ねぇ?」

アキ「はぁ…はぁ…う、……あっ…え?何で?…何で君達がいるの…?」


メイラ「…あいつ何言ってんの?」

キキョウ「何だか…少し表情がおかしくありませんか?焦点が合ってないというか…」

ユキミツ「幻覚でも見てるんでしょうか?」


ネコ「にっしし…アキぃ…何が見えてる?」

アキ「少女だ…愛おしい俺が集めた少女達だ…!どおしてここにいるだい?ははっ、皆んな俺を見てくれてるよ…!ごめんね、ごめんね?コンクリートのせいで上手く動けないや…あぁ…もっと近くで君たちを見たいんだ…もっと…もっとこっちにおいで?」

①⑧

マサキ「やっぱり彼が犯人っぽいね」

主人公「幻覚…におい…。幻覚作用のある煙でも入れられてるんでしょうか?」

トウカ「だとしてもヤバい幻覚見てるネー」

マサキ「あれが彼の本性なんだろ」


アキ「君たちは良い…!好き勝手言う半端な年のガキとは違う…。素直で元気で可愛らしい…!ちょっと我儘な所も逆に愛おしいよ…はぁ、ずっとずっとそのままでいてくれ…!」

ネコ「お前が少女達を殺したのは自己満足だな」

アキ「ちげーよ!違う…幼い無垢なままでいて欲しかったんだよ!俺はその手伝いをしただけだ。その為には体を保存しないといけないだろ?攫っちまったのはちょっと悪いと思ってるけどさぁ!」


主人公「何処に罪悪感を感じてるんだ…?」

メイラ「やっぱキモいわね、あいつ」


アキ「うっ…生コンが喉元まで…ふっ、ふふ…あー!君たちに見守って逝くなら満足だ!本望だ!あの世でも可愛がってあげる!すぐに、すぐに逝くからな!!」

ネコ「ふっ…バカな奴…」

アキ「え?……待って、待って!何処行くの!?何で俺の方を見ないの?待ってくれよ!おい!何処に行くんだ!勝手に居なくなるなよ!お前達は俺の物だぞ!!俺を見てくれぇ!!!」

ネコ「さーて、ばーかなサイコ教授!この世にさよならするんだなー!!」

バキバキと壁が破壊される音


ユキミツ「うわ!壁から…何あれロードローラー?」

キキョウ「アキさんの入ったポッドに向かってますわ!」

主人公「おい!そのまま進んだらアキさんは…!!」


アキ「え?え、え!?やめろ!やめっ…やだぁぁぁああぁぁぁーーーーーー」

バキバキと鈍い音
ブツンとテレビ画面が暗くなりノイズ音

主人公「……死んだ?」

ハジメ「嘘だろ…ロードローラーに押し潰されたのか…?」

キキョウ「そんな…」

ユキミツ「あんな殺し方…ちょっと気分悪いかも…」

メイラ「結局あいつ、ずっと幻覚にうなされてたわね」

マサキ「承認欲求が歪んだ人だったんだね…」

①⑨

ネコ「やぁやぁみなさん!如何でしたー?」

トウカ「うわぁ!ネコ!?いつの間に!」

ネコ「見事皆様犯人を当てる事が出来ましたねー拍手拍手〜!」

ハジメ「これで…俺たちはここから出れるのか?」

ネコ「は?誰がこれで終わりって言った?」

主人公「え?」

ネコ「それでは早速第二幕の開演でぇーす!!」
キキョウ「そんな!?私達は貴方の言う通り犯人を言い当てたのですよ!?第二幕ってなんですの!?」

ネコ「第二幕は第二幕〜!モニターをご覧くださーい?」

ノイズが強くなり、画面が変わる

主人公「骸骨……?」

マサキ「っ!よく見て!真ん中に立ってる骸骨の足元…」

ユキミツ「死体!?しかも何体も…」

トウカ「こ、これも人形あるネ!?びっくりさせんなヨー!」

ネコ「これは確かに人形ですが、さっきのホルマリン漬けの少女の様に…これも実際に起きた事件の一つ…」

メイラ「また何かの事件の犯人を探せって言うの…?」

キキョウ「ま、またやるんですの…?」

ネコ「にゃはは…にゃははははっ!第二幕!分解、解体、あまつは殺人!?遺体の掘り返しという罪深い魂の尊厳を踏み躙る行為!さぁ、これをやったのはだ〜れだ??にゃはっ…ぎゃははははっ」

ネコの笑い声が響く

ハジメ「まだ終わらないなんて…」

メイラ「何人犯人がいるのよここ…」

主人公「狂ってる…何で俺がこんな所にいるんだ?何でこんな事をしなくちゃいけないんだ?…俺は、俺はどうすればいいんだ……!?」

ネコの笑い声がフェードアウトしていく


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